山上被告は統一教会のせいで大学に行けなかったのではない? マスメディアの闇

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大学の卒業 政治
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 安倍晋三元首相暗殺事件の山上徹也被告は、母親が統一教会に高額の献金をしたことによって大学に行くことができなかったと言われている。

 ところが事実はそうではなかったという証言が出てきた。

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早い時期の記事

 母親が統一教会に高額の献金をしたことによって大学に行くことができなかったという話は、暗殺事件から間もなく広まった。

 2022年7月15日に次のような記事が出ている。

山上容疑者の伯父は、容疑者が経済難で大学に進学できなかったと明らかにした。

共同通信 「山上容疑者、経済難で大学進学できず」

 統一教会に対する恨みには、それだけの原因があったというのである。

 統一教会はそれだけ悪いことをしたということでもある。

 しかしこの話に対しては疑問も出ていた。

 親が金を出せなくても、大学に行くことはできるのではないか?

 奨学金制度を使うとかアルバイトによって金を稼ぐとかによって大学に通っている人はいるのではないか?

 実際には大学に行かずに、伯父の支援によって予備校に通って公務員試験を受けているのであるが、伯父はそれだけの支援をしたのに、何故に大学受験の支援をしなかったのか?

 伯父の話。

頭脳は明晰だし勉強する意欲もあった。ところが家庭の経済状況から大学進学は断念せざるをえなかった。消防士になるための公務員試験向け予備校に通いたいというので、私が費用の75万円を工面した。
それで何度か受験したのだが、筆記試験は通っても、最後は合格できなかった。徹也は強度の近眼でね。それがネックになったようだ。これが2001年頃のこと。

東洋経済 山上容疑者を凶行に駆り立てた一族の「壮絶歴史」

 「消防士になるための公務員試験向け予備校に通いたい」と言ったというのは、どういうことなのか?

それまでの”山上像”を否定する証言

 「週刊文春」2023年5月4・11日ゴールデンウィーク特大号は、「山上の遠戚にあたる人物」による「これまでの”山上像”を否定する」証言を取り上げている。

 その人物はまず山上被告の母親が破産したゆえに大学進学をあきらめたということを否定する。

こうした経済状況が原因で、徹也が大学進学を諦めたというのはちょっと違うと思います

「週刊文春」2023年5月4・11日ゴールデンウィーク特大号34頁

 そして次のように語る。

徹也は、いろんな大学を受験したものの、志望校ではない奈良産業大学しか受からなかった。それで大学進学を選ばなかったと聞きました

「週刊文春」2023年5月4・11日ゴールデンウィーク特大号34頁

 経済状況が原因で大学進学を諦めたのではなく、大学受験に失敗したゆえに大学進学を選ばなかったというのである。

 大学に進学しなかったのは、統一教会のせいではなく、自分のせいだというのである。

根拠のない言説

 母親が統一教会に献金したことによって大学に進学できなかった、という広く伝わっている話は何であったのか?

 検証せずに伝えられているのではないか?

 安倍氏暗殺事件に関する報道、そしてその後の統一教会に関する報道には、このように根拠の曖昧なまま広まっているものが多い。

 統一教会のせいで大学に進学できなかったすると、それだけ統一教会が悪かったことになる。

 自分で大学進学を選ばなかったとすると、統一教会はそれほど悪くなかったことになる。

 暗殺事件を考える上でも統一教会について考える上でも重要なことであるにもかかわらず、根拠の曖昧な報道がなされていたことになる。

 「週刊文春」が取材した「山上の遠戚にあたる人物」に取材すればわかったことが、事件から10カ月後に報道されている。

 報道機関は何をしているのか?

疑問

 大学進学に関しては、その前にも気になる記事があった。

 たとえば1月13日の記事。

 被告が「服役したあとは「大学へ行きたい」などと話した」と伝える記事である。

 被告はそれまでいた大阪拘置所で大学に行くための勉強をしていたという。

今月10日まで、鑑定留置が行われた大阪拘置所では、大学に行くための勉強をして過ごし、親族からは英語の資格の教材や英和辞典が差し入れられ、特に英語に力を入れて学んでいたということです。

NHK 安倍元首相銃撃事件 被告“服役したあとは大学へ行きたい”

 以上のことを、記事は「被告は、母親が旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」に入信し多額の献金をしたことなどで、家庭が困窮し大学に進学できなかったといいます。」ということと関係づけているようである。

 以前に大学に進学できなかったので、将来大学に進学しようということであろうか?

 それまで大学進学には障壁があったが、「服役したあと」にはなくなるということであろうか?

 それほど大学に行きたいという気持ちがあって、成人して20年以上の間何をしていたのであろうか?

 次のようなところも気になる。

被告は医師に対して、「20歳ごろに、勉強のために伯父にパソコンを買ってもらったが、勉強しなかった」などの出来事も話していたということです。

NHK 安倍元首相銃撃事件 被告“服役したあとは大学へ行きたい”

 伯父の支援を受けていた時のことのようであるが、その時に勉強の機会を与えられても「勉強しなかった」というのである。

 その時には、大学に行きたいという気持ちはなかったようである。

 その20年後に大学に行きたいという気持ちが出てきたのか?

 大学の話が伯父からばかり語られていることも気になる。

 7月15日の記事で「容疑者が経済難で大学に進学できなかったと明らかにした」のは伯父であった。

 1月13日の記事で被告が「服役したあとは「大学へ行きたい」などと話した」ことを伝えたのも伯父である。

 伯父は被告に対して大学に行くことをもとめたという。

妹との手紙を通じて、伯父は「服役後は大学で学を身につけ、世の中のためになってほしい」などという思いも伝えているということです。

NHK 安倍元首相銃撃事件 被告“服役したあとは大学へ行きたい”

 被告が大学に行きたいというのは、事実であるのか? 伯父の思いが混じっていないか?

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