新海誠監督の映画「すずめの戸締り」の感想

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鍵 新海誠
Walter BichlerによるPixabayからの画像
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 2022年11月11日に新海誠監督の映画「すずめの戸締り」が公開された。

 2016年の「君の名は。」、2019年の「天気の子」に続く作品。

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全体的に

 個人的には、これまでの新海監督の映画の中で最も観やすかった。

 主人公の女子高校生すずめが話を引っ張るかたちになっているのであるが、その主人公の心の動きにそれほどひっかかることなくついていくことができる。

 部分的にひっかかるところはある。

 学校とあの場所はどれくらい離れているのかなどと思わないでもない。

 「すずめの戸締り」は「ロードムービー」として作られたということで、日本の様々な土地が描かれているのであるが、その「ロードムービー」の部分は甘くできている。愛媛の人とか、神戸の人とか、いかにも都合がいい。

 新海監督のこれまでの映画ではその甘いところが気になった。しかし「すずめの戸締り」では、その甘いところが話の中心とそれほど関係がないせいか、それほど気にならない。

 基本的に明るくコミカルに進んで行く中で、主人公は異様なことに出会って、それを追っていく。そうして話に起伏があるという構成はわかりやすい。急展開があるところもよくできている。

 これまでの新海監督の映画の恋愛要素には気になるところが多かったが、「すずめの戸締り」では、それほど気にならなかった。

主題

 「すずめの戸締り」は過去に向き合う話である。

 特に、2011年の東日本大震災に向き合う話である。

 映画の中で主人公は過去の東日本大震災に向き合う。

 同時に、新海監督も東日本大震災に向き合っているのである。

 2022年には、2011年の震災は離れたことのようにも思われる。

 新海監督には焦りがあったという。

あの日、多くの人々がまざまざと感じた強い揺さぶりを、改めて共有するタイミングは、今でなくては遅くなるのではないかと思いました。

映画.com 【インタビュー】新海誠監督がエンタメ映画に込めた覚悟 「すずめの戸締まり」で辿り着いた境地

 しかしなぜ2022年なのか?

 新海監督はその間に「星を追う子ども」(2011年)、「言の葉の庭」(2013年)、「君の名は。」(2016年)、「天気の子」(2019年)を作っている。

 その間ではなくて2022年なのか?

11年の歳月が経ったことで、あの頃の自分たちには作れなかったものが今なら作れるのではないかと思いました。観客にしても、当時ならば震災を描く映画を見たくないと思っていたけれど、今であれば「見てもいい」と言ってくれる人もいるんじゃないかと思うんです。時間が経過し、自分や社会がそうやって変化したことも、直接扱おうと思った理由の一つです。

映画.com 【インタビュー】新海誠監督がエンタメ映画に込めた覚悟 「すずめの戸締まり」で辿り着いた境地

 「観客にしても、当時ならば震災を描く映画を見たくないと思っていた」ということがあるのであろうか?

 宮崎駿監督は2013年に公開された映画「風立ちぬ」で関東大震災を描いていたが…。

 新海監督はまた「君の名は。」、「天気の子」でも震災を描いていたとも語っている。

実際にどちらの作品でも、2011年の出来事を、形を変えながら、描いてはいたんです。1000年に一度の巨大な彗星がもらたす災害も、止まない雨がもたらす水害も、自分の中では震災のメタファーでした。世界が書き換わってしまった強烈な記憶がベースとなっていて、「君の名は。」から「すずめの戸締まり」まで、40代の10年間、ずっと2011年のことを考えながら映画を作っていたと言っても過言ではありません。

映画.com 【インタビュー】新海誠監督がエンタメ映画に込めた覚悟 「すずめの戸締まり」で辿り着いた境地

 よくわからないが、新海監督は震災の5年後の「君の名は。」まで震災を映画に描かず、「君の名は。」、「天気の子」で描いて、「すずめの戸締り」で正面から東日本大震災を描くに至ったようである。

 時がたつとともに新海監督の作品の中で東日本大震災が大きくなっている。

 新海監督は「すずめの戸締り」において東日本大震災に向き合っているのであるが、また、「君の名は。」、「天気の子」という過去の作品と向き合っているのでもある。


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その他

 映画を観てその他に気づいたこと。

椅子

 映画を観る前に新海監督自身が書いた「小説 すずめの戸締り」を読んでいた時には、椅子は早すぎるのではないか? と思っていた。

 その後長い間椅子でいなくてはならないことはどうなのか? と思っていた。


小説 すずめの戸締まり (角川文庫)

 映画を観ると、椅子はコミカルになっていて、早くても問題ないと思った。

芹沢

 「小説 すずめの戸締り」を読んでいる時に、芹沢という人物には違和感があった。

 しかし映画で観ると、それほど違和感はない。

 声は神木隆之介君。

引用

 「すずめの戸締り」では、「ルージュの伝言」その他、1970年代、80年代の楽曲が多く出てくる。

 「ルージュの伝言」も「魔女の宅急便」と関係づけられているので、80年代ということができるかもしれない。


魔女の宅急便 サントラ音楽集

 その出し方が気になる。

 意表を突く絶妙な出し方ではない。

 新海監督が2007年に公開された映画「秒速5センチメートル」で、さりげなくLINDBERGを聞かせていたことと比べると大きく違うようである。


君のいちばんに・・・

 「千と千尋の神隠し」の引用について↓

家族

 「すずめの戸締り」は女子高校生すずめの話である。

 第一にその世代に向けて作られているわけである。

 しかしまた子供の話でもある。家族の話でもある。

 子供のいる家族向けに作られているのでもある。

 子供の心をひきつけることができるであろうか?

東宝MOVIEチャンネル
映画『すずめの戸締まり』【行ってきますPV】

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