ビング・クロスビーが「ホワイト・クリスマス」を歌った3本の映画

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フレッド・アステア
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 アーヴィング・バーリンが作曲した楽曲「ホワイト・クリスマス」は、クリスマスの名曲として広く知られている。

 「ホワイト・クリスマス」はもともと映画「スイング・ホテル」のために作られた楽曲である。

 その後に映画「ブルー・スカイ」でも使われた。

 そして、ついには「ホワイト・クリスマス」という映画が作られるに至った。

 3本の映画は、いずれもそれぞれ公開された年に大ヒットしている。

 その3作品はどのように連続しているか? どのように変わっていったか?

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「ホワイト・クリスマス」3部作

 3本の映画は次の通り。

「スイング・ホテル」

 1942年6月公開。

 原題は “Holiday Inn”


スイング・ホテル [DVD]

「ブルー・スカイ」

 1946年9月公開。

 原題は “Blue Skies”


ブルー・スカイ [DVD]

「ホワイトクリスマス」

 1954年8月公開。

 原題は “White Christmas”


ホワイト・クリスマス [Blu-ray]

3作品の連続性

 3本の映画には連続性がある。

・いずれもパラマウントでビング・クロスビーを主演として企画されている。

・いずれもビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演作品であるか、共演作品として企画された作品である。

 ただし話がつながっているのではない。役名も違う。

・いずれもアーヴィング・バーリンの楽曲によるミュージカル映画である。

・いずれも前の作品で歌われた歌を歌っている。―特に「ホワイト・クリスマス」を。

「スイング・ホテル」

 1942年の映画「スイング・ホテル」は、ビング・クロスビーの主演作として企画されたが、フレッド・アステアが共演することになった。

 そこで、歌のスター、ビング・クロスビーとダンスのスター、フレッド・アステアが競演する映画になったのである。

 ビング・クロスビーは歌、フレッド・アステアはダンスを同等に披露しているが、話としてはビング・クロスビーが主演であって、ビング・クロスビーとヒロインとの関係が中心になっている。

「ブルー・スカイ」

 1946年の映画「ブルー・スカイ」は、もともとビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演作品として企画されたのではない。

 ビング・クロスビーの相手役は、はじめポール・ドレイパーとされていた。

 途中でポール・ドレイパーの代わりにフレッド・アステアが出演することになったのである。

 したがってはじめは、ビング・クロスビーの主演作品ということでは連続性があるが、ビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演作品ということでは連続性はなかった。

 ところがフレッド・アステアが出演したことで、共演作品としても連続性ができた。

「ホワイト・クリスマス」

 1954年の映画「ホワイト・クリスマス」は、ビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演作品として企画された。

 2人の共演作品の3作目として連続性あるものとして企画されたわけである。

 実際には、フレッド・アステアは出演しなかった。

 したがって2人の共演作品としての連続性はなくなった。

 ただしビング・クロスビーが主演でもうひとりの男性芸人と組むという意味での連続性はある。

楽曲「ホワイト・クリスマス」の位置

 3作品のいずれでも楽曲「ホワイト・クリスマス」が歌われている。

 ただしその扱われ方は変わっていっている。

「スイング・ホテル」

 「スイング・ホテル」は、アーヴィング・バーリンのそれぞれの祝日の楽曲によるミュージカル映画であって、「ホワイト・クリスマス」はそのうちのひとつにすぎない。

 ただし「スイング・ホテル」の中で「ホワイト・クリスマス」は極めて重要なところで使われた楽曲でもある。

 「スイング・ホテル」の話の中心は男女の恋愛にあって、「ホワイト・クリスマス」はその恋愛のために使われている。


Holiday Inn (Original Soundtrack Recording) [Explicit]

「ブルー・スカイ」

 「ブルー・スカイ」では「ホワイト・クリスマス」は本筋とあまり関係ないが、それでも歌われている。

 終盤にビング・クロスビーの演ずる人物が、第二次世界大戦の間に米軍の兵士たちに歌を歌っていたという話の中で、他の歌とともに「ホワイト・クリスマス」を歌うところが描かれている。

 実際にビング・クロスビーがそういうかたちで「ホワイト・クリスマス」を歌っていたことを映画に取り入れたのであろう。

 「スイング・ホテル」の後に、「ホワイト・クリスマス」は兵士たちに歌う歌になっていったのである。


War montage: Any Bonds Today / This Is The Army / White Christmas / God Bless America (from “Blue Skies”) [Explicit]

「ホワイト・クリスマス」

 1954年には、「ホワイト・クリスマス」は、パラマウントがヴィスタ・ヴィジョンの第1作のタイトルとするほどになっていた。

 映画「ホワイト・クリスマス」では、楽曲「ホワイト・クリスマス」はみんなで歌う歌になっている。

 「ホワイト・クリスマス」は兵士たちに歌う歌になっている。

 そのことと関連して、映画「ホワイト・クリスマス」は、兵士たちに歌を歌うということが映画の重要な部分になっている。―映画「ホワイト・クリスマス」は、ビング・クロスビーが兵士たちに歌を歌う場面から始まって、兵士たちに歌を歌う場面で終わっている。

 「スイング・ホテル」でも「ブルー・スカイ」でも、ビング・クロスビーとヒロインとの関係が映画の中心になっていたが、「ホワイト・クリスマス」では、将軍との関係がそれより重要になっている。

 その他にも。

 映画「ホワイト・クリスマス」では、「ホワイト・クリスマス」、すなわち雪の降るクリスマスということが劇中で感動的なことであるように演出されている。

 「スイング・ホテル」では、終盤の「ホワイト・クリスマス」で降る雪は、劇中で人工的なものとされている。


White Christmas (Original Soundtrack) [1954]

戦争との関係

 3作は戦争―第二次世界大戦と関係するところがある。

「スイング・ホテル」

 「スイング・ホテル」の企画はもともと第二次世界大戦と関係なかった。

 「スイング・ホテル」が製作されている時に米国が第二次世界大戦に参加したゆえに、映画の中に戦争と関係するところが加えられたようである。

 独立記念日にビング・クロスビーが歌う「自由の歌」(”Song of Freedom”)は米国の主張を歌うものであって、米軍の映像などが使われている。

「ブルー・スカイ」

 「ブルー・スカイ」では、ビング・クロスビーの演ずる人物とフレッド・アステアの演ずる人物とは軍隊で一緒だったという設定になっている。

 ビング・クロスビーが「私の大尉が今私のために働いている」( “I’ve Got My Captain Working for Me Now” )という歌を歌っている。そのことをよろこばしいこととする歌である。コメディアン、ビリー・デウルフを大尉としてコミカルに歌っている。

 そして終盤、第二次世界大戦の時期になって、ビング・クロスビーの演ずる人物が兵士たちに「ホワイト・クリスマス」などを歌っていたということになっている。

「ホワイト・クリスマス」

 映画「ホワイト・クリスマス」は、ビング・クロスビーとダニー・ケイが軍隊で歌を披露している場面から始まる。

 そして軍隊で理解ある存在であった将軍が、戦後に雑用をやっていることを悲しいこととして、そういう人を救うということが話の中心になっている。

DVD、Blu-ray

 「スイング・ホテル」


スイング・ホテル [DVD]

 英語版ではカラー化されたものが販売されている。(もとの白黒もある)Blu-ray。


Holiday Inn – 75th Anniversary Edition [Blu-ray] [Import]

 「ブルー・スカイ」


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