映画「イースター・パレード」 フレッド・アステアとジュディ・ガーランドの唯一の共演

広告
ジュディ・ガーランド
Photo by Miltiadis Fragkidis on Unsplash
広告

(※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています)

 映画「イースター・パレード」(原題は “Easter Parade” )は1948年に公開された映画。

 1940年代から1950年代にかけてMGMでアーサー・フリードのプロデュースによってミュージカル映画の傑作が生み出されていったが、「イースター・パレード」はその傑作のひとつ。

 ミュージカル映画の歌うスター、ジュディ・ガーランドと、ダンスのスター、フレッド・アステアが初めて共演して、傑作となった。(しかし最後の共演となった)

 「イースター・パレード」をはじめとするアーヴィング・バーリンの名曲の数々。

 ジュディ・ガーランドの歌、フレッド・アステアのダンス、それぞれひとりで魅せるところ、ふたりで歌、踊りを合わせて魅せるところ、見どころは多い。

 その上にアン・ミラーがフレッド・アステアと踊るところ、ひとりで踊るところも素晴らしい。


イースター・パレード [Blu-ray]
広告

イースター

 イースター(英語ではEaster)は「復活祭」とも訳される。キリストの復活を祝う祝日。

 春分の日の後の最初の満月の日の次の日曜日、と決められている。

 年によって違うが、3月の終わりか4月の初め。

 冬の寒さがゆるんで、暖かい風が吹き始める。日差しが明るくなって人の心も浮き浮きしてくる。

 映画「イースター・パレード」もそういう感じで始まる。

 明るい街の中をフレッド・アステアが口笛を吹きながら浮き浮きした様子で歩いて行く。

豪華

 フレッド・アステア(の演ずる人物)が女性の帽子を買いに店に入るところから映画は始まる。

 どうして帽子を買いに来たのかというと、イースター・パレードのためである。

 イースター・パレードとは、イースターの日に、ニューヨーク5番街の49番通りから57番通りの間、特にセント・パトリック大聖堂のあたりで、イースターバニーや、大きな花の飾りをつけた帽子をかぶる人達が歩くというもの。

 フレッド・アステアはパートナー(アン・ミラー)のイースター・パレードの帽子を買いに来たのである。

 そのためにフレッド・アステアは帽子屋に入る。そして様々な女性が帽子をかぶって見せる中から選ぶのであるが、これはいわばファッションショーである。豪華な店で華やかな若い女性たちが豪華な衣装を着てみせるファッションショー。

 ここだけでなく、「イースター・パレード」という映画は全体としてファッションショーのようである。後にファッション雑誌を映画でやってみせたりもしている。( “The Girl on the Magazine Cover” )

 ファッションショーということは「イースター・パレード」という映画の本質に関わることである。

 もともとニューヨーク5番街のイースター・パレードはファッションショーのようなものともいえる。

 ファッションショーといっても、気取って背伸びしているのではなく、落ち着いて堂々としている。色が鮮やかであるが、深みもある。

 フレッド・アステアと多くの作品で共演していたジンジャー・ロジャーズはこの映画をみて作り手に手紙を送って「真のアメリカの美」( A TRUE AMERICAN BEAUTY )と称賛したという。

CONGRATULATIONS EASTER PARADE IS A TRUE AMERICAN BEAUTY

MGM’s GREATEST MUSICALS The Arthur Freed Unit p.234

M-G-M’s Greatest Musicals: The Arthur Freed Unit

 ジンジャー・ロジャーズがどういう意味でそういったのか、必ずしも明らかではない。

 しかし当時のアメリカの美の粋を集めたものにちがいない。

 アメリカはそれぞれの時代にさまざまな印象を与える。その中でこの映画「イースター・パレード」が与えるアメリカの豪華な印象には、その後の時代にはない力強さがある。

 双葉十三郎は「第二次大戦後に輸入された最初の本格的カラー・ミュージカルの傑作」と語っている。(「ミュージカル洋画 ぼくの500本」、文春新書、30頁)

 戦後の日本でこの映画をみて、当時のアメリカの大きさを感じた気持ちは理解できる。

「イースター・パレード」のみどころ

 この映画の第一の見どころは、アーヴィング・バーリンの数々の楽曲によるジュディ・ガーランド、フレッド・アステア、アン・ミラーの歌、踊りであるが、ジュディ・ガーランド、アン・ミラーのコミカルなところも面白い。

 もともとフレッド・アステアの役はジーン・ケリーがやることになっていた。アン・ミラーの役はシド・チャリースがやることになっていた。もともと実際にできた作品ほどコミカルではなかったと言われている。

 高級レストランで人が出たり入ったりして、結局何も飲食せずに帰ってしまうところなど面白いと思う。

 はじめは仕事においても人間関係においてもうまくいかなかった二人が、仕事においてうまくいくとともに、人間関係においてもうまくいって、しかしその間に問題が生じて、という話の流れは自然に盛り上がる。

  “Drum Crazy” のフレッド・アステアのドラムをつかったダンスには驚かされるが、ジーン・ケリーの振り付けのようにも見える。フレッド・アステアがジーン・ケリーの振り付けをそのままやっているのではないだろうか?

 ジュディ・ガーランドが酒場で歌う “I Want to Go Back to Michigan” は郷愁がいい感じ。

 フレッド・アステアとジュディ・ガーランドが組んでからのヴォードヴィルのメドレー、 “I Love a Piano” 、”Snooky Ookums” 、”Ragtime Violin” 、”When a Midnight Choo-Choo Leaves for Alabam’ ” の流れは、楽曲が次々と続いて盛り上がっていくところがよくできている。

 話のつながりとしても、フレッド・アステアが自宅でジュディ・ガーランドに”I Love a Piano” を歌わせて、その才能に気づいて二人で踊りをはじめて、そのまま舞台で歌い踊っているところになって、舞台での”Snooky Ookums” 、”Ragtime Violin” が続いて、公演前に”When a Midnight Choo-Choo Leaves for Alabam’ “をやって見せるところになって、という流れはよくできている。

 アン・ミラーが舞台で一人でタップダンスを見せる “Shaking’ the Blues Away” は圧巻。黒と黄色の衣装もあざやか。

  “It Only Happens When I Dance With You” の歌がそれぞれの場面で3人の気持ちを現わすために使われているところも面白い。

 そして2人がホームレスの恰好をして歌い踊る名作 “A Couple of Swells” 。

 それからジュディ・ガーランドが夜の酒場で歌う情感豊かな “Better Luck Next Time” 。

 そして最後に “Easter Parade” で盛り上がる。

Warner Bros. Entertainment
Easter Parade | Digital Trailer | Warner Bros. Entertainment

 この歌での性別の転換について↓

DVD、Blu-ray

 DVD。


イースター・パレード [DVD]

 Blu-ray。


イースター・パレード [Blu-ray]

コメント

タイトルとURLをコピーしました