フレッド・アステアの映画「足ながおじさん」

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フレッド・アステア
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 1955年に公開された映画「足ながおじさん」は、ジーン・ウェブスターの有名な小説「あしながおじさん」をもとにしたミュージカル映画。

 フレッド・アステアとレスリー・キャロンが共演して様々なダンスを見せている。

 ジョニー・マーサーの名曲に包まれるような気持ちになる映画。


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「足ながおじさん」原作と映画の違い

蜘蛛
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脚本家

 映画「足ながおじさん」の脚本はヘンリー・エフロンとフィービ・エフロンによる。

 ヘンリー・エフロンとフィービ・エフロンは、「恋人たちの予感」などの脚本で有名なノーラ・エフロンの両親。

同じところ

 話は大体においてウェブスターの小説と同じ。

・孤児院にいた少女が、見知らぬ男性の支援によって、大学に入ることになる

・大学に入った主人公はその見知らぬ男性に対して繰り返し手紙を書く


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違うところ

 違うところは色々ある。

視点

 第一に視点が違う。

 原作小説は、はじめを除くと、その手紙によって構成されている。―読者は、主人公の見たこと、考えたことを伝えられる。

 映画は、男性の視点から話が始まって、男女それぞれの視点から描かれている。

フランス

 映画では、主人公の孤児をフランス人のレスリー・キャロンが演じているからか、フランスの孤児の話になっている。

 原作の主人公はアメリカ生まれ、アメリカ育ちで、フランス語を苦手にしている。

歌、踊り

Photo by Yogendra Singh on Unsplash

 映画「足ながおじさん」の作詞作曲はジョニー・マーサーが担当している。

「ビートの歴史」”History of the Beat”

 フレッド・アステアがドラムスティックを使ったダンス。

「足ながおじさん」”Daddy Long Legs”

 レスリー・キャロンの演ずる孤児がアメリカの大学に行くことができると聞いて、よろこびをかみしめながら、夜の庭の灯りを消していくところで背後に流れる女声のコーラス。

 やさしい歌で心に残る。

 映画の中で繰り返し流れる。

孤児の空想

 主人公の孤児が「足ながおじさん」に宛てて書いた手紙の中で、相手のことを空想しているところがある。

・テキサスの億万長者

・国際的なプレイボーイ

・守護天使

 それぞれをフレッド・アステアがそれぞれの衣装で、それぞれの音楽、それぞれの踊りで演じている。

 守護天使の踊りは、レスリー・キャロンと二人。

スルーフット “Sluefoot “

 大学のダンスパーティで大勢で踊る「スルーフット」( “Sluefoot” )に、フレッド・アステアとレスリー・キャロンが加わる。

 大勢の中で二人が向き合うまでとか、二人が中心となっていくところとか、大勢で盛り上がっているところとか、演出がうまい。

 バンドリーダーはレイ・アンソニー。

 コミカルなところのあるダンス。

「サムシングズ・ガッタ・ギヴ」 “Something’s Gotta Give”

 「サムシングズ・ガッタ・ギヴ」 “Something’s Gotta Give” はこの映画からの名曲。

 フレッド・アステアの演ずる人物が歳の差にもかかわらずレスリー・キャロンの演ずる人物を愛する気持ちをうたう。

 二人が踊りに陶酔して夜を明かす感じ。

 ビング・クロスビー。


Something’s Gotta Give

 ジョニー・マーサー自ら歌ったものもある。


Something’s Gotta Give

悪夢のバレエ

 映画終盤の大がかりなバレエ。

 ローラン・プティによる振り付けで、レスリー・キャロンが大勢の踊り手とともにバレエを見せる。

「ドリーム」 “Dream”

 ジョニー・マーサーの名曲「ドリーム」( “Dream”)はこの映画の前に作られた作品であるが、この映画の重要なところで流れて感動を高めている。


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シネマスコープ

イラストACから

 「足ながおじさん」は、20世紀フォックスが開発したばかりの「シネマスコープ」で撮られている。

 「シネマスコープ」とは横の長さが縦の長さの2倍以上もある横長の画面である。

 アメリカ映画では、1932年に映画芸術科学アカデミー( Academy of Motion Picture Arts and Sciences 、アカデミー賞を出しているところ)が、映画の縦横の比率について、1.375 : 1をスタンダードとしていた。

 ところが、テレビに対抗するために20世紀フォックスは「シネマスコープ」を開発して、1953年の「聖衣」( “Robe” )から導入した。

 「足ながおじさん」はそれからまもなく「シネマスコープ」で作られた。

 ジーン・ネグレスコ監督は、「シネマスコープ」をうまくつかいこなしている。


映画パンフレット 「足ながおじさん(東宝/A4弱版)」 監督 ジーン・ネグレスコ 出演 フレッド・アステア/レスリー・キャロン/テリー・ムーア/セルマ・リッター/フレッド・クラーク

レスリー・キャロンのインタビュー

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 レスリー・キャロンの2021年のインタビューで「足ながおじさん」に触れているところがあったのでとりあげておこう。

 インタビュアーは父親ほど年の離れた男性の相手役にされることについておかしいと思ったかと聞いている。それに対してレスリー・キャロンは問題としなかったと答えている。

 ただ偉大な俳優と仕事をすることに緊張していたという。

 当時の映画は、近年の映画と比べて現実から離れていたという。

Did she find it strange being cast opposite men who were old enough to have been her father? “No. I didn’t question it. I was thrilled to be asked by those great actors. I think the movies have caught up with reality a little more these days.”

The Guardian
‘I am very shy. It’s amazing I became a movie star’: Leslie Caron at 90 on love, art and addiction

 レスリー・キャロンは1931年生まれ。

 初めて共演したジーン・ケリーは1912年生まれ。レスリー・キャロンと20近く離れている。

 フレッド・アステアは1899年生まれ。「足ながおじさん」を撮影した時には、フレッド・アステアは55歳、レスリー・キャロンは23歳であった。

 映画「足ながおじさん」はその年の差に向き合って、解決してみせた作品ということができる。

 ついでにこの記事でレスリー・キャロンがジーン・ケリーとフレッド・アステアの違いについて聞かれているところをとりあげよう。

Caron is one of only six women who danced with Kelly and Fred Astaire in movies. She says that while Kelly always danced close to the ground, with Astaire (in 1955’s Daddy Long Legs) she felt as if she was floating. Who did she prefer? She gives me a look. “It’s not fair to ask me that. For 70 years, I’ve refused to answer that. A great dancer is a great dancer.” She says they were such different men – Kelly tough and generous, Astaire urbane and genteel.

The Guardian
‘I am very shy. It’s amazing I became a movie star’: Leslie Caron at 90 on love, art and addiction

 レスリー・キャロンはどちらが好みかという質問には70年間答えることを拒んできたという。

 2人とも偉大なダンサーであるといい、次のような違いがあるという。

 ジーン・ケリーは地に足のついた感じ、フレッド・アステアは宙に浮く感じ。

 ジーン・ケリーは力強く寛大、フレッド・アステアは都会的で上品。

フレッド・アステアの妻の死

Photo by Jonathan Farber on Unsplash

 「足ながおじさん」は、1954年7月にリハーサルを始めていたが、9月にフレッド・アステアの妻フィリスが病気で亡くなった。

 フレッド・アステアはそのために「足ながおじさん」に「打ち込めない」とプロデューサーのサミュエル・エンゲルに語った。製作にかかった全費用を自腹をきって支払いたいとまで言った。

 結局、サミュエル・エンゲルが説得してフレッド・アステアは映画に出演することにした。

 以上は「アステア ザ・ダンサー」、280~282頁


アステア―ザ・ダンサー

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