2021年11月7日、米国のジョー・バイデン大統領は、1年前の大統領選挙を思い起こすツイートを投稿した。
1年前、バイデン氏は米国の歴史上最多の得票で大統領に選ばれた。
それだけの国民の声を受けたことを思い起こして、バイデン氏はこれから一日一日、米国をよりよく立て直す「Build Back Better」というバイデン氏の政策をやっていくというのである。
ところでそういうバイデン氏にとって好ましくない調査結果が明らかにされた。
USAトゥデイの調査
USAトゥデイが発表した調査結果は、バイデン政権にとって厳しいものであった。
支持率
バイデン大統領に対して、支持は37.8%、不支持は59.0%。
バイデン大統領は1年前に米国の歴史上最多の得票で大統領に選ばれたと言ったが、現在の支持率はこれだけ低くなっている。
ハリス副大統領に対して、支持は27.8%、不支持は51.2%。
ハリス副大統領も期待されていたが、支持率はこれだけ低くなってしまった。
全体の46%がバイデン氏は 期待より悪い仕事をしていると回答している。1年前にバイデン氏に投票した人の16%がバイデン氏は期待より悪い仕事をしていると回答している。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
米国人の66%は米国が間違った道を進んできたという。20%は正しい道を進んできたという。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
立て直し法案 Bild Back Better
バイデン氏の政策のうち、インフラ法案は共和党員を含む多数によって支持された。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
しかし立て直し法案は米国民を分裂させている。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
バイデン氏は米国史上最多の投票を得たことを根拠として、立て直し政策を進めていくというが、その法案が米国民の間に対立を生んでいるというのである。
次の大統領選挙
2024年にまたバイデン氏が大統領に選ばれることを望むか、という質問に対して、望むと答えたのは29.1%、望まないと答えたのは63.7%であった。
それに対してトランプ氏が選ばれることを望むと答えたのは35.6%、望まないと答えたのは58・4%であった。
トランプ氏の方が優勢のようである。
バイデン氏に投票した人の中で、50%はバイデン氏がまた大統領に選ばれることを望むと答えたが、39%が望まないと答えた。
それに対して1年前にトランプ氏に投票した人の中では、65%がトランプ氏が大統領に選ばれることを望むと答え、26%が望まないと答えた。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
大統領選挙が今日バイデン氏とトランプ氏の間で行われたとすると、44%がトランプ氏に投票すると言い、40%がバイデン氏に投票すると言ったという。
USA TODAY Gloomy landscape for Democrats in midterms as Biden’s approval drops to 38% in USA TODAY/Suffolk poll
NBCの調査
民主党寄りといわれるNBCの調査結果も厳しいものであった。
支持率
バイデン大統領に対して、支持は42%、不支持率は54%。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
USAトゥデイの37.8%よりは高い。
しかしトランプ氏を除くと歴史上最低の支持率だということは同じ。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
4月には53%であった支持率は、8月には49%、10月には42%と下がってきている。
4月には39%であった不支持率は、8月には48%、10月には54%と上がってきている。
逆転するに至っている。
間違った方向
NBCの調査では、国が間違った方向をとってきたと答えた人は71%である。USAトゥデイの66%より多い。
共和党の93%がそう答えているのみならず、民主党の48%もそう答えている。無党派の70%もそう答えている。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
次のようなことが調査に影響しているという。
・新型コロナウイルスの感染者、死者の急増
・アフガニスタンからの撤退の混乱
・インフレーション
・不十分な雇用
・バイデン大統領の法案をめぐる民主党の内紛
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
その中で、新型コロナウイルスに対する対応に関しては、バイデン政権は51%の支持を得ているようであるが、経済政策に関しては、40%の支持しかないようである。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
困ったことに、バイデン氏について有能だという人は37%しかおらず、50%が低く評価している。
国家を統合するということに関して、バイデン氏を高く評価している人は28%しかおらず、51%が低く評価している。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
2022年の中間選挙
2022年の中間選挙で、47%が民主党優勢の議会を望み、45%が共和党優勢を望むという。
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
それぞれの党がよりよくこなすと思われていること。
共和党
・国境の安全
・インフレーション
・犯罪
・国家安全保障
・経済
・実行
民主党
・中絶
・新型コロナウイルス
・気候変動
NBCnews Biden’s job rating sinks to 42 percent in NBC News poll a year from midterms
むすび
2021年1月のバイデン氏の大統領就任演説は、多くの人に絶賛されていた。
しかしその時にバイデン氏はまだ何もしていなかった。
トランプ前大統領は2020年の大統領選挙の時にバイデン氏を、言うだけで行わない人と評していた。(”You’re all talk and no action”)
バイデン氏がまだ何もしていないのに演説だけで称賛されている光景を見て、私はその言葉を思い出した。
大統領就任演説から9カ月、バイデン政権の行いを見て、多くの人が期待外れだったと言っている。間違った方向をとってきたと言っている。
バイデン氏の大統領就任演説で特に称賛されたのは「団結 Unity 」ということであった。
バイデン氏の思いはアメリカを一つにすることにあるというのである。
Inaugural Address by President Joseph R. Biden, Jr.
January 20, 2021 • Speeches and Remarks
ところが上にとりあげたNBCの調査によると、 団結するということに関して、バイデン氏を高く評価している人は28%しかおらず、51%が低く評価している。
そもそもバイデン氏の「団結 Unity 」とは、大統領選で多くの票を得たトランプ氏を排除するものであったが、このごろは民主党をまとめることもできないと言われている。
政治家は行いによって評価されるものである。
ところが言葉を行いと切り離して持ち上げる反知性主義が流行っている。
ニューヨーク州知事であったクオモ氏がその行いから切り離された言葉によって称賛されていたことはその代表的なものである。
バイデン氏はクオモ氏以上にその言葉が行いから切り離されて持ち上げられた人であった。
人類はそういう反知性主義から知性に向かって進まなくてはならない。
バイデン氏はこれから行いによって現在の調査結果を覆すことができるであろうか?
我等は知性に従おう。
コメント