カテゴリー: インド太平洋

  • 台湾の2021年度の調査で最も親しくすべき国一位は日本

    台湾の2021年度の調査で最も親しくすべき国一位は日本

     日本台湾交流協会は2022年3月22日、台湾の人に対して行った「2021年度対日世論調査」の結果を発表した。

     調査によると、「今後台湾が最も親しくすべき国」で最も多かったのは日本であった。

    調査

     調査は、台湾全土の20歳から80歳の男女のうち1068人をサンプルとして行われた。

     期間は、2022年1月5日から1月22日まで。

     設問および回答の対象は2021年全体。

    設問と回答

     その中からいくつかとりあげてみよう。

    最も好きな国

     「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」という問いに対しては、日本が最も多くて他を引き離している。

     日本は60%。その次の中国は5%。

     中国が2位であることは注目すべきことであるが、2021年には2018年より減っている。(8%→5%)

     「日本に親しみを感じますか」という問いに対しては、「親しみを感じる」という答えが多く、2022年には2018年より増えている。(70%→77%)

     「親しみを感じない」という答えは少なく、3年の間にさらに減っている。(8%→6%)

    最も親しくすべき国

     「今後台湾が最も親しくすべき国(地域)はどこですか」という問いに対しては、日本が最も多い。その上に、2021年には2018年より多くなっている。(37%→46%)

     2018年には中国がその次であったが、2021年には減っている。(31%→15%)

     米国は2018年には中国の次であったが、2021年には中国を超えている。(15%→24%)

     2018年から2021年までの情勢を反映しているのであろうか?

     それだけの変化があったということであろうか?

    日台関係

    現状

     「現在の日台関係をどう思いますか」という問いに対しては、良いと答えた人が多いが、2018年には53%であったのが、2021年には70%に増えている。

     悪いと答えた人は少ないが、2018年には4%であったのが2021年には2%にまで減っている。

     以前と比べて良くなったと答えた人は65%と多く、悪くなったと答えた人は2%と少ない。

    良くなった原因

     良くなった原因として、次のようなことが上位になっている。

     一、「日本からのワクチン供与」(27%)

     二、「助け合う関係(東日本大震災では台湾が日本を、コロナでは日本が台湾を助けた)」(20%)

     三、「相互の民間関係が良好で、旅行や往来も頻繁」(16%)

     四、「日本は何度も台湾への支持を公に発言」(13%)

     五、「東日本大震災の際の台湾による義援金」(10%)

     六、「国際情勢に鑑み、双方はより緊密に協力する必要がある」(10%)

    将来

     日本と台湾の関係は将来どうなるかという問いに対しては、発展するという答えが多いが、2021年には2018年より多くなっている。(59%→64%)

     悪化すると答えた人は少ないが、減っている。(4%→3%)

    おわりに

     この調査がどのくらい台湾の実情を反映しているかわからないが、色々と考えるべきことがあるようである。

     調査結果はこちら

  • 中国はロシアのウクライナ侵攻をどう考えるのか?

    中国はロシアのウクライナ侵攻をどう考えるのか?

     2022年2月4日に行われた北京冬季五輪開会式では、米国をはじめ多くの国が政府関係者を送らない「外交的ボイコット」をしたが、ロシアのプーチン大統領は出席した。

     開会式に先立って、プーチン大統領と習近平中国国家主席とは会談を行い、共同声明を発表した。

    https://www.bbc.com/japanese/60262771

     2月20日に五輪の閉会式が行われた。

     その後に、ロシアはウクライナに侵攻を始めた。

     中国はそのロシアの行動をどう考えているのか?

    いとぐち

     ロシアがウクライナ侵攻を始めるまで、中国の人は、ロシアの侵攻などない、英米が自分の利益のために煽っているだけだと語っていた。

     「人民網」も、「中国に帰った中国人」宋文洲氏も、そうであった。

     実際には、ロシアが侵攻を始めた。

     「人民網」も、宋文洲氏も、間違えていたわけである。

     その間違いは、個人の問題にとどまることでなく、中国と関わることである。

     宋文洲氏は、中国を代表しているように見える。

     人民日報は、中国共産党中央委員会の機関紙である。

     宋文洲氏も、「人民網」も、中国と親しいロシアは、英米のような悪いものではないゆえに侵攻などしない、と語っていた。

     ところがロシアは侵攻という悪いことをした。

     中国側は、あれほど自信をもってしていた予測を外したことになっている。

     あれほど英米を馬鹿にしていたのに、英米が警戒したような悪いことをロシアが実行したので、英米が正しくて、中国は間違っていたことになっている。

     中国はロシアに裏切られたのであろうか?

     とはいっても、中国はその後もロシアより米国を攻撃し続けているようである。

     それとも実は知っていたのであろうか?

     ウクライナ国境にロシアが軍を集結させていた状況では、米英のように侵攻に警戒する方が自然で、中国のように米英が自分の利益のために煽っているときめつける方が不自然ではないかとも思うが、中国にとっては自然だったのであろうか?

    検証

    問題提起

     五輪が開幕して間もない2月6日、宋氏は「ロシアがウクライナを侵攻する」というのは、米国が「政治作戦」として言っていることだと語っていた。

     米国が悪い、米国が「陰湿」だというのである。

     そして「結果を見守ってください」と語っている。それほどその予想に自信をもっていたわけである。

     漫画は前から引用していたと思うが、米国が各国を従わせているということをあらわしているようである。

     今度のことも、米国が悪い企みに各国を従わせようとしているということであろうか。

     宋氏はこのようにその予想によって米国をはじめとする様々な国、人を馬鹿にしてきていた。

     宋氏の予想が覆ると、そのことも覆ることになる。―上に挙げられた国々ではなく、宋氏自身が誤解のとりこになっていたわけである。

     2月9日に宋氏は、米国とロシアと、「誰が嘘吐きかを確認する良い機会」だと言っている。

     たしかに「良い機会」である。

    2月16日侵攻説

     2月16日にロシアが侵攻する、とバイデン米大統領が語った。

     宋氏はそのことを問題としている。

     その予測は外れると思っていたようである。

     2月15日。

     そして2月16日。

     予測は外れた、というわけである。

     しかし実際には、それから間もなくロシアがウクライナに侵攻した後から振り返ると、必ずしも予測が正しくなかったとは言えない。

     ロシアは、予測通り、ウクライナに侵攻する意図を持っていたからである。

     この場合、時期の予測が当たらなかったことは、それほど大きな問題ではない。駆け引きがあるからである。

     ロシアが侵攻する意図をもっていなかった場合には、米国が空騒ぎしただけであったということになる。そうであったならば、宋氏の批判は正しい。しかし今回そうではなかった。

     逆に、宋氏が何故にあれほど自信満々にロシアは侵攻しないと思い込んでいたのか、気になる。

    英米の目標

     宋氏は当初、英米がロシアによるウクライナ侵攻に警鐘を鳴らすのは、英米自身の利益のためときめつけていた。

     まず米国は次のような利益のためにロシアがウクライナに侵攻すると煽ったと語っている。

     次に、「米国がEU経済と独自軍事体制を打撃するため」という。

     「ロシアと欧州との連帯を阻止する」という目標があるという。

     米国の真の狙いはロシアから欧州へのエネルギー供給を排除することだと語っている。

     本質は欧州と米国の戦いと語っている。

     ここまでのことをまとめると、パイプラインによるロシアから欧州へのエネルギー供給を止めることによって、ロシアと欧州との連帯を阻止し、その代わりに米国のガスと武器を押収に売るために米国は動いているというのである。

     英国も米国とともに欧州とロシアとの連帯を阻止しようとしているということであろうか。

     人民網でも同様に、米国が扇動して、欧州と対立していると言われている。

    内政面で実績に劣るバイデン政権は、ウクライナ問題を利用して国民の関心をそらすとともに、ロシアを共通の敵に仕立て上げることで欧州の同盟国を抱き込み、米国が主導・掌握・コントロールする欧州秩序を維持する必要がある。そのため、ウクライナ情勢の緊張が続くことは米国の利益に資するのだ。しかし、ウクライナをめぐる軍事衝突の発生が米国に及ぼす影響は限定的だが、欧州諸国には難民の大量流入、対露制裁による巨額の経済的損失、「ノルドストリーム2」プロジェクトの頓挫といった耐え難い結果をもたらす。だからこそ、欧州はウクライナをめぐる衝突の回避を最重要目標としているのだ。

    人民網日本版 2月17日 ウクライナ情勢の誇張、米欧それぞれに思惑

    http://j.people.com.cn/n3/2022/0217/c94474-9959431.html

     この記事にあるように、バイデン政権が現在低下している支持率の対策として、ロシアによるウクライナ侵攻を言い出したということは、宋氏も言っている。

     次の記事も同様。

     2月21日の記事でこういうことを言っていることからも、ロシアと中国との間で意思疎通がなかったのではないかと思われる。

    米国政府はロシアが近くウクライナに「侵入」するとの宣伝を連日繰り返している。ロシア側がウクライナへの武力行使の意図はないと繰り返し強調し、米国と始めとする西側に対しその安全保障上の懸念を真剣に受け止めるよう望む中でもなお、米政府は「侵略はいつでも起こり得る」と言い張っている。戦争の危機を誇張・宣伝し、意図的に緊張をつくり出す米側のこうした行為は、不信と分断を激化させ、ウクライナ危機及びこれに関係する問題の適切な解決を妨げるだけだ。

    人民網日本語版 2月21日 戦争の危機の誇張・宣伝はウクライナ危機の解決に無益

    http://j.people.com.cn/n3/2022/0221/c94474-9960881.html

     ロシアがウクライナに侵攻した後からみると、米英は警戒すべきことを警戒していたと思われる。

     宋氏や人民網が語ることは、空想のようである。

    イラク戦争

     米国がロシアはウクライナに侵攻すると語ったことを、宋氏は、イラク戦争の時に米国が語っていたことと同じようなこととみなしていた。

     2月18日のツイート。

     2月21日のツイートでも、両者を全く同じようにみなしている。

     イラク戦争の時と同じように、今度も米国は自国の利益のために口実を設けて戦争を始めようとしているというのである。

     英国に対しても同じように批判している。

     こういう論法は2月10日に趙立堅氏がやっていた。

     これをみると、中国政府もそう考えていたように見える。

     実際には、米国が語っていたように、ロシアはウクライナに侵攻した。

     中国政府も、米国の過去の行動から導き出したパターンにとらわれていて、ロシアの実情を知ることができなかったのであろうか?

    米国の情報網

     宋氏は、はじめ米国の情報力を馬鹿にしていた。

     2月19日には、『米国の「情報力」は凄い』と皮肉を言っている。

     「偽情報をばら撒く米国」と言うのである。

     2月20日にも『米国の「情報力」』を馬鹿にしている。

     イラク戦争などのパターンによってみるのが正しいと思い込んでいたようである。

     2月20日にも、米国の「情報力」を馬鹿にしている。

     アフガニスタンの時のことをもちだしている。

     このように宋氏は米国の「情報力」を繰り返し馬鹿にしていた。

     ところが、2月25日には、宋氏は米国の情報力がすぐれていることを認めている。

     米国の情報が正しかったことが明らかになったからである。

     ついでに宋氏がリツイートした中華人民共和国駐大阪総領事のツイートもとりあげておこう。

     2月19日のツイートで、米国に対して「戦争デマをばらまく」と語っている。

     「戦争で血をすってきた凋落覇権アメリカが世界平和が続くと持たない」というのは、宋氏と同様の見方。

     逆にそれこそ「デマ」ではないか?

     それにしても総領事として言葉遣いが「異常」。

    謝罪

     宋氏の以上の見通しは外れた。

     現実にロシアはウクライナに侵攻した。

     米英が自国の利益のために語っていたのではなかった。

     宋氏自らそのことを認めて謝罪している。

     宋氏は、「プーチンはまるで別人のようで…」と語っている。

     宋氏がそれまで見て、予想していたのとは別人のようにプーチン大統領は動いたというのである。

     それまで宋氏はプーチン大統領を擁護していたが、現実のプーチン大統領は擁護できないことをしたと考えているようである。

     しかしまた「そこまで追い込まれたのか」というように同情してもいる。

     宋氏はロシア国内の専門家にとっても想定外であったという記事を引用している。

     宋氏は侵略を支持しないという。

     ただし同時に米国に反対することを忘れない。

    中国の態度

     宋氏はそれぞれの時の中国の態度を伝えている。

     2月13日のツイート。

     後から見ると、事情を知っていたロシア、米国に対して、中国は事情を知らずにいたのではないかとも思われる。

     2月22日。ウクライナ東部の親ロ派地域の独立をプーチン大統領が承認したことを受けて。

     ロシアに対しては賛成できないという。

     しかしまた米国も悪いということは言い続ける。

     2月25日。ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始を受けて。

     やはりロシアも悪いが米国も悪いという主張。

     「ロシア」という言葉が出てこない。

    まとめ

     ロシアがウクライナに侵攻するまで、宋文洲氏も人民網も、英米がそのことをいうのは自分の利益のためだと語っていた。

     実際にはロシアはウクライナに侵攻した。

     宋氏等の予想は外れた。

     ロシアと中国とは一致していないようにも見える。

     それとも実は一致しているのであろうか?

     いずれにせよ宋氏等はその後、ロシアと距離をとりながらも、ロシアを攻撃せず、米国等に対する批判を続けている。

     2月25日には、プーチン大統領と習近平国家主席との間で電話会談が行われた。

    ロシアのプーチン大統領は25日、中国の習近平国家主席と電話会談し、ウクライナとハイレベル協議を開催する意向があると述べた。習主席は、ロシアとウクライナの対話を通じた問題解決を支持すると伝えた。中国外務省が協議内容を公表した。

    REUTERS 2022年2月25日 プーチン氏「ウクライナとハイレベル協議の意向」、中国主席に表明

    https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-china-xi-idJPKBN2KU1CO

     距離をとりながらも連携するかたちか。

     ちなみに3月4日から13日まで開催される北京パラリンピックはどうなるのであろうか?

     プーチン大統領は、北京五輪の開会式に出席して、閉会式の後にウクライナへの侵攻を始めたので、北京五輪を立てたようである。

     しかしウクライナ侵攻という大事件によって、北京五輪の印象は薄れているのではないか?

  • 橋下徹氏、ついに百田尚樹氏に答える!

    橋下徹氏、ついに百田尚樹氏に答える!

     9月15日に、橋下徹氏が百田尚樹氏に答えるツイートをした。

     質問されてから何日経っているのか。はじめに思ったのはそのことであった。

     前に書いた記事をみると、質問は7月に出されていた。7月に聞かれたことを、9月15日に答えているわけである。

     何があったのか?

     私は橋下徹氏を追いかけているものではない。今回のこともたまたま気が付いたくらいである。

     それにしてもこのことをめぐる橋下氏の言葉はひっかかる。

     解きほぐさなくては気持ち悪いのである。

    橋下氏のツイート

    考察

     現在、日本の保守といわれる人の中でも対立がある。

     橋下徹氏も、維新も、保守ともいわれるが、保守でないともいわれる。保守に反対する親中派ではないかとして、保守派から批判されることがある。

     今度、百田尚樹氏という、保守派で影響力のある人が、橋下徹氏に対して、親中派でないかと、その核心をつく質問をした。そして答えをもとめた。そこで多くの保守派の人が橋下徹氏に答えをもとめた。

     そういう状況があった。

     それに対して橋下徹氏は、「直接答える」のは「100万年早い」と言ったり、「しゃあないから答えてやる」と言ったり、答えることをもったいぶっている。そもそも7月に聞かれたことを9月に「答えてやる」というのは、大変にもったいぶったことである。

     答えると都合の悪いことがあるのか? と思ってしまう。

     いずれにせよ、よほど緊張しているようである。

     もったいぶっておいて、答えは貧相である。橋下氏の思想が貧相なのか? 何かかくそうとしているのか?

     橋下徹氏は、百田尚樹氏を「オッサン」とよび、その人物に対して、その小説に対して罵倒を栗化している。それほど嫌なことをされたのであろうか? いずれにせよ橋下徹氏の言葉は見苦しい。橋下徹氏は親中派か、ということが問われているのに、問題は百田尚樹氏にあるということによって注意をそらせようとしているのではないか、とおもってしまう。

    私の意見

     橋下徹氏は、論客としてテレビ番組に出演して、中華人民共和国に対してどうすべきかという現在の日本の大きな問題について語っている人である。

     百田尚樹氏に聞かれようが聞かれまいが、そのことについて日本国民に説明しなくてはならない。説明しないならば、国家の戦略についての考えを説明することができない、そのくらいの論客だということになる。

     それとも「繋がりを持っておくことこそが外交安全保障の基礎や」というので説明できたと思っているのであろうか? 1ツイートで説明できるくらいのことだと思っているのであろうか?

  • 橋下徹氏の中国についての発言(2020年8月16日の「日曜討論the PRIME」)

    橋下徹氏の中国についての発言(2020年8月16日の「日曜討論the PRIME」)

     2020年8月16日のフジテレビの「日曜報道the PRIME」で、橋下徹氏の言うことを聞いていて、理解に苦しんだので、整理してみた。

     7月26日の「日曜報道the PRIME」で、橋下徹氏が、二階氏のような政治家を増やすべきだと言ったことも理解に苦しんで、整理してみた。今回の発言も、前回の発言と関係があるが、やはり理解に苦しんだ。

     それほど重要なことかと何度も思った。しかし橋下氏は、現在の日本において影響力のある人である。それよりまず、私が橋下氏の言葉を聞いて不快に感じたことを解きほぐして気持ちよくなりたいとおもった。

    議題

     香港の国家安全維持法によって黎智英氏、周庭氏が逮捕されたことに対して、日本政府は重大な懸念を有しているという声明を出した。それに対して中華人民共和国は内政干渉をやめるように言った。

     そのことについて、スタジオにいる、橋下氏、櫻井氏、甘利氏の三人はどう考えるか、というかたちで討論は始まった。

     櫻井氏、甘利氏は、中華人民共和国が国内において、自由、民主、人権に反対し、国際的な信義に反対することに対しては、米国をはじめとして非難する流れができている現在、日本は言うべきことを言うべきだという。

     橋下氏は、それに対して、中華人民共和国に「内政干渉」と言われないようにすべきだという。

     橋下氏は、言い方に気を付けるべきだという。簡単に反論されるような言い方はすべきでないという。

     あくまでも日本の安全保障ということから言うべきだという。

     そこまでは、理解に苦しむことはない。

    域外適用

     橋下氏は、香港の国家安全維持法に対して、「域外適用」ということを問題とすることに反対する。「域外適用」は他の国にもあるというのである。

     その主張は、それだけでみると、問題ないようである。

     しかし今回の番組において、橋下氏がそのことを力説することにどういう意味があるのか、理解に苦しむ。

     橋下氏の主張は、香港国家安全維持法の問題は「域外適用」ということだけにあるという人に対してのみ意味があることである。

     今回の討論の相手である櫻井氏も甘利氏も、香港国家安全維持法の問題は「域外適用」ということだけにあると言っていない。

     討論番組において、討論の相手が言っていないことを反駁することに意味があるだろうか?

     橋下氏も、香港の国家安全維持法の中身には問題があるという。櫻井氏、甘利氏と同じ考えであるとすると、櫻井氏も甘利氏も言っていないことのために時間を浪費したことの意味はますますわからなくなる。

    英中共同声明

     次に橋下氏は、中華人民共和国中共同声明に反して香港の一国二制度をなくしたことに対して、日本がどこまで口をはさむことができるかを問題とする。

     中共同声明は中二国間のことである。そのことについて、日本が口を出すならば、日本は、日共同宣言の北方領土問題に関して中華人民共和国が口をはさんでくることを認めなくてはならない、という。

     このあたりも理解に苦しむ。

     思うに、理想論と現実論とが混ざり合っている。

     第一に、日本の北方領土問題と、中華人民共和国の香港問題とは違うと多くの日本人が考えるであろう。日本の北方領土問題に中華人民共和国が口を出すことと、中華人民共和国香港問題に日本が口を出すこととは違うと考えるであろう。

     自己中心的な主観的な感情によって違うと考えるのではなく、客観的に違うと考えるであろう。

     日本の北方領土において、日本はソ連に侵略された領土の返還をもとめている。

     中華人民共和国香港に関して、国際的な信義に反対し、自由、民主、人権に反対することを行っている。

     日本が、自由、民主、人権、国際的な信義のために、中華人民共和国香港に対してやっていることを批判することと、中華人民共和国が日本の北方領土問題に口をはさむことに反対することとは、矛盾することではない。

     以上は理想論である。

     現実論としては、日本は米国のような力を持っていないゆえに、中華人民共和国に対して理想論の通りに言うことができないのではないか、という問題がある。

     橋下氏は、その現実論を主張しているようである。

     ただし橋下氏の主張では、理想論と現実論とが混同されているように聞こえる。

    TikTok

     甘利氏は、TikTokによって情報が中華人民共和国政府に抜き取られることを問題とする。

     そのことはすでに様々な国で問題になっている。日本も問題としなくてはならないという。

     それに対して橋下氏は、日本は米国についていくほかなく、安全保障上断ち切るべきところは断ち切らなくてはならないが、経済上利益をとるべきところはとるというように賢くやるべきだという。

     橋下氏の考えでは、TikTokは、「安全保障上断ち切るべき」ところに入るのであろうか、それとも「経済上利益をとるべき」ところに入るのであろうか、よくわからない。

    米国に対する認識

     橋下氏は、米国の現在の対中政策はトランプ大統領個人によるものであって、今度の大統領選で大統領がかわると、政策も変わるかもしれない、そのことに備えるべきだという。

     橋下氏は前回もそう言っていた。橋下氏の「現実論」の根拠はそこにあるようだ。

     たしかに大統領によって政策が変わるおそれはある。

     しかし甘利氏、櫻井氏も言うように、米国の現在の対中強硬政策は、トランプ大統領が主導しているものではなく、議会が主導している。現在、続々と出されている対中強硬法案は、米国議会で、与野党によって支持されて可決されたものである。

     大統領が変わっても、その流れはとどまらないのではないか。

     今度の大統領選で民主党も対中強硬策を出している。

     民主党の経済外交について、「中国包囲に照準」と伝えられている。

     現在、台湾の蔡英文政権も、ファイブアイズの国々も、米国とともに中華人民共和国に対抗することに踏み出している。そういう状況で、米国がそのはしごを外すことを考えるべきであろうか?

    日本国内に対する認識

     甘利氏も櫻井氏も、日本の企業は、中華人民共和国の企業と関わると情報、技術がとられる危険があって、そのために米国中華人民共和国と関係を持つものを制裁しようとしているにもかかわらず、そのことについて警戒心が薄いことを問題としている。

     それに対して橋下氏は、日本は経済上利益をとるべきところはとるというように賢くやるべきであるのに、自民党をはじめ国会議員の様子をみると、全部断ち切れなどというので、懸念をもっているという。

     橋下氏は前も同じようなことを言っていたが、やはり理解に苦しむ。

     現在、日本の政府も、経済界も、甘利氏、櫻井氏が言うように、中華人民共和国に対して断ち切る方向に行き過ぎておらず、逆に、警戒心が薄くて、断ち切らなすぎている。

     橋下氏は、自民党をはじめ国会議員の様子を問題としているが、甘利氏、櫻井氏が問題としている日本の政府、経済界に対してどう考えるのか? 日本全体にとってはそちらの方が問題ではないか?

    難民

     橋下氏は、周庭氏をサポートするという議論で、抗議すべきだということに対して、異論があるという。

     日本は、香港だけでなく、ウイグルでも、どこでもいいから、政治的な難民をどこからもどんどん受け入れるという制度を作るべきだという。

     え・・・?

     香港、ウイグルはともかく、なにゆえにそのほかに、「どこでもいいから、政治的な難民をどこからもどんどん受け入れるという制度を作るべきだ」ということになるのか?

     そもそも難民を受け入れることには問題がある。

     それより前に抗議すべきではないのか?

    終わりに

     今回の番組を見ていて、橋下氏の言動に対して不快に感ずるところが多かった。

     自分なりに分析してみると、こういうことではないかとおもう。

     橋下氏は、安全保障の観点から、日本は中華人民共和国との関係を重視すべきだという立場をとっているようである。そういう立場に同意するとしても、反対するとしても、橋下氏がどっしりと構えて、相手を納得させるように語ったならば、不快に感じなかったのではないかとおもう。

     橋下氏が、櫻井氏の言うことをさえぎって、「そこはわかってます」と言うのは不快であった。「そこはわかってます」というのは、部分的に同意するということであろうが、どこまで同意して、どこから反対するのか、よくわからない。それゆに不快に感じたのである。

  • トランプ米大統領のTikTok排除をめぐる報道

    トランプ米大統領のTikTok排除をめぐる報道

     2020年7月31日、トランプ米大統領は米国内でのTikTokの使用を禁止することを発表した。

     そのことを受けて、そのことをトランプ大統領の個人的な理由によるとし、それに対して米国の若いTikTok利用者が反発するという記事が出てきた。

    TikTokの使用禁止をトランプ大統領の個人的理由によるものとする記事

    Forbes

     まずForbesの8月1日の記事。

    https://www.forbes.com/sites/abrambrown/2020/08/01/is-this-the-real-reason-why-trump-wants-to-ban-tiktok/#32c7fe764aed

     日本語版。

    https://forbesjapan.com/articles/detail/36261

     トランプ大統領は、TikTokを使用禁止にする理由は国家安全保障上の問題にある、ユーザーのデータが中華人民共和国に渡ってしまうことにあると公的に語っていた。

     この記事はそのことを認めながら、それに対して、トランプ大統領にはそのことと別に個人的理由があるという。TikTokの利用者がそういっているという。

     トランプ大統領の個人的な理由とは、トランプ大統領が6月20日にタルサで集会をやった時に、トランプ大統領に反対するTikTok利用者が集会の席を買い占めて、集会の参加者を少なくした、そのことに対する報復として、TikTokは使用禁止とされたということである。

     民主党のオカシオコルテス下院議員は当時、このことをやったTikTok利用者を称賛していた。

     オカシオコルテス下院議員はこのように、うそのチケット予約を称賛している。

     ちなみにオカシオコルテス下院議員は同時にKPOPファンが同じようなことをしていたことをも称賛している。

     FORBESによると、トランプ大統領はそのことに対する報復として、TikTokの使用禁止をきめたと言われているというのである。

     しかしそもそもトランプ大統領の今度のTikTok使用禁止ということは、それまでに米議会の上下院が賛成多数で可決してきた法案を受けてのことである。それをトランプ大統領の個人的な理由によって起こったことのように言うことはおかしい。

     ついでにいうと、うそのチケット予約によって、集会の参加者を少なくすることは正しくないことである。TikTokが正しくないことによって政治を動かしてしまうものだとすると、それを排除することは、国家の安全のために正しいことになるのではないか。

     タルサの集会でも、TikTok利用者は、オカシオコルテス下院議員のような考えで動いただけでなく、トランプ大統領再選を嫌う中華人民共和国の考えで動いていたかもしれない。

    人民網

     次に中華人民共和国の人民網。8月3日。

    http://j.people.com.cn/n3/2020/0803/c94476-9717625.html

     この記事でもトランプ大統領の「個人的な恨み」を原因として、タルサの集会のことをとりあげている。

     この記事ではまた、米国に多いTikTok利用者がトランプ大統領に反対すると言われている。

    時事ドットコム

     次に日本の時事ドットコムの記事。8月12日。

    https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081100770&g=int

     トランプ大統領がTikTokを使用禁止とした理由は、11月の大統領選の再選にあるとして、しかしTikTok利用者の若者の反発を買って逆効果になっているという。ここでも6月のタルサの集会のことがとりあげられている。

    同じような記事が出てきた理由

     上に挙げた三つの記事はそれぞれ似ている。

     同じ事実を報道したから似ているのではない。いずれも同じ事実を報道したというには、内容が偏っている。

     いずれも同じ報道をそのまま受け取ったというべきではないか?

     そのもとは何であろう?

     単に偏った記事であるかもしれない。

     米国内のトランプ大統領に反対するジャーナリストが、トランプ大統領に反対するということのために偏った記事を書いたのかもしれない。

     中華人民共和国がトランプ大統領に反対するということのために偏った記事を書いたのかもしれない。

    ウォールストリートジャーナルの記事

      ウォールストリートジャーナルの記事によって論調が変わったと私は思った。TikTok寄りの論調が減ったと思った。

     日本版。

     時事ドットコムもそのことを伝えている。

    https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081200847&g=int

    終わりに

     これまで米国の中華人民共和国に対する非難は、トランプ大統領という乱暴な個人の、再選を目的とする個人的な理由によってなされているという報道が多くなされてきた。

     そうだとすると、トランプ大統領という乱暴者がいなくなればいいということになる。

     しかしTikTokに実際に問題があるとわかると、それをせめるトランプ大統領が悪いということはできなくなる。

     またトランプ大統領より、米国議会が中華人民共和国に対して強硬であるという事実を覆い隠すこともできない。

  • 台湾の李登輝元総統の20年前の予想と、20年後の現状

    台湾の李登輝元総統の20年前の予想と、20年後の現状

     2020年7月30日、日本時間の午後8時すぎ(台湾時間の午後7時すぎ)、李登輝元総統が台北市内の病院で亡くなった。97歳。

    李登輝元総統の予言

     李登輝元総統は、1999年に出版した著書「台湾の主張」(PHP研究所、1999年)において、「大陸の二十年後を見据える」という見出しで、中華人民共和国の20年後について予想している。

     1999年は、李登輝元総統が亡くなる20年前である。その時にそれから20年後のことを予想していたのである。

    アメリカなどの予測では、大陸はこれから二十年をかけてこの矛盾と対決し、やがては活路を見出すことになっている。しかし、それは可能だろうか。

    「台湾の主張」113頁

     1999年において、アメリカは、中華人民共和国は二十年でよくなるだろうと考えていた。

     それに対して李登輝元総統は疑問を持っていた。

     海峡のこちら側からみれば、その転換はきわめて困難なもののように思われる。アメリカは二十年と踏んでいるが、このままではそれ以上の年月が必要であろう。そして転換したからといって、すべてがうまくいくわけでないことは、この十年あまりのロシアの例をみれば明らかなのである。

    「台湾の主張」114頁

     李登輝元総統のみるところによると、20年では中華人民共和国は当時アメリカが考えたようによくならないであろうというのである。そのことを「この十年あまりのロシア」、すなわちソ連崩壊後のロシアを例として語っている。

     中華人民共和国は、経済においては変わったが、政治においては変わっていない、その「基本的矛盾を解消しない限り」混乱が生ずる、と李登輝元総統はいう。(「台湾の主張」、113頁)

     大陸は経済的な生産は上昇しているが、政治的にはいまだに中国共産党の一党独裁体制に支配されている地域であることは変わっていない。少数者の権威主義的かつ独裁的な支配は続いている。そしてまた、中国共産党がその体質を根本的に改革したというわけでは決してない。

    「台湾の主張」113頁

     このように「少数者の権威主義的かつ独裁的な支配」という「体質」が続いていることに問題はあると考えていた。

     1999年に李登輝元総統が20年後の中華人民共和国について上のような予想を語ってから、20年後の2020年に李登輝元総統は亡くなった。その時に、20年前の李登輝元総統の予想は当たっていたであろうか?

     その問題に対して、アメリカのポンペオ国務長官が一つの答えを出している。

    U.S. Department of State
    Communist China and the Free World’s Future: Secretary Pompeo at the Nixon Presidential Library 2020/07/24

     ポンペオ国務長官は、李登輝元総統の亡くなった2020年7月に、ニクソン大統領図書館で画期的な演説を行った。

     アメリカはこれまで中華人民共和国が自由な民主的な国になることを期待して見守ってきたが、中華人民和共和国は変わることなく専制的な国である、アメリカのこれまでの中華人民和共和国に対するやり方は間違えていた、と語ったのである。

     ニクソン大統領以来のアメリカの対中政策は間違っていた、とニクソン大統領図書館で語ったのである。

     李登輝元総統は20年前に、20年後の中華人民共和国についてアメリカが予想していたことに反対していた。その20年後に、アメリカの国務長官がアメリカのこれまでの対中政策は間違っていたと語ったのである。

     ポンペオ国務長官は、李登輝元総統逝去の報を受けて、次のようにツイートしている。

     ポンペオ国務長官は、李登輝元総統を、台湾と米国との関係のもとになる民主的価値のためにはたらいた人として敬意を払っている。

     蔡英文総統の返事。

    蔡英文総統

     現在の台湾の総統蔡英文氏は、李登輝元総統の思想を受け継ぐ人である。

    アイデンティティにもとづく民主主義

     蔡英文総統は、李登輝元総統を、台湾の自主的な民主主義の創設者として、その死を悼んでいる。

     李登輝元総統は、アイデンティティにもとづく民主主義を創設した、と蔡英文総統は言う。

     李登輝元総統は、「台湾の主張」において、アイデンティティにもとづく民主主義ということについて語っていた。―「台湾に住む人たちがすべて参加して」、「参加の中から生み出される、「われわれは台湾人だ」というアイデンティティを基礎にして育つ」という「民主主義文化」を、李登輝元総統は台湾に打ち立てようとしたというのである。(「台湾の主張」、58頁)

     李登輝元総統は、その前の蒋経国総統とは、「台湾のアイデンティティということを考える場合には、決定的に異なっていた」という。(同、49頁)

     李登輝元総統は、「台湾にアイデンティティをもつ政治」、すなわち「台湾を非常に愛し、そして台湾のために粉骨砕身、大いに奮闘する」政治がなくてはならないと考えたが、蒋経国総統は「台湾人のための政治とはなにかを考えたことはなかっただろう」という。(同、49頁)

     李登輝元総統も、自分が台湾にはじめてアイデンティティにもとづく民主主義をもたらしたと考えていたのである。

    「台湾に生まれた幸福」

     蔡英文総統は同時に日本語でもツイートしている。

     蔡英文総統は、李登輝元総統を、日本と台湾との関係において重要な存在と考えているようである。

     蔡英文総統はそこで「李元総統の遺志を継ぎ「台湾に生まれた幸福」を追求し続けます」と語っている。どういうことか。

     李登輝元総統は「台湾の主張」第八章「二十一世紀の台湾」の最後に「李登輝がいなくなった台湾」について語っている。

     私は、本書の冒頭より「台湾人に生まれた悲哀」から「台湾人に生まれた幸福」へと話を進めてきた。私は台湾に生まれたがゆえに、この地を舞台としてこの数十年のあいだ必死の努力を続けてきた。その結果、もしこのハンティントン教授のいうことが正しければ、私がいなくなった後も、私の努力はこの美しい台湾に残り、限りない発展を続けていくだろう。
     これもまた、私にとっての「台湾人に生まれた幸福」に他ならないのである。

    「台湾の主張」(PHP出版社、1999年)223頁

     李登輝元総統は「台湾の主張」を「台湾人に生まれた悲哀」ということから始めている。「台湾人に生まれた悲哀」とは、「台湾人は長いあいだ、自分たちの国を自分たちで治めることができなかった」ことである。(「台湾の主張」、16頁)

     「必死の努力」によって、李登輝元総統は、「台湾人に生まれた幸福」を感ずることができるまでに至った。

     そしてアメリカの国際政治学者ハンティントン教授が「台湾のデモクラシーは、李登輝が死んでも継続するだろう」と言ったことは「かなり本質を衝いた洞察だ」というのである。(同、222~223頁)

     蔡英文総統は、その李登輝元総統が望んだように、「李登輝がいなくなった台湾」において、デモクラシーを継続させていくというわけである。

    葬式

     李登輝元総統は、民主台湾を永遠に見守る存在としてまつられる。

    他の国の反応

     李登輝元総統の逝去に対する各国の反応に、2020年の情勢があらわれている。

    日本

     李登輝元総統逝去の報を受けて、日本では安倍首相が痛惜の念をのべた。

     安倍首相は、第一に、李登輝元総統が、日台関係の礎を築いたという。

     第二に、台湾に、自由と民主主義、人権、普遍的な価値を築いたという。

     その「普遍的な価値」が安倍首相の外交を基準である。

     蔡英文総統の返事。

     蔡英文総統も「自由と民主の理念」による協同を言う。

    香港

     香港の民主派、Joshua Wong氏も李登輝元総統の逝去をかなしんでいる。

     李登輝元総統は、台湾の民主主義の父であって、その精神は、現在の香港のJoshua Wong氏等民主派の運動に生きているというのである。

     香港の民主派の運動と、李登輝元総統が築いた台湾の民主主義とはつながっているというのである。

     この日に、Joshua Wong氏は、9月の選挙に立候補する資格を取り消されている。

     中華人民共和国側はそのことについて次のように言っている。

     7月31日、香港政府は、新型コロナウイルスを理由として、選挙を一年延期すると発表した。

    中華人民共和国

     中華人民共和国の「國台辦」は、李登輝元総統の逝去に際して、台湾の独立は間違った道であって、台湾は中華人民共和国と統一されなくてはならないと語っている。誰もその道を阻むことはできないと語っている。

     環球時報Global Times。

     李登輝元総統は、中国人民の統一に反対した罪人だという。

     ここでも、李登輝元総統の民主主義が、台湾と大陸とを分断するものであったことを非難している。

    独立について

     李登輝元総統は1999年の著書「台湾の主張」においても、中華人民和共和国から台湾を独立させようとする者として非難されたと語っている。

    大陸の当局はいまだに闘争的な態度を崩さず、自分たちの考える「一つの中国」に固執して、この枠組みに編入せしめるか、あるいは台湾が独立を強行しようとしているという根も葉もないキャンペーンを展開する。

    「台湾の主張」117頁

     中華人民共和国によると、中華人民共和国の考える「一つの中国」に台湾がくみさないということは、独立を強行しようとしているということになる、というのである。

     李登輝元総統も、中国の統一、「一つの中国」を求めていた。しかし中華人民共和国の「一つの中国」には反対していた。

     李登輝元総統は、1997年7月12日の「国家統一委員会」の開幕談話で次のように語っていた。

    中国は統一されなければならないが、統一には全中国人の利益を考慮したものでなければならず、同時に世界の潮流である民主・自由・均富の制度に合致したものであって、すでに実践の過程において失敗が証明されている共産制度、あるいはいわゆる『一国二制度』によるものであってはならないと考える。

    「台湾の主張」118頁

     統一は、共産制度によってでも、共産制度を上においた「一国二制度」によってでもなく、民主・自由・均富の制度によってでなくてはならないというのである。

     李登輝元総統は、両国が互いに尊重しあって、民主、自由の制度によって、統一されるべきだと主張していた。

     それに対して中華人民共和国は、両国が互いに尊重しあうことも、民主、自由の制度をとることも認めず、中華人民共和国の考えるやり方を一方的に台湾におしつけようとした。そしてそのことに同意しない李登輝元総統を非難した。

     今度の中華人民共和国の「國台辦」の言葉でも、台湾の自由な意思を尊重する考えは見えず、あくまでも中華人民共和国が一方的に統一をおしつけているようである。「環球時報」も同じである。

    チベット

     ダライラマ。

     蔡英文総統の返事。

    まとめ

     今、世界は、米国をはじめとして、自由、民主の価値観によって協同して中華人民共和国に対抗しようとする国々と、中華人民共和国の側につく国々とが対立する流れにある。

     その対立の中で、自由、民主の価値観によって協同しようとする国々、人々は、李登輝元総統を、その価値観を台湾で築いた人として讃えている。

     それに対して中華人民共和国の側の国々、人々は、李登輝元総統を、中華人民共和国との統一に反対する主張のもとになったものとして非難している。

  • 橋下徹氏「二階氏のような政治家を増やせ」

    橋下徹氏「二階氏のような政治家を増やせ」

     2020年7月26日、フジテレビの「日曜報道THE PRIME」での橋下徹氏の発言が話題になった。

    https://sn-jp.com/archives/4636

     橋下徹氏はその番組で、米中の対立が緊迫化している現状にたいする意見を求められて、二階氏のような政治家を増やすべきだと主張した。

     二階俊博自民党幹事長は、現在の安倍政権を、親中の方向に傾かせていると言われている。

     橋下徹氏が、二階氏のような政治家を増やすべきだと言うのはどういうことか?

    実際の発言

     政治的な問題に関する発言が話題になるときには、受け取る側の政治的関心によって歪曲されることもある。
     なるべく歪曲しないように、正確に伝えよう。

     番組は、メインキャスター二人が米中の現状を紹介して、スタジオにいる橋下徹氏、宮家邦彦氏、オンラインで参加している櫻井よしこ氏に意見を聞くというかたちになっていた。

     番組では、トランプ政権が中華人民共和国に対してますます強硬な言動をしていること、それに対して中華人民共和国も強硬に反発していることを紹介すると同時に、日本の経済が中華人民共和国に大きく依存していることをもとりあげて、その関係をどうするかを問題としている。

    櫻井よしこ氏の主張

     日本にとって、民主主義とか人道とかいう大きな価値観の面で存在感を示すべきチャンスであって、そういう大きな戦略の面から考えるべきだ。

     そういう戦略のためには、経済をある程度犠牲にしなくてはならない。

     米国も、英仏も今、経済を犠牲にしても、それより価値観を重視する方向をとっている。

    橋下徹氏の主張

     現在、日本の国会議員に、米国の勢いに乗じて、中国の体制を変えようという人がいるが、トランプ政権が続くかわらかないのであるから、二階幹事長のように、中国との関係を、「パイプをあのように太くする政治家」を増やさなくてはいけない。

     これに対して櫻井氏は、現実には経済的につながっているところがあって、全部断ち切ることはできないが、戦略は変えなくてはいけないと反論した。

    宮家邦彦氏の主張

     宮家氏は、櫻井氏のいうように、戦略的なレベルで考えた上で判断していかなくてはいけないという。

     宮家氏も、日本に帰ってくることのできないところがあることを認める。しかし戦略的な価値については、戦略的に考えて、日本に帰るようにしなくてはいけないという。

    考察

     橋下氏も、日本は自由民主という価値観を基軸として、そのためにはたらくべきだという。その上で、中華人民共和国とのパイプをもった方がいいという。

     そこだけを聞くと、櫻井氏、宮家氏と同じことを言っているように聞こえなくもない。

     しかし橋下氏の考えは、櫻井氏、宮家氏と違うようである。

     櫻井氏、宮家氏は、戦略と戦術とを区別している。日本は戦略において、方向転換しなくてはならない。その上で、現実的につながらなくてはならないところについては、戦術として考える。これが櫻井氏、宮家氏の考えである。

     それに対して、橋下氏のように、二階氏のような政治家を増やせということは、戦術にとどまることではなく、戦略に関わることになる。

     今の日本は、二階氏によって、中華人民共和国寄りになっていると言われている。

     今の日本において、橋下氏のように、二階氏のような政治家を増やせということは、櫻井氏、宮家氏のように、日本はこれまでのような中華人民共和国との関係から方向転換しなくてはならない、という戦略に反対することではないか。現在、二階氏によって中華人民共和国に傾いていると言われる日本の戦略を変えないということではないか。それどころか、橋下氏は、二階氏のような政治家を増やせというのであるから、今以上に日本を中華人民共和国寄りにしろということではないか。

    二階俊博氏

     7月7日に、自民党の外交部会、外交調査会が、香港国家安全維持法の施行を受けて、習近平中華人民共和国国家主席の国賓としての来日の中止を要請する決議文をまとめた。

     しかし二階氏によって、自民党の決議ではなく、自民党の外交部会、外交調査会の決議というかたちにおさえられた。

     このことによって二階氏が現在の国際関係に対してどのようなはたらきをしているか、多くの人にわかりやすくなった。

     次のテレ東の動画には、二階氏の反応がそのまま映っていて、興味深い。

    テレ東NEWS
    自民党「習近平主席の国賓来日中止要請」決議の本文読み上げ+政権幹部の反応をじっくり見せます(2020年7月10日)

     二階氏は、自民党として香港国家安全維持法に抗議して、習近平国家主席の国賓としての来日に反対することに、反対しているのである。

     ついでに、石破氏、公明党の山口氏も二階氏と同じ立場をとっていることをおぼえておこう。

     ちなみに、宮家邦彦氏は、前に、番組で、習近平国家主席を国賓としてよぶことはすでにきまっているのであるから、日本は、よんだ上で、言うべきことを言うべきだと言っていた。
     その考えは変わったのであろうか?

     橋下氏は、今、米国とともに中華人民共和国に対抗すべきだという意見をもった国会議員が多くて、二階氏のようなことを言うことが憚られるようになっているという。

     それを聞いて、橋下氏が語ることと、私が見ていることと、違うと思った。

     香港国家安全維持法に対する動きを見ても、米国とともに自由民主の価値観の側に立って中華人民共和国に対抗すべきだという意見をもった国会議員の主張は、二階氏などによって抑えられている。

     橋下氏によると、今、日本は行き過ぎているゆえに、それに対してバランスをとらなくてはならないようであるが、今、日本は行き過ぎておらず、二階氏のような人によって抑えられている。

     今の日本は、米国に比べても、英国、オーストラリアに比べても、インド、フランスに比べても、中華人民共和国に対抗する動きは弱い。

     その上に、橋下氏のいうように、二階氏のような人が増えると、日本は逆方向に行き過ぎることになるのではないか?

     橋下氏は、トランプ大統領が再選されなかった場合のことを問題とする。たしかにトランプ大統領が再選されなった場合、米国の政策は変わるかもしれない。
     しかし大統領選は11月であって、7月現在、まだどうなるかわからない。そういう状況で日本は、トランプ大統領が再選されなかった場合のことを考えて、トランプ政権と反対の行動をとることが正しいことなのか?
     現在、米国は次々と中華人民共和国に対して厳しい法案を作っているが、それは議会が作っているのであって、米国議会は、与野党ともに中華人民共和国に対して強硬である。

    「維新」と中華人民共和国との関係

     今度の橋下徹氏の発言を聞く限り、橋下徹氏は中華人民共和国に偏っているように見える。

     今、「維新」と中華人民共和国との関係が問題とされている。

     新型コロナウイルスの感染が拡大してから、他の野党の支持率が伸び悩む中で、「維新」の支持率は伸びた。

     吉村大阪府知事は人気者になっているようである。

     「維新」は、思想的には保守寄りということで、保守派にも支持されているようである。

     しかし「維新」に対して中華人民共和国寄りではないか、と疑う人はいた。

    ソフトバンク

     たとえば吉村大阪府知事がソフトバンクの孫正義氏とツイッターでやりとりをしたときなど話題になった。

     孫正義氏は、中華人民共和国と関係の深い人である。

     米国は、中華人民共和国と関係の深い企業を排斥する方針をとってきている。その中でソフトバンクに対しても高く評価していない。

     米国務省は5Gのクリーンな会社CLEAN COMPANIESを選んで発表しているが、日本からは、NTTとKDDIだけが選ばれていて、ソフトバンクは選ばれていない。

    https://www.state.gov/5g-clean-networks/

    Tik Tok

     大阪府はまた、ByteDance株式会社と連携すると発表した。ByteDance株式会社は「TikTokを活用した若年層を含む幅広い世代に向けた府政情報や大阪の魅力発信支援」をするという。

    https://osakameikan.news/news/osakasm20200721/

     米国では、Tik Tokを利用すると、個人情報が中華人民和共和国に渡る恐れがあるとして、利用を禁止する法案が作られている。

     ロイターによると、7月22日、米議会上院の国土安全保障・政府活動委員会は、中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を連邦政府職員が政府支給の端末で利用することを禁止する法案を全会一致で可決した。

     下院も、連邦政府職員によるTikTok利用禁止が盛り込まれた防衛政策法案を賛成多数で可決している。

     上院でも可決されれば、法案は成立するという。

    https://jp.reuters.com/article/usa-tiktok-vote-idJPKCN24N2S5

    (追記)8月1日にトランプ大統領はTik Tokの米国での利用を禁止する意向を明らかにした。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200801/k10012545141000.html

     2020年7月、米国でTik Tokの利用を禁止する法案が作られている、その時に、大阪府は、Tik Tokを利用することを自ら発表している。

     大阪府は、米国などと反対の道をとるようである。

     大阪府が米国などの動きを知らなかったとすると、愚かだと言わなくてはならない。

     大阪府が米国などの動きを知っていたとすると、わざわざそれと反対の道をとっていることになる。

     「維新」はこのように米国と反対に中華人民共和国に近づく道をとっている。

     橋下氏が二階氏のような政治家を増やすべきだという言葉は、大阪府と同じく、米国に反対して中華人民共和国と親しくするという考えを示しているのではないか?

    追記(7月28日)

     橋下徹氏の上の発言に対して、百田尚樹氏が批判した。そのことは私にとってどうでもいいことであったので、放っていた。

     ところが7月28日に、橋下徹氏が百田尚樹氏にかみついたというので、とりあげざるをえなくなった。

     百田尚樹氏のことは、今どうでもいい。問題は橋下徹氏だ。

     橋下氏は、「政治なんて表と裏、あの手この手でずる賢くやるもの」という。これは番組でも言っていたことである。
     私もそうだとおもう。

     問題は橋下氏がそのことの具体例として二階氏の名を出したことである。それでは「威勢よく吠えるだけの連中」に対してバランスをとることにはならない。「威勢よく吠えるだけの連中」を抑え込むことになる。

     そもそも今、中華人民共和国に対して批判的な立場をとることを、「威勢よく吠えるだけ」と言うことができるだろうか。

     今はむしろ米国に近い立場をとってみせることが「ずる賢くやる」ことでもあるのではないか?

     橋下氏の言い方にも問題がある。

     橋下氏も、二階氏と同じように、自分の立場を日本国民に納得させるつもりがないように見える。

     二階氏の上の動画での発言を聞いて納得できる人はいないであろう。

     橋下氏の発言でも、政治は「ずる賢くやる」ものだという一般論と、二階氏のような人を増やせという個別の論議との関係が説明されていないことに問題があるのに、橋下氏はそのことをちっとも説明してくれない。「俺の真意がわからん者は一から近現代史を勉強しなおせ」などと突き放している。

     たしかに対米戦争の時に日本は「自分たちの力を弁えず威勢よく吠えるだけの連中」によって誤ったかもしれない。
     しかしそのことを反省しなくてはならないというならば、日本の力、米国側の力、中華人民共和国側の力を明らかにした上で、二階氏のような人を増やすことが正しいということを納得させなくてはならない。

    足立康史議員の発言

     「維新」はみな橋下徹氏のように、日本は二階俊博氏のような人を増やすべきだと考えているのであろうか?

     私は足立康史議員のような人が何と言うか、気になっていた。

     7月30日に、足立氏の発言が出た。

     足立議員は常々、「維新」以外の野党を厳しく批判し、与党に対しても厳しく批判している。
     そういう人が橋下徹氏の発言に対して何を言うかと思っていると、無条件の擁護であった。

     橋下徹氏の「真意」には価値がある、しかし理解されていないというならば、何故に足立氏はそのことを理解されるように説明しないのか?

     そもそも橋下氏の発言の問題は「真意」がわからないということにある。

     橋下氏の「真意」が、櫻井氏、宮家氏と同じように、戦略としては、米英の側に立ち、ただ戦術として、中華人民共和国とのつながりを考えるというものであるとすると、橋下氏は多くの人に誤解されているということになる。
     しかしその誤解の原因は、橋下氏がわざわざ二階氏の名を出したことにある。橋下氏の説明が拙劣だったことにある。

     しかし橋下氏が、米英側とタッグを組むことを基軸とするといいながら、櫻井氏、宮家氏の言う戦略的な方向転換に同意すると言わず、二階氏のような政治家が増えることを望むと言っているところを聞くと、橋下氏の「真意」は、現状維持、あるいは中華人民共和国との関係を進める方向にあるように聞こえる。

     足立氏の立場は、橋下氏の立場と違うのではないか、と思うのである。

     今の足立氏の立場は次のツイートにあるとみていいだろう。

     この足立氏の言葉、門田氏の言葉は、橋下氏の言葉と一致しているのか?

     二階氏の考えが足立氏、門田氏の考えと一致しているとは思えない。橋下氏が二階氏のような人を増やすべきだということは、足立氏、門田氏の考えと一致しないことではないか?

     橋下氏の考えでは、足立氏、門田氏の考えは「自分たちの力を弁えず威勢よく吠えるだけ」ということになるのではないか?

     「日本の内弁慶が治るのに5年10年かかる」というのも、私には理解できない。

     今の日本に、5年10年かけて治さなくてはならないような「内弁慶」があるのか?

     そもそも「内弁慶」というのはどこの国にもあることではないか? 問題はバランスである。

     韓国、北朝鮮、中華人民共和国などは、「内弁慶」が前面に出ているように見える。

     それに比べると、日本の右派言論人に「内弁慶」のところがあるとしても、はるかに抑えられている。
     5年10年かけてどう治すというのか?

    橋下徹氏

     追記はここまで、と思っていると、橋下氏がまだ続けていた。

     いまだに百田氏にこだわっている。「百田のオッサン」などとよんでいる。

     橋下氏は誰に向かって物を言っているのか? 百田氏の言葉を気にする人だけに向かって物を言っているのか? すべての政治家、すべての国民に向かって物を言うつもりはないのか?

     あいかわらず、橋下氏は説明すべきことを説明していない。

     表で殴り合っても、裏ではつながっていなくてはならない、それが「政治の基本」だという。そこまではよい。

     問題は、橋下氏がそのために二階氏のような政治家が必要だと言っていることである。

     二階氏は現在多くの人に批判されている政治家である。橋下氏がわざわざ、そういう二階氏が必要だということを納得させるためには、それだけ二階氏が役に立つということを説明しなくてはならない。
     ところが橋下氏は二階氏がどう役に立つというのか、全く説明しない。
     それでは誰も納得するわけがない。

     橋下氏は、二階氏と同じように、中華人民共和国に傾いているようにも見える。そのことに対する明確な反証はない。

     橋下氏は、ただ言葉を弄しているようにも見える。何かうまいことを言って見せたかっただけのようにも見える。
     具体的なことを考えていたのではなく、ただ表で殴り合っても裏でつながっていなくてはならないという「政治の基本」を言いたかっただけであったかもしれない。
     そうだとすると、具体的なことを考えずに混乱を招いたことの責任があることになる。

     そもそもテレビのような表の場で、表の戦略をどうするかを聞かれているのに、表の戦略をあいまいにして、裏のことばかり言うのがおかしい。裏のことが必要だと思うならば、裏で動いていればいいのではないか?

     橋下氏自身、表のことと、裏のこととを区別するという「政治の基本」を行うことができなかったようである。

     いまだに百田氏のことを「気にして」いる。

     与党に対して、他の野党に対して、厳しいことを言う足立氏が、橋下氏に対してこのように甘いことを言っているところを見ると、痛ましい。

     「いい意味でプロレスみたいなもの」というのも、橋下氏に媚びすぎではないか?
     橋下氏の考えが、足立氏の言うことと一致しているとすると、橋下氏が余計な発言によって、余計な批判を大量に引き起こしたということになる。「いい意味」に解釈できるものではないのではないか?

     橋下氏の考えが、足立氏の言うことと一致しているかどうか、橋下氏の返事を見ても、やはりわからない。橋下氏は、そのまず作る「体制」というものを、二階氏によって語っている。それでは、足立氏の言うことと一致しないのではないか?

  • 米中対立とまわりの国々―香港国家安全維持法の影響

    米中対立とまわりの国々―香港国家安全維持法の影響

     2020年、中華人民共和国米国との対立はますます緊迫したものになってきている。

     その対立を進める原因となったのが香港の国家安全維持法であった。

     香港の国家安全維持法をめぐって、それぞれの国がどのように動いてきたか、それぞれの国を代表する人々のツイートを並べて、再構成してみよう。

     新型コロナウイルスの影響で、5月22日に始まった全国人民代表大会で、中華人民共和国は、香港国家安全法を提出した。

    英国

     英国のラーブ外相はそれに対して懸念を示した。

     英国はこの時に、オーストラリアカナダとともに懸念を示している。

     その懸念にもかかわらず、香港国家安全法は5月28日に採択された。

     ラーブ外相は、香港の国家安全法は英中共同声明と相いれないという。そして、米国オーストラリアカナダとともに懸念を示している。

    EU

     英国の立場にEUも同調した。

     英国を含む「ファイブ・アイズ」と、EUとが、香港問題に関して同じ立場に立って中華人民共和国に反発しているというのである。

    ファイブ・アイズ Five Eyes

     香港問題に関して、英国カナダ米国オーストラリアニュージーランドが団結している。

     「ファイブ・アイズFive Eyes」といわれる国々である。

     ラーブ外相は、この国々が英国の「最も親しい国closest friends and allies」であるという。

     オーストラリア外相。

     ニュージーランド副首相、外相。

     カナダ外相。

     ラープ外相は、フランスとの関係も強化している。

     そして、中華人民共和国に対しては、再考を求めている。

    それぞれの国の動き

     6月4日、オーストラリア首相、インド首相の会談。

     オーストラリア首相。

     インド首相。

     6月17日、首脳会談。

     英国首相。

     ジョンソン首相は、オーストラリアとの密接な関係を強調している。

     G7もまた、香港国家安全法について、中華人民共和国に反対する立場をとる。

     サイバーアタックに対してオーストラリアとともに戦うという。

     中華人民共和国は6月30日、香港国家安全維持法を可決、7月1日から施行されることにした。

     台湾

     蔡英文総統は、香港の民主派を支持する立場を明らかにした。

     オーストラリアも香港の民主派を支持する。

     香港返還の一方の当事者であった英国中華人民共和国が約束を破ったことを非難した。

     そしてまたこの問題に関して、ファイブ・アイズの団結を強めている。

     ロシア

     プーチン大統領は、中華人民共和国の国家安全維持法を支持する立場を明らかにしている。

     イランシリア

     いずれも中華人民共和国に近づいている国であって、米国を嫌い、米国に対抗するために結びついている。

    ロシア、シリアとファイブ・アイズ

     ファイブ・アイズは、シリア、ロシアに対して批判的である。

     ラーブ英外相は、ロシアに支持されたシリア政権の戦争犯罪を非難している。

     そして英国米国カナダとともにロシアのサイバーアタックを非難している。

    日本の立場

     7月9日に、日本の安倍首相とオーストラリアのモリソン首相との会談が行われた。

     モリソン首相は、2年にわたって日本との関係を進展させてきたこと、日本と価値観を共有していること、ポストコロナのことについて近い立場にあることを強調している。

     それに対して日本の安倍首相。

     安倍首相はここで立場を明らかにしているようである。

     日本は、オーストラリア米国インドと「自由で開かれたインド太平洋を目指す」という「共通の目標をもつ」というのが、安倍首相の立場である。

     モリソン首相と「認識を完全に共有しました」というのは強い言葉である。

     日本オーストラリアは、米国とともに、中華人民共和国を牽制する共同訓練を行った。

    緊迫

    ポンペオ国務長官、訪英。

     米国のポンペオ国務長官は英国を訪れた。

     英国首相と会談。

     英国首相。

     ポンペオ国務長官はこの時に、香港の民主派、香港衆志demosistoの党首であって、英国に亡命しているNathan Law羅冠聰と会談していた。

     Nathan Lawはこの訪問を非常に歓迎している。

     二人は香港について語り合った後に、新疆のこと、チベットのことについても語り合ったという。

    ポンペオ国務長官、ニクソン大統領図書館でスピーチ

     ニクソンは、大統領として、米国中華人民共和国との国交を再開させた人である。
     そのニクソンの大統領図書館で、ポンぺオ国務長官は、中華人民共和国を非難した。

     ニクソンは、中華人民共和国が自由な国家になることを考えて、国交を再開しようとした。

     しかし中華人民共和国は、いまだに自由を抑圧する国家だとポンペオ国務長官はいう。

     中華人民共和国は、旧ソ連と同じように、信用できない国だという。自由を容認しない体制になっているという。

     自由世界は今、中華人民共和国を変えなくてはならない、とよびかけている。

     以上の演説は、米国務省のYOUTUBE動画にすべておさめられている。

    U.S. Department of State
    Communist China and the Free World’s Future: Secretary Pompeo at the Nixon Presidential Library 2020/07/24

     ポンペオ国務長官のスピーチで言及された香港の民主派Jimmy Laiのツイート。

    https://twitter.com/JimmyLaiApple/status/1286433945551347712?s=20

     ポンペオ国務長官の言葉は、香港の民主派の考えと一致しているのである。

     同じ時に、米国は、ヒューストンの中華人民共和国総領事館の閉鎖をもとめ、立ち入って捜査するに至っている。

     事態は緊迫している。

    ペイン豪外相、訪米

     7月末にオーストラリアのペイン外相が米国を訪問した。

     ペイン外相も両国の間で共有されている自由と民主の価値が両国の関係の基盤となっていると語っている。

     米国務省の動画。

  • 新型コロナウイルス 中国の初期対応

    新型コロナウイルス 中国の初期対応

     私がこの記事を書いたのは、新型コロナウイルスCOVID-19の感染者は1000万人を超え、死者は50万人を超えたところであった。

     それでも大変なことだと思っていたが、今や感染者は2億人に迫り、死者は400万人に迫っている。

     そのはじめ、2019年から2020年にかけて、中国がこの新型ウイルスに対してどのように対応していたか、振り返ってみよう。

     1月23日午前10時から武漢は閉鎖された。

     下の動画はそのことを報ずるものである。

     改めて見ても、国内で封鎖を行っているその時に、国外に向かう旅行客を自由にさせている様子は、奇怪である。

    テレ東NEWS
    中国 武漢市を事実上封鎖 2020/01/23

     中国で起こった新型コロナウイルスに対しては、中国の医師が立ち向かわなくてはならなかった。

    ANNnewsCH

    武漢の医師が涙声で訴え 病院に肺炎患者らが殺到(20/01/25)

     一月の動画である。私も、三月前半までは、武漢の状況を伝える動画に対して、対岸の火事のように見つつも、衝撃を受けたおぼえがある。

     今になってみると、どうであろうか?
     世界中でこういうことが起こっているのであろうか?

     最も話題になった李文亮医師に関する動画。

    NTDTVJP
    新型肺炎を最初に警告した李文亮医師死去 「情報封鎖でウイルスがさらに拡散」【武漢病院 新型コロナウイルス】 2020/02/08

     この動画には、李文亮医師が2019年12月30日にウィーチャットで、新型コロナウイルスの発生を確認したと発信した言葉、それに対して2020年1月1日に武漢市公安当局が事実でない情報を公表したとして、李文亮医師等八人を処罰したというその文書、1月11日まで、人から人への感染があったにもかかわらず、当局はまだ見つかっていないと言っていたという論文が出てくる。

     当局が、李文亮医師等の言葉を事実に反するとしたこと、そして処罰したこと、そして人から人への感染について、あったにもかかわらずないと言っていたこと、いずれも非難されてしかるべきことである。

     「李文亮第二?」という動画もある。

    https://www.youtube.com/watch?v=MZ8InsyYjdE
    東森新聞 CH51
    李文亮第二?伯曼兒確診 疑遭陸逼死「硬拔氧氣瓶」 2020/02/14

     この動画では、病床で苦しんでいる女性が、「相信国家、相信政府」と言っている。
     言わされているのではないか、というのである。

     中国のジャーナリストで、自ら真相を探ろうとした人がいた。

     陳秋実氏。

    https://www.youtube.com/watch?v=qxdPvsfNx2c&t=244s
    Yoshiyuki TV
    【新型コロナウィルス】武漢で公安警察に脅されながらも、独自調査を続ける陳秋実さんからの魂の現地報告【和訳付き】 2020/02/02

     方斌氏。李澤華氏。

    NTDTVJP
    市民ジャーナリストを次々逮捕 元CCTV司会者李澤華さん連行| 方斌 | 李澤華|陳秋実 2020/03/08

     李澤華氏は、その後、4月に、2月26日以後のことについて、動画を配信しているが、コメントで言われているように、当局の強制によるものであろうか?

    Kcriss Li李澤華
    我是李泽华Kcriss,这是2月26日至今关于我的一些情况。I’m Kcriss, here is something about me since February 26th. 2020/04/22

     最後に政治家についてみてみよう。

     2月の習近平国家主席。

    https://www.youtube.com/watch?v=C4fwNUqy0kE
    FNNプライムオンライン
    習近平主席 マスク姿で北京の病院視察 新型コロナウイルス 2020/02/11

     上に挙げた動画の、緊迫した医療現場とは違うところにいるようだ。

     3月5日に、孫春蘭副首相が武漢を視察したが、その時に、住民から「假的(仮的=うそだ)!」という声があがった。その光景が撮影されていた。

    民視新聞網 Formosa TV News network
    向中國副總理喊「假的!」 武漢社區遭報復封樓-民視新聞 2020/03/08

     「假(仮)」というのは、「真」と対立することである。(余談であるが、私は「紅楼夢」を思い出す)

     武漢市民の中国政府に対する考えがあらわされたものと思われる。

     この動画の後半に出てくるように、武漢市書記の王忠林は、「感恩教育」を主張している。
     「感恩教育」とは、習近平総書記に対し、共産党に対して、感謝し、恩義を感じて、共産党にしたがうように、武漢市民を教育することのようである。

     その数日後、3月10日に、習近平国家主席の武漢視察があった。

    中華電視公司
    習近平武漢視察 火神山慰問醫護人員 | 華視新聞 2020031 2020/03/10

     わざわざ窓から手を振る人を映している。
     数日前に、副首相に対して、非難を浴びせていた住民が、数日後に、国家主席に対して、ただ歓迎の意をあらわすことはおかしい。
     警察が住民の家に入っていたという。

     こういうところでうそをついているのであるから、なおさら、他のことも信用できないのである。

    https://www.youtube.com/watch?v=6d8UEcXMeaU

     習近平国家主席は、一部党幹部の能力不足に問題はあるというが、はじめに隠蔽しようとしたことに問題はあるのではないか。

    https://www.youtube.com/watch?v=k60Ru-2aS8E
    ANNnewsCH
    習近平主席 湖北省の幹部らに「警鐘は早く的確に」(20/05/26)

     はじめに隠蔽しようとしたことに問題があるのに、あくまでもそのことを問題にしないつもりのようである。