上川外相の発言が話題になった。しかしその発言がどうして話題になったかを考えると、発言そのものではなく、その発言を話題にした共同通信の動きが問題として見えてくる。
多くの人は共同通信に問題があると思っていない。しかし上川氏の発言を巡る動きのように共同通信には問題があるところがある。共同通信は上川氏に悪い印象をつけ、発言を撤回させることができる権力者である。しかしその正体は隠れている。
今度のことなどによって共同通信の問題を知る人は多くなった。しかしなお全体の中では少数にとどまっている。多くの人が共同通信の問題を知ってその解決に向かって動かなくてはならない。
上川外相の発言と共同通信の報道
2024年5月18日19時ころ、共同通信が伝えた上川陽子外務大臣の発言が問題とされて、翌日19日に上川氏が自分の発言を撤回するに至った。
しかし上川氏の発言で問題とされたことと、上川氏の発言そのものとは同じでなかった。
記事によると、上川氏は静岡県知事選で自民党推薦候補を当選させることを「うむ」と言って、「私たち女性がうまずして何が女性か」と言った。
上川陽子外相は18日、静岡県知事選応援のため静岡市で演説し、自民党推薦候補の当選に向け「私たち女性がうまずして何が女性か」と述べた。新知事を誕生させる趣旨とみられるが、出産困難な人への配慮を欠くと指摘される可能性がある。
共同通信 「うまずして何が女性か」と上川陽子外相
ところが共同通信は「出産困難な人への配慮を欠くと指摘される可能性がある」ということを問題としている。
上川氏は共同通信も認めるように「新知事を誕生させる趣旨」で「私たち女性がうまずして何が女性か」と言ったのであって、子供を産まない女性を否定などしていない。しかし共同通信はそういう問題があるかのように語っている。
「うまずして何が女性か」を見出しにしていることも、上川氏が子供を産まない女性を否定したかのような印象を与える。
下の記事参照
表と裏
上川氏の発言そのものと、共同通信がそれに対して与えた印象とは異なるものになっている。
そのことは調べればわかることである。それゆえにSNSで多くの人が、共同通信のつくり出した印象、そしてその印象によって上川氏を非難する人に対して反論した。
しかし多くの人は報道をそのまま受け取る。報道であると言われたことはあると受け取る。
共同通信は事実をそのまま伝えるように思われている。
多くのメディアが共同通信の記事を流すということもある。たとえば、
まずYahooニュース。(18日18時55分)早い。中身は共同通信のはじめの記事。
毎日新聞は18日19時33分。共同通信の記事。発言要旨が加わっている。
日経新聞は18日19時35分。21時49分に更新。共同通信の記事。発言要旨が加わっている。
東京新聞18日21時54分。
朝日新聞は19日0時49分に記事を出した。「共同通信が報じ、朝日新聞は関係者に確認した。」とある。
そしてNHKは19日5時27分、「上川外相「うまずして何が女性か」静岡県知事選挙の応援演説で」という共同通信の記事と同じ見出しで同じように上川氏が「うまずして何が女性か」と述べたということを前面に出した記事を出している。
このように多くのメディアは共同通信が流したことをそのまま流しているのであるが、読者、視聴者には、多くのメディアがそれぞれ独自に取材して同じ結論を得ているかのように見える。
共同通信が正体を隠した権力者であるというのはそういうことを言うのである。多くの人に上川氏が悪いことを言ったかのような、悪い考えを持っているかのような印象を与えることができた。上川氏に発言を撤回させることもできた。
選挙との関係
そもそも問題とされた上川氏の発言は、選挙の応援演説でのことであった。川勝氏が辞めた後の静岡県知事をどうするかという選挙である。共同通信は上川氏の応援演説の印象を悪く見せているわけである。
共同通信のような強大な力をもった権力者が選挙において印象操作することは問題とされなくてはならないことではないか?
日本ファクトチェックセンターも選挙における誤情報を問題にしている。
朝日新聞の「EU、選挙を見据えMSに情報要求 生成AI使った偽情報対策で」という記事を引用し、
EUがロシア系のメディアの活動を禁止する決定を引用している。
今度の共同通信の動きもそのように問題とされなくてはならないことではないか?
ところが共同通信が記事を配信した次の日に1週間のファクトチェックをまとめているのに共同通信のことを問題にしていない。
「ファクトチェック」ということでまさに問題としなくてはならないことえはないか?
外交への影響
上川氏の発言に関して、立憲民主党の泉健太代表は「外相としての資質も疑われる発言だ」と言ったという。
立憲民主党の泉健太代表は19日、上川陽子外相の静岡県知事選を巡る発言に関し「冷静に言葉を伝えなければ、外交上の問題も発生する。外相としての資質も疑われる発言だ」と記者団に語った。
共同通信 外相としての資質疑われる発言と立民代表
共同通信が伝えている。放火した人が火事のことを伝えているようである。
今度のことでは上川氏の発言より、共同通信の伝え方に問題がある。「外交上の問題も発生する」というが、その原因を作っているのは共同通信である。
たとえば英語版で共同通信は誤解を招くようなことを外国に向けて発信している。
上川氏は選挙で候補者を当選させることに「うむ」という言葉を使ったのに、その「うむ」という言葉を前面に押し出している。
次の記事では「childbirth」すなわち子供を産むことが前面に押し出されている。
外相について事実を伝えるのではなく事実をゆがめて外国に向けて発信する共同通信の資質こそ、問われなくてはならないのではないか?
産経新聞の取材に対して共同通信社国際局は次のように答えたという。
一連の発言は『出産』を比喩にしたものと考えられます。上川氏が『出産』と明示的に述べなかったとしても、発言の解釈として『childbirth』という表現を用いました
産経新聞 外相「うまずして」英訳記事、男性に言及あり「明示なくても『出産』比喩」 共同通信回答
上川氏が「比喩」として「明示的に述べなかった」「出産」(=childbirth)を見出しにして実際の発言と違う印象にしたという理解しがたいことを行ったわけである。
共同通信の中に問題を解決しようとする動きはないのか? 組織的に印象操作の道を突き進むということなのか? 政治家は批判されると改めるのに、共同通信にそういうことはないのか?
そもそも記者の名前がわからないままであることも気になる。外相に発言を撤回させるほどの権力者であるのに名前は明らかでない。
おわりに
共同通信の正体は多くの人には見えない。しかし印象操作をする力を持っている。政治家の発言を歪曲して撤回させることもできる。
そのことは一歩踏み込めばわかることである。しかし多くの人は与えられたことをそのまま受け取っている。
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