「ブロードウェイ・メロディー」の映画4本と「雨に唄えば」

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ジーン・ケリー
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 「ブロードウェイ・メロディー」とは、トーキー映画の初期のミュージカル映画の名作である。

 その後に1936年版、1938年版、1940年版と3本の「ブロードウェイ・メロディー」が作られた。

 名作「雨に唄えば」には劇中劇「ブロードウェイ・メロディー」が出て来る。

 「ブロードウェイ・メロディー」はアメリカのミュージカル映画の歴史の中で重要な意味を持っている。

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映画「ブロードウェイ・メロディー」

 映画「ブロードウェイ・メロディー」は複数ある。並べてみよう。

「ブロードウェイ・メロディー」

 1929年2月に映画「ブロードウェイ・メロディー」は公開された。

 大ヒットし、アカデミー賞作品賞を受賞した。


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「踊るブロードウェイ」

 1935年8月、映画「ブロードウェイ・メロディー」1936年版(原題は “Broadway Melody of 1936” 邦題は「踊るブロードウェイ」)が公開された。

 この映画から「ブロードウェイ・メロディー」は次々と作られるようになった。

 1935年8月に公開された映画の題が “Broadway Melody of 1936” とされたのはどういうことであろうか?


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「踊る不夜城」

 1937年8月に映画「ブロードウェイ・メロディー」1938年版(原題は、 “Broadway Melody of 1938” 邦題は「踊る不夜城」)が公開された。


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「踊るニューヨーク」

 1940年2月に映画「ブロードウェイ・メロディー」1940年版(原題は、 “Broadway Melody of 1938” 邦題は「踊るニューヨーク」)が公開された。


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「雨に唄えば」

 1952年3月に映画「雨に唄えば」が公開された。

 「雨に唄えば」には劇中劇「ブロードウェイ・メロディー」がある。


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「ブロードウェイ・リズム」

 ちなみに、1944年8月に「ブロードウェイ・リズム」という映画が公開されている。


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楽曲「ブロードウェイ・メロディー」

 「ブロードウェイ・メロディー」というのは、映画の題名でもあるが、楽曲の題名でもある。

 楽曲「ブロードウェイ・メロディー」は、1929年の映画「ブロードウェイ・メロディー」のためにアーサー・フリードが作詞し、ナシオ・ハーブ・ブラウンが作曲した楽曲で、1929年の映画「ブロードウェイ・メロディー」の話の軸となっている。

 それに続く映画「ブロードウェイ・メロディー」(1936、1938、1940)でも、「雨に唄えば」の劇中劇「ブロードウェイ・メロディー」でも、楽曲「ブロードウェイ・メロディー」が使われている。

 映画「ブロードウェイ・メロディー」は楽曲「ブロードウェイ・メロディー」を使った映画ということができるようである。

「ブロードウェイ・メロディー」の変遷

ブロードウェイでの成功を目指す物語

 1929年の映画「ブロードウェイ・メロディー」は、ブロードウェイでの成功を目指す姉妹の物語であった。

 その後の映画「ブロードウェイ・メロディー」も、ブロードウェイでの成功を目指す人物の物語である。

 1936年版、1938年版では、エレノア・パウエルの演ずる主人公がブロードウェイでの成功を目指す物語になっている。

 1940年版では、フレッド・アステアの演ずる人物がブロードウェイでの成功を目指す物語になっている。

1936年版からの変化

 映画「ブロードウェイ・メロディー」はブロードウェイでの成功を目指す人物の物語であることは変わらないが、1936年版から1929年版と変わったところがある。

 1929年の映画「ブロードウェイ・メロディー」では、成功の表側の明るいところより、裏側の暗いところに重きを置いていた。

 それに対して、1936年版では、成功の裏側の暗いところより、むしろ成功の表側の明るいところに重きを置いている。

 1936年版からエレノア・パウエルが主役となったことは、その変化と関係がある。

 エレノア・パウエルは一人でこの映画のトリを飾ることができる華と技を備えている。

 成功を目指している役でも、スターとして成功している華と技を見せることができる。

 1929年版の主人公の姉妹は、エレノア・パウエルのような抜群の華も技も持っていない。

 姉が落とされて妹が選ばれたのは立っている姿が美しいということによってであった。

 1929年版では主人公姉妹が舞台でパフォーマンスを披露するところはそれほど多くない。舞台裏に重きが置かれている。最後もそうである。

 1936年版では主人公のエレノア・パウエルは舞台でもパフォーマンスを披露するが、舞台に上がる前にもパフォーマンスを披露する。その他の人のパフォーマンスも多い。

 1929年版では成功までの道の遠さ厳しさが描かれる。

 1936年版では成功までの道の厳しさはそれほど描かれない。

1938年版

 1938年版もエレノア・パウエルが主役であって、成功の裏側の暗い物語ではない。

 そもそも1938年版では、エレノア・パウエルの演ずる人物がブロードウェイでスターになることを目指す気持ちはそれほど強く描かれていない。

 もともと馬のことを思う人物として出て来たのでもある。

 主役の成り上がり物語の他に馬の話もある。

 主役とあまり関係のないジュディ・ガーランドなどの話もある。

 主役がブロードウェイでスターになるという物語が全体の中で占める割合は小さくなっている。

1940年版

 1940年版では、フレッド・アステアがブロードウェイでスターになろうとする役になっている。

 エレノア・パウエルはすでにスターになっている役である。

 フレッド・アステアもこれからスターになろうとする役でありながら、すでにスターとして備えている華と技を見せている。

 1940年版では主人公の問題は、成功できないことより、エレノア・パウエルと共演できないことにあるようである。

「雨に唄えば」

 「雨に唄えば」の劇中劇ではジーン・ケリーの演ずる人物がブロードウェイで成り上がろうという物語になっている。

 挫折も描かれているが、その後も明るくなる。

恋愛

 映画「ブロードウェイ・メロディー」の中で描かれる恋愛の変遷について考える。

 映画「ブロードウェイ・メロディー」では主人公のブロードウェイでの成功と恋愛での成功とは重なるところがある。

1929年版

 1929年版では、主人公の姉妹の間で恋愛は苦しい問題となっている。妹がブロードウェイでの成功し恋愛でも成功したのに対して、姉はどちらもうまくいかないという苦しい結末になっている。

1936年版、1938年版

 1936年版、1938年版ではエレノア・パウエルとロバート・テイラーとの恋愛が描かれている。その恋愛は舞台と関係がある。いずれも障害があるがそれほど深刻ではない。

1940年版

 1940年版ではフレッド・アステアとエレノア・パウエルの恋愛が描かれる。その恋愛は舞台でパートナーとなることと関係がある。

 ジョージ・マーフィーが間に入って苦しくなるところは1929年版と似ているようでもある。恋愛感情を隠し持つというところは同じ。

 しかしジョージ・マーフィーが悪いので1929年版ほど苦しくはない。(1929年版では姉は悪くない)

 最後も1929年版より後味悪くない。

「雨に唄えば」

 「雨に唄えば」の劇中劇では、ジーン・ケリーがシド・チャリースに惹かれるが、結局痛い目に遭う。厳しいといえば厳しいが様式化されていて、すぐに立ち直るのでそれほど厳しい感じはない。

楽曲

1929年版

 1929年版の映画「ブロードウェイ・メロディー」では、楽曲「ブロードウェイ・メロディー」が話の中心になっていた。

 楽曲「ブロードウェイ・メロディー」はその後の映画「ブロードウェイ・メロディー」でも使われている。

1936年版

 ただし1936年版では新たに作られた「ブロードウェイ・リズム」という楽曲の方が重要になっている。

 楽曲「ブロードウェイ・メロディー」には、離れたブロードウェイを歌っているような抒情的なところがあるのに対して、楽曲「ブロードウェイ・リズム」は今を楽しむような感じがある。

1938年版

 1938年版では、そのように中心になる楽曲はない。ビゼーの「カルメン」から始まったりしている。

 1938年版までアーサー・フリード作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲の楽曲が中心となっていた。

1940年版

 1940年版では、コール・ポーターの作詞作曲した楽曲が使われている。

「雨に唄えば」

 「雨に唄えば」の劇中劇は「ブロードウェイ・メロディー」と言われているが、楽曲としては「ブロードウェイ・メロディー」より「ブロードウェイ・リズム」の方が多く使われている。

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