1953年に公開された映画「バンドワゴン」(原題は “Band Wagon” )は、フレッド・アステアの1950年代の名作。
アメリカのミュージカル映画の歴史の中でもすぐれた作品と言われている。

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映画「バンド・ワゴン」のあらすじ
トニー・ハンター(フレッド・アステア)は、かつて人気のある映画スターであったが、今では人気がなくなって、ニューヨークの舞台で再起することを考えていた。
トニーのファンの脚本家夫婦(オスカー・レヴァント、ナネット・ファブレイ)が書いたミュージカル・コメディーの脚本をトニーは気に入ったが、演出を担当する有名な演出家ジェフリー・コルドヴァ(ジャック・ブキャナン)は、それをシリアスなドラマに変えていった。
トニーの相手役として有名なバレエダンサー、ガブリエル・ジェラール(シド・チャリース)が選ばれたが、トニーとガブリエルとの間はぎくしゃくしている。
舞台の準備で様々なトラブルが起こる。
舞台も失敗する。
そこで今度は自分たちのやり方でやりなおそうということで、様々な土地で舞台をやる。
映画「バンド・ワゴン」のみどころ
映画「バンド・ワゴン」は、まずゴタゴタがあって、そのゴタゴタを超えてすぐれた公演が出来た、というかたちになっている。
ストーリー
みどころはまず、そのゴタゴタからすぐれた公演に至るストーリーにある。
「雨に唄えば」の脚本家、ベティ・コムデンとアドルフ・グリーンによる脚本は、コミカルなところもあり、シリアスなところもあり、起伏があって、エンタテインメント賛歌に至る。
ちなみに劇中の脚本家夫婦(オスカー・レヴァントとナネット・ファブレイが演じている)はベティ・コムデンとアドルフ・グリーン自身がモデル。
パフォーマンス
映画「バンド・ワゴン」では、フレッド・アステアをはじめとした出演者によるパフォーマンスが賞賛されている。
まずフレッド・アステアが歌う “By Myself” は哀愁がある。
フレッド・アステア、ジャック・ブキャナン、オスカー・レヴァント、ナネット・ファブレイの4人で歌う「ザッツ・エンタテインメント」(”That’s Entertainment”)は、この映画の精神を歌うものである。
1974年にMGMのミュージカル映画の名場面を集めた映画が作られた時に、この歌のタイトルがその映画のタイトルとされた。この歌は、MGMのミュージカル映画の精神を歌うものとされたのである。
フレッド・アステアの映画では女性と「ロマンティック」なダンスを踊るところがみどころであるが、この映画ではシド・チャリースと夜のセントラルパークの人気のないところで “Dancing in the Dark” を踊るところは陶酔させる。
フレッド・アステア、ジャック・ブキャナン、ナネット・ファブレイの3人が3つ子の赤ん坊の恰好をして “Triplets” を歌うところはコミカルなところ。
映画「バンド・ワゴン」の最大のみどころはフレッド・アステアとシド・チャリースとその他大勢でやる「ガール・ハント」バレエ(The Girl Hunt (ballet))。
当時流行していたミッキー・スピレーンの探偵小説のパロディ。
音楽も、背景も、衣装も、色彩も、演出も、マイケル・キッドによる振り付けもスタイリッシュ。
フレッド・アステアはマイケル・キッドの振り付けによって新たな魅力を出している。
シド・チャリースの妖艶な衣装、身のこなし、特に手の動きによる魔性の女の表現は映画史に残る。
フレッド・アステアのナレーションはアラン・J・ラーナー(「マイ・フェア・レディ」の脚本家・作詞家)が書いている。
映画「バンド・ワゴン」の考察
映画「バンド・ワゴン」とフレッド・アステアの関係についての考察↓
「バンド・ワゴン」
映画「バンド・ワゴン」は、1931年のブロードウェイのレヴュー「バンド・ワゴン」をもとにしている。
1931年のブロードウェイのレヴュー「バンド・ワゴン」は、1953年の映画と同じく作曲はアーサー・シュワルツ、作詞はハワード・ディーツが担当していて、映画デビューする前のブロードウェイのスター時代のフレッド・アステアが姉のアデルとともに出演していた。
映画でも使われている “I Love Louisa” 、”New Sun in the Sky” 、”Dancing in the Dark” などの楽曲は1931年のレヴューでも歌われていたものである。
映画ではその他にシュワルツ・ディーツの楽曲も使われている。
”That’s Entertainment” はこの映画のために作られたもの。
Blu-ray
Blu-rayには、ナネット・ファブレイ、シド・チャリースなどが映画撮影時のことを語った特典映像などがある。

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