伊藤詩織氏の事件をめぐるリツイート等に関して

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 伊藤詩織氏はツイッターの投稿のみならず、その投稿をリツイートした行為によっても名誉を傷つけられたとして訴訟を起こした。

 伊藤詩織氏はまた杉田水脈議員が伊藤詩織氏を誹謗中傷するツイートにいいねを押したことで名誉を傷つけられて損害賠償を求める訴訟を起こした。

 そのことを受けて、伊藤詩織氏の事件をめぐるリツイート等にで気になるものがあったことを思い出した。

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小田嶋隆氏の引用ツイート

 2019年12月18日、伊藤詩織氏が損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は山口敬之氏に330万円の支払いを命じた。

 その日の夜、小田嶋隆氏は次のような引用ツイートをした。

 引用元は、判決後の山口敬之氏の記者会見の画像をきりとったものである。

 小田嶋隆氏はその画像から山口敬之氏の「理屈」を引き出している。

本当に性被害に遭った女性は、笑顔や表情の豊かさを失っていて、人前にも出られないはずだ。

してみると、事件後、テレビに出る勇気を示し、時には笑顔を見せることさえある詩織さんは、性被害に遭った女性とはいえない

 小田嶋隆氏は、山口敬之氏を「加害者」として、その「加害者」が上のようなことを言うことを問題としている。

 この小田嶋隆氏のツイートには多くのリツイート、いいねがついた。小田嶋隆氏自ら次のように語っている。

 おどろくべきことに、私の最初のRTは、現時点ですでに2.7万回以上RTされ、4.7万件以上の「いいね」を集めている。
 RTに付加したリプライのツイートも、6800回のRTと1.4万件の「いいね」を稼ぎ出している。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 ところで小田嶋隆氏の発言は奇妙ではないか?

 小田嶋隆氏が引用したツイートの画像のテロップをみると、山口敬之氏の言葉は「性被害にあった方」の言ったことを伝えるものである。

 小田嶋隆氏はその言葉から山口敬之氏の主張、考え方を引き出しているのであるが、その言葉は山口敬之氏の主張、考え方を現わすものではなく、山口敬之氏が話を聞いた「性被害にあった方」の主張、考え方を現わすものではないか?

小田嶋隆氏は会見を見ていなかった

 小田嶋隆氏は上に挙げた引用ツイートについて「日経ビジネス電子版」の「「うそつき」をめぐる奇天烈な話」という記事で詳しく書いている。

 その記事によると、小田嶋氏は上のツイートをした時にはまだ山口敬之氏の会見を見ていなかった。

私は、会見の当日、外出していたため、ライブ配信の会見動画は見ていないのだが、そのハイライト部分は、テレビのニュース番組でも紹介されている。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 小田嶋隆氏は山口敬之氏の記者会見を見ずに、山口敬之氏の記者会見での発言を非難していたわけである。

 ただし記者会見を見ずに、小田嶋隆氏が引用したツイートの画像を見ても、山口敬之氏が「性被害にあった方」の言葉を伝えていることは明らかである。

記者会見での山口敬之氏の発言

 山口敬之氏の会見での発言はどういうものであったか?

 当時YouTubeでみることができたが、いつしかみつからなくなってしまった。(外国特派員協会の会見とは別のもの)

 その記者会見は、山口敬之氏、山口敬之氏側の弁護士、小川榮太郎氏、日本平和学研究所の平よお氏がそれぞれ判決に対する反論を述べ、記者からの質問に答えるというものであった。

 山口敬之氏の問題とされた発言は、記者の次の質問を受けたものであった。

今回の伊藤さんの主張、実名で顔出してという今回の伊藤さんのアクションをもって#MeTooという流れのひとつと(聞き取れず)、性被害に関して、女性が告発するっていう、この流れ、行動については、今回の裁判でも争いがあってなかなかコメントも難しいと思うんですけど、この社会的な流れに関しては、何かその思うところありますか?

元TBS記者に賠償命令 山口氏控訴へ 会見ノーカット – YouTube

 この記者会見は山口敬之氏側が判決に反対する意見を主張するために開いたものであって、そのことに多くの時間が割かれている。

 その中で、上の質問はそれとは別の角度のものである。

 上の質問に対して、山口敬之氏はまず次のように答えている。

本当の性被害を受けた方は、顔を出すか出さないかではなくて、それを訴えることは、僕は、当然の権利だし、それを受け止めるのは社会の義務だと思います。ただ、伊藤さんは、性犯罪被害者ではありません。

元TBS記者に賠償命令 山口氏控訴へ 会見ノーカット – YouTube

 山口敬之氏は、「本当の性被害を受けた方」が「それを訴えること」は「当然の権利」であって、「それを受け止めるのは社会の義務」だと言っている。

 山口敬之氏は、「性被害に関して女性が告発する行動」に対してそのように主張しているのである。

 小田嶋隆氏は、山口敬之氏は「本当に性被害に遭った女性は、笑顔や表情の豊かさを失っていて、人前にも出られないはずだ。」、「性被害から立ち直るために歩みはじめている女性は、本物の性被害者ではない」と考えていると語った。

 しかし山口敬之氏は記者会見で上のように語っていたのである。

 山口敬之氏は、「性被害に関して女性が告発する行動」に反対したのではなく、伊藤詩織氏が性犯罪被害者であるということに反対したのである。

 小田嶋隆氏が問題とした発言はその後に出て来る。

本当に性被害に遭った方は、伊藤さんが本当のことを言っていない……それから、たとえば、こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは、絶対にないと証言してくださった。

元TBS記者に賠償命令 山口氏控訴へ 会見ノーカット – YouTube

 この発言は、山口敬之氏は性犯罪被害者から聞いた話を伝えるという流れの中で出て来る。

 そして、伊藤詩織氏が性犯罪被害者ということで出て来たことによって「本当の性被害に遭った#Me Tooの方が、うそつきだと言われるといって、出られなくなっているのだとすれば、これは残念なことだ」と語っている。

 小田嶋隆氏は以上の山口敬之氏の答えのうち、上に引用した一部だけを見て、山口敬之氏はそのことを根拠として伊藤詩織氏は性被害者に遭った女性ではないと主張しているとみなしている。

 しかし山口敬之氏の一連の発言は、「性被害に関して女性が告発する行動」について思うところを問う質問に答えたものであって、伊藤詩織氏は性被害者ではないということを論証するものではない。

 山口敬之氏は、伊藤詩織氏は性被害者ではないと言う根拠を別のところで示している。山口敬之氏側は記者会見の多くの部分をそのことにあてて、様々な「客観的な証拠」を出している。

会見を見た小田嶋氏

 小田嶋氏はその引用ツイートを投稿した後にその記者会見の動画を見たという。

それにしても、山口氏はいったい何を考えてあんな言葉を発したのだろうと思って、彼の真意を確認するために、1時間半ほどの会見映像を一通り視聴してみた。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 動画を一通りみたことによって、山口敬之氏が性被害にあった方から聞いた言葉を伝えていたことも、記者会見のどういう部分で、どういう質問に対する答えとして言ったのかも、明らかになったと思われる。

 ところが小田嶋隆氏の文章は奇妙な展開を見せている。

日本平和学研究所の平よお氏の発言に対して

 山口敬之氏の問題とされた発言は、山口敬之氏自身が語っているように、その前に日本平和学研究所の平よお氏が詳しく語ったことを、要約して語ったものである。

 小田嶋隆氏は会見の動画を一通りみて、そのことに気が付いた。

 そこでまず平よお氏の発言を書き起こして、批判を試みている。

 通読していただければおわかりになる通り、タイラ氏は、名前も属性も年齢も何一つ明らかにしていない「匿名の性被害者たちの言葉」をもとに、伊藤さんの証言を「うそ」だと決めつけている。
 しかも、その根拠は、
「性被害に遭った女性は、人前に出られないはずだ」
「堂々と海外のメディアに自分の性被害を語れるのはおかしい」
といった調子の、およそファクトでもエビデンスでもない「観測」に過ぎない。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 この小田嶋隆氏の批判は当たっていない。

 平よお氏は『「匿名の性被害者たちの言葉」をもとに、伊藤さんの証言を「うそ」だと決めつけている』のではない。

 「伊藤さんはうそをついていると。みなさんそうおっしゃいました。」と小田嶋隆氏が書き起こしたところをみても明らかであるが、平氏は性被害者の言葉を伝えているのである。

 平氏の発言は、性被害者が伊藤詩織氏について語ったことを伝えるものである。そして性被害者に「力を貸していただきたいと願っています。」というものである。

 伊藤詩織氏の主張は「うそ」だと論証しようとするものではない。

 平氏が「伊藤さんに深く同情し、応援していた」性被害者が「実際に動いてしゃべる伊藤さんの姿を見て、強い違和感を覚えるようになった」というのを、

 小田嶋隆氏が「性被害に遭った女性は、人前に出られないはずだ」と言い換えているのはおかしくないか?

 平氏が話を聞いた性被害者は「性被害に遭った女性は、人前に出られないはずだ」と言っているのではなく、人前に出た時の具体的な姿に違和感を覚えたということではないか?

 平氏が「被害者たちからすると人前であんなに堂々と時に笑顔もまじえながら自分の被害を語る姿はとても信じられないということだった」というのを、

 小田嶋隆氏が「堂々と海外のメディアに自分の性被害を語れるのはおかしい」と言い換えているのも元と違うことになっていないか?

 「人前であんなに堂々と時に笑顔もまじえながら自分の被害を語る姿はとても信じられない」というのは、具体的な姿に対して違和感があるということではないか?

 ところが小田嶋氏はさらに進んで、その性被害者の言葉は「性被害から立ち直るために歩みはじめている女性は、本物の性被害者ではない」というものであるとし、「一度でも性被害を経験した女性は、告発はおろか、笑うことも上を向くこともできない」というものであるとして、「こんなべらぼうな話があるだろうか」と言っている。

 小田嶋隆氏が書き起こした平よお氏の発言をみれば明らかであるが、そこには「性被害から立ち直るために歩みはじめている女性は、本物の性被害者ではない」ということも「一度でも性被害を経験した女性は、告発はおろか、笑うことも上を向くこともできない」ということもない。

 小田嶋氏は「人間というのは、そこまでねじ曲がった考えに至ることがあるものなのだろうか。」というが、「そこまでねじ曲がった考え」は、性被害者の言葉にあるのではなく、小田嶋隆氏が作ったものである。

 小田嶋隆氏はこのように平氏が性被害者に聞いた話をねじ伏せている。

 小田嶋氏は「タイラ氏という女性が会見の場で持ち出した匿名の性犯罪被害者のみなさんの証言を、そのまま鵜呑みにすることはできない」というが、刑事で不起訴になっている伊藤詩織氏の主張に対しては何故に「そのまま鵜呑みにする」ことができるのか?

山口敬之氏の発言

 小田嶋隆氏はその次に山口敬之氏の発言に取り組んでいる。

 山口敬之氏の発言は、平氏が語ったことを要約したものである。

 小田嶋隆氏は「山口氏の証言は、前段のタイラ氏の証言を核心部分をなぞるカタチのものだ。」と言っているが、その通りである。

 ところがそういう山口敬之氏の発言に対して小田嶋氏は次のように語っている。

 あえて感想を述べるなら、「論外」の二文字に尽きる。
 もっと強い言葉を使っても良いのだが、その必要はないと思っている。
 ご本人の言葉を聴いてもらえれば、私が付け加えるべきことは何もない。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 山口敬之氏がそこで語っていることは、平氏が語ったことと同じことである。それに対して小田嶋隆氏は同じことを言わなくては筋が通らないのではないか?

 山口敬之氏は性被害者から聞いた言葉を伝えているのに、それに対して「「論外」の二文字に尽きる」というのはおかしくないか?

 そもそも小田嶋隆氏は、山口敬之氏の言葉を歪曲して拡散したことについて、訂正しないのか?

 小田嶋隆氏はそこで次のように語っている。

 ともあれ、山口氏は、世間の空気を読みそこねた。
 原因はご自身が閉鎖環境の中で暮らしていたからだと思う。つまり、山口氏はあまりにも自分と似た考え方の仲間に囲まれて暮らしていたがために、自分の考えの異常さに気づくことができなかった。
 お仲間たちも、せっかく擁護のためにセッティングした記者会見の中で本人が持ち出す論陣の非常識さを事前にチェックすることができなかった。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 小田嶋氏はまた、山口敬之氏が性被害者から聞いたことを伝えたことを、山口敬之氏が「非常識」な「論陣」を持ち出したと語っている。

 これまで見て来たことからは理解できないことであるが、小田嶋隆氏は、山口敬之氏は「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」という「理屈」を主張したというはじめの引用ツイートに戻ってきたようである。

 私が憂慮しているのは、
 「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」
 という、性犯罪加害者にとってあまりにも魅力的に聞こえるこの背理を、異常だと思わないとんでもない人々のお仲間が、日本の中枢に座を占めていることだ。

「うそつき」をめぐる奇天烈な話

 「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」ということを、小田嶋隆氏以外の誰が言っているのか?

 「閉鎖環境の中で暮らして」いるのは誰だろう?

 小田嶋氏の記事が「「うそつき」をめぐる奇天烈な話」と題されていることは考えさせられることである。

AERAの記事

 AERAの「「性被害者は笑わない」発言は全性被害者への侮辱だ」という記事では小田嶋隆氏と同じようなことが言われている。

記事の論調

 「元TBS記者の山口敬之氏が、ジャーナリストの伊藤詩織さんに向けた言葉は、 必死に前を向こうとする被害者たちに向けた刃だ。」というのは、山口敬之氏が性被害者から聞いたことを伝える言葉を、「必死に前を向こうとする被害者たち」を傷つける言葉とみなすものであって、小田嶋隆氏と同様である。

 記事では、山口敬之氏の発言を次のように伝えている。

判決から約3時間半後、単独会見を開いた山口氏が言い放った言葉に、唖然とした。

「本当の性被害者は、記者会見の場で笑ったりすることは絶対にない」

 性被害を受けた女性から聞いた話として、そう言った。伊藤さんが記者会見で笑ったことを指し、伊藤さんは被害者ではない、だから自分は違法なことをしていないという理屈だ。

「性被害者は笑わない」発言は全性被害者への侮辱だ

 記事は「性被害を受けた女性から聞いた話として、そう言った。」と伝えている。

 そうだとすると、AERAの記者は、山口敬之氏が「性被害を受けた女性から聞いた話」に「唖然とした」ことになるが、それでいいのか?

 「本当の性被害者は、記者会見の場で笑ったりすることは絶対にない」というところをもとになった発言と比べてみよう。↓

本当に性被害に遭った方は、伊藤さんが本当のことを言っていない……それから、たとえば、こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは、絶対にないと証言してくださった。

元TBS記者に賠償命令 山口氏控訴へ 会見ノーカット – YouTube

 山口敬之氏は伊藤詩織氏の具体的な表情について言っているのに、AERAの記事では「笑ったりすることは絶対にない」ということになっている。

 山口敬之氏は性被害者から聞いたことを伝えているのに、山口敬之氏が自分の考えを言ったような印象を与えようとしていないか?

 「伊藤さんが記者会見で笑ったことを指し、伊藤さんは被害者ではない、だから自分は違法なことをしていないという理屈だ。」というところは、

 小田嶋隆氏が引用ツイートで「事件後、テレビに出る勇気を示し、時には笑顔を見せることさえある詩織さんは、性被害に遭った女性とはいえない」という理屈なのか?」と言ったことと似ている。

 いずれも山口敬之氏はそのことを根拠として伊藤詩織氏は性被害者ではない、自分は違法なことをしていないと主張したことにしている。

 山口敬之氏側は会見で様々な客観的な証拠を出しているが、なぜかそのことを無視している。

一般社団法人「Spring」代表理事の山本潤さん

 記事は次に、刑法性犯罪規定の改正に取り組む一般社団法人「Spring」代表理事の山本潤さんは「二次加害、セカンドレイプだと思いました」と語ったと伝えている。

 性被害に遭った人は笑ったりしないのではないか、と誤解する人がいるのはわかるという。
 だが、そういう被害者の苦しく複雑な感情を踏みにじり、「性被害者は笑ったりしない」と言葉にして攻撃するのは、セカンドレイプに等しいと感じている。
 「私たちすべての被害当事者に対する侮辱です」(山本さん)

「性被害者は笑わない」発言は全性被害者への侮辱だ

 色々と気になるところがある。

 まず山口敬之氏は「性被害に遭った人は笑ったりしない」と言っていない。性被害者が伊藤詩織氏の具体的な姿について違和感を覚えたと伝えたのである。

 山口敬之氏が性被害者から聞いた言葉を伝えているのであるから、「誤解」とか「セカンドレイプに等しい」とかいうことは、山口敬之氏が話を聞いた性被害者に対して言うことになるのではないか?

伊藤さんの代理人を務める西廣陽子弁護士

 最も気になるのは「伊藤詩織氏の代理人を務める西廣陽子弁護士」の言葉である。

 伊藤さんの代理人を務める西廣陽子弁護士は、山口氏の発言の背景には「嫌なら必死に抵抗したはずだ」など、ゆがんだ「強姦神話」があると指摘する。
「このように言われることで、性犯罪被害者は傷つき、二次被害に遭ってきました。しかし、『本当の性犯罪被害者は笑ったりしない』のでしょうか。性犯罪に遭っても、自分の生活を送らなければならないし、自分の人生を前向きに生きていくことが認められて当然。このような型にはめる考えを捨て去る時代に入ったのではないでしょうか」

AERA 「性被害者は笑わない」発言は全性被害者への侮辱だ

 西廣弁護士も山口敬之氏が『本当の性犯罪被害者は笑ったりしない』と言ったとしてそのことを問題としている。

 山口敬之氏は性犯罪に遭った人に「自分の人生を前向きに生きていくこと」を認めない考え方をもっていると西廣弁護士は考えている。

 これまで見てきたように、山口敬之氏はそのようなことを言っていない。

 そもそも山口敬之氏はその言葉によって性被害者に聞いたことを伝えていたのである。

 西廣弁護士は伊藤詩織氏の代理人として、山口敬之氏の会見における発言を正確に把握しなくてはならないのではないか?

 西廣弁護士は山口敬之氏の発言が「裁判で彼に優位には働かないだろう」とも語っている。

 山口氏は控訴を表明したが、彼の発言が、裁判で彼に優位には働かないだろうと西廣弁護士。
「もし影響すれば、このような考え方、偏見に裁判所がお墨付きを与えることになる。性被害者に対する、理解のない時代に後戻りしてしまいます」

AERA 「性被害者は笑わない」発言は全性被害者への侮辱だ

 西廣弁護士は山口敬之氏の発言を実際のものと違うものとして、「偏見」であり、「性被害者に対する、理解のない時代」のものであるとして、それに対して「裁判所がお墨付きを与え」ないように言っている。

まとめ

 山口敬之氏が性被害者から聞いたことを伝えた言葉が山口敬之氏のおかしな考えを示すものとして拡散されたことは、奇妙なことであった。

 その言葉が出て来た記者会見では、山口敬之氏側が判決に反対する客観的な証拠を出しているところが多くの時間を占めていたのに、そのことは無視されて、一部の発言ばかりが歪曲されたかたちで拡散されたことも、奇妙なことであった。

 伊藤詩織氏が「性被害に関して女性が告発する行動」を代表するものとされていることに鍵があるようである。

 山口敬之氏の問題とされた発言は、「性被害に関して女性が告発する行動」に反対するものとして拡散された。

 「性被害に関して女性が告発する行動」をとる伊藤詩織氏と、それに反対する悪玉・山口敬之氏とが対立しているという図式は、わかりやすい図式である。

 しかし山口敬之氏は「性被害に関して女性が告発する行動」に反対したのではなく、伊藤詩織氏が性被害者であるということに反対したのである。

 山口敬之氏と伊藤詩織氏との間には、伊藤詩織氏が性犯罪被害者であるかどうかということで対立がある。

 ところが伊藤詩織氏が「性被害に関して女性が告発する行動」を代表するものだと考える人々にとって、伊藤詩織氏はすでに性犯罪被害者と決まっている。

 山口敬之氏側が性被害者の言葉を聞いてきたことは、伊藤詩織氏と「性被害に関して女性が告発する行動」との関係を考える上で重要なことであった。

 ところが伊藤詩織氏が「性被害に関して女性が告発する行動」を代表するものだと考える人々は、意識してか、無意識にか、山口敬之氏側が聞いたという性被害者の言葉を無視あるいは軽視した。

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