マスメディアによる一方的な統一教会報道に入った裂け目 橋田家の場合

広告
裂け目 政治
UnsplashLuis Villasmilが撮影した写真
広告

(※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています)

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が公開した動画によって、現代日本のマスメディアの一方的な報道に裂け目ができた。

 2022年10月、マスメディアは橋田達夫さんの訴えを取り上げた。(橋田達夫さんは自ら顔を出し、名前を出している)―妻が統一教会に入信したことによって、家族が崩壊し、息子の命も奪われたというのである。

 10月20日、世界平和統一家庭連合(以下家庭連合)は、記者会見において、橋田達夫さんの元妻橋田淳子さんの動画を公開した。

 橋田淳子さんはその動画において、これまで橋田達夫さんによって語られたことについて説明している。その説明によると、橋田達夫さんが語ったこととは異なる事情があったようである。

 その動画が公開されるまで、マスメディアは橋田達夫さんの語ることだけを取り上げていた。

 ところが当事者である橋田淳子さんが橋田達夫さんとは異なる説明をした。

 そこに裂け目ができた。

 その裂け目に対してマスメディアはつくろおうとしたが…。

広告

「ミヤネ屋」の対応

 読売テレビ「ミヤネ屋」は10月20日の放送で家庭連合の記者会見を中継していた。

 ところがその記者会見の中で橋田淳子さんの動画が流れ始めると、個人情報に関する問題があるとしてその動画を放送しなかった。

 デイリーの記事では次のようにまとめられている。

 橋田さんに関する話が約3分ほど続いたところで、番組はスタジオにカメラが戻り、沢口実歩アナウンサーが「いま、個人情報に関する内容があったということで、会見からスタジオに戻させていただきました」と説明。キャスターの宮根誠司が「橋田さんの元奥様の証言がここで話されて、そこには個人情報が入っているので、精査してからまたお伝えしたい」と補足した。

デイリー ミヤネ屋 統一教会の会見ナマ中継も異例の途中打ち切り「個人情報に関わる内容あった」

 「いま、個人情報に関する内容があったということで、会見からスタジオに戻させていただきました」とはどういうことなのか?

 「個人情報が入っているので、精査してからまたお伝えしたい」とはどういうことなのか?

 動画が流れる前にどうして「個人情報が入っている」ときめつけることができるのか、よくわからない。

 動画は、橋田達夫さんがそれまで語ってきたことについて、橋田淳子さんが事情を説明するもので、「個人情報が入っている」ゆえに放送できないものとは思えない。

 放送する前に「精査」するとしても、動画をみれば問題がないことはわかる。それにもかかわらず、その日の放送では動画の内容を伝えず、次の日の放送で伝えたのはどうしてか? 何を「精査」したのか?

問題

 問題は、マスメディアがその報道する内容について可能な限り裏取りをする責任を果たしていないのではないか、ということにある。

 橋田達夫さんの訴えを取り上げるのに、橋田達夫さんの語ることだけを聞いて、裏取りをしていないのではないか?

 橋田淳子さんの言い分は当然聞いておかなくてはならないはずであるのに、聞いていなかったのではないか?

 「ミヤネ屋」の次の日の放送で、紀藤正樹弁護士が橋田淳子さんの動画の説明に反論していたが、その紀藤氏の発言も、裏取りをした上でなされたもののようではなかった。

 そもそも十分に裏取りができていたならば、橋田淳子さんの動画に対して直ぐに対応できるのではないか?

 マスメディアが裏取りをせずに、対立する当事者の一方の発言だけを取り上げて他方を排除する、という恐るべきことが行われているのではないか?

 しかもそういう報道が国会議員を動かして立法につながっているように見える。

それぞれの発言

 以下、橋田達夫さん、淳子さんの発言を取り上げる。

・まず、淳子さんの発言までにマスメディアが取り上げてきた橋田達夫さんの言葉

・その次に、橋田淳子さんの動画における言葉

・淳子さんの言葉に対する達夫さんの反応、その他の人の反応

元夫の主張

「高知新聞」

 橋田達夫さんの言葉が取り上げられたのは、9月24日の高知新聞あたりからのようである。

 9月24日、高知新聞は、統一教会によって家庭が崩壊し息子の命まで奪われたという男性の声を伝えた。

 1983年に結婚して2人の息子が生まれたが、1993年に夫が単身赴任した時に、妻が統一教会に入信してから問題が生じたという。

「報道特集」

 10月1日、TBSの「報道特集」が橋田達夫さんのことをとりあげた。

 この番組で初めて名前を出したと言われている。

TBS NEWS DIG Powered by JNN
「家庭崩壊」「虐待」「自殺」“国からも見捨てられた”旧統一教会の信者家族が語る苦しみ【報道特集10月1日放送】 2022/10/01

 動画の前半には別の統一教会2世のことが取り上げられているが、ここでは橋田達夫さんのことだけを取り上げる。

妻の入信

 「報道特集」では、結婚から6年後に夫が大阪に転勤して、その後に妻も大阪に来てから、異変が生じたと言われている。

 橋田達夫さんが大阪に転勤した時に、妻は高知で統一教会に入信していて、その後に大阪に来たが、毎日統一教会の教団の施設に通っていた、と橋田達夫さんは語っている。

妻の教団活動

 妻は教団活動に没頭して教会や韓国に行って家をあけることが多く、子供は放置されていた、と橋田達夫さんは語る。

夫婦喧嘩

 妻が統一教会に入信してから夫婦喧嘩が多かった、と橋田達夫さんは語る。

田んぼ売却

 長男が中学一年で不登校になって、妻は子供を救うためにということで、悪霊がついているという田んぼを売却した、と橋田達夫さんは語る。

離婚

 橋田夫妻は9年前に離婚。子供たちは妻のもとにとどまり、橋田達夫さんは家族の近くの倉庫で暮らすようになったという。

長男の焼身自殺

 一昨年、36歳になった長男は焼身自殺をした。長男はその2年前から暴力的になって母親をなぐったこともあったという。

教団訪問

 番組の最後に橋田達夫さんは「報道特集」のスタッフとともに、家庭連合の高知の教会に行っている。

 橋田達夫さんは家庭連合に話を聞くことをもとめたが、面会は拒否された。

山上容疑者との比較

 橋田達夫さんの話のはじめに「信者の妻が高額献金したことで、山上容疑者のケースと同様、家庭崩壊に追い込まれたという」というナレーションがある。

 たしかに、山上容疑者の家族に関して伝えられていることと似ているようである。―母親が統一教会に没頭して高額な献金をしたことによって、家庭が崩壊し、長男が自殺した等。

「モーニングショー」

 上に挙げた「報道特集」で橋田達夫さんは「報道特集」のスタッフとともに、家庭連合の高知の教会に行って、話を聞くことを求めていた。

 その後に、家庭連合の改革推進本部長・勅使河原秀行氏が橋田達夫さんのもとに話を聞きに訪ねてきた。

 10月18日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」はそのことを伝えていた。↓(動画はなくなった)

ANNnewsCH
【旧統一教会】被害男性 国会で涙…“アポなし訪問”勅使河原氏「メディア出ないで」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年10月18日) 2022/10/18

 まず橋田達夫さんが国会に行った時の映像が流された。

 国会で立憲民主党の山井和則議員が橋田達夫さんの語ったことを取り上げているところを、橋田達夫さんが傍聴している映像。

 その後に開かれた会見で、橋田達夫さんは勅使河原氏が来た時のことについて語る映像。

 橋田達夫さんの訴えは山井議員によって国会に出されたのである。

 そして橋田達夫さんが、勅使河原氏が来た時のことを語る。

・勅使河原氏に来ると言われて、橋田達夫さんは断った、という。

・勅使河原氏はマスクを外してきたと橋田達夫さんは語る。

・勅使河原氏が来て、橋田達夫さんは「怖かった」ので、警察を呼んだという。

・「統一教会の強引さ・密室さ」はやめなくてはならないと橋田達夫さんは言う。

・橋田達夫さんは勅使河原氏にメディアに出てほしくないと言われたという。

元妻の主張

 10月20日、家庭連合の記者会見で公開された橋田淳子さんのインタビュー動画↓

世界平和統一家庭連合公式チャンネル
橋田淳子さんインタビュー

 橋田達夫さんが語っていたそれぞれのことについて、橋田淳子さんが説明している。

毎日教会に行って家を空けていた?

 大阪にいた時は、子供が保育園と小学校に行っていたので、教会に行って家を空けていたが、高知に帰ってきてからは、親がいるので教会に行けず、月1回2回であった。

 教会に行って子供を放置することはなかったようである。

夫婦喧嘩

 統一教会に入ったから喧嘩するようになったのではない。

 教会に入る前からいつも喧嘩していた。

 逆に、教会に入って、喧嘩はいけないといわれて喧嘩しなくなった。

 橋田達夫さんは酒を飲むとよく怒った。子供を泣かせることもあった。

 これによると、家庭の崩壊、子供の虐待の原因は、統一教会ではなく橋田達夫さんにあったようである。

長男と教会

 長男は教会に行っていないが、橋田淳子さんが教会に行くことに反対しておらず、どちらかというと賛成の方であった。教会に対する恨みは一切なかった。

 長男の自殺と統一教会は関係がないというのである。

 長男は統一教会と関係なく霊的で「声が聞こえる」と言っていた。

 教会の人にも病院に連れて行ったらと言われていた。

田んぼ売却

 橋田淳子さんが売った田んぼは、淳子さんが母親から受け継いだ先祖代々の土地であるという。

 そうであるとすると、橋田達夫さんは関係ないことになる。

 長男が霊的なことで「売った方がいい」と言ったので、売りたくなかったが、売ったと橋田淳子さんは語る。

 そうであるとすると、売ったことは、長男と対立することではなく、長男から出たことになる。

達夫さんに対して

 息子のことに関して申し訳ないと思っている、達夫さんと息子の仲を執り成せばよかったが、できなかったと橋田淳子さんは語る。

くいちがい

 橋田淳子さんが語ることは、橋田達夫さんが語ることと大きく違う。

 橋田達夫さんによると、統一教会によって家庭が崩壊し、長男は亡くなったようであるが、

 淳子さんによると、家庭に対する統一教会の影響はそれほど大きくなく、家庭が崩壊した原因は達夫さんにもある(離婚の原因、子供が母のもとにとどまった原因)。長男が亡くなったことは、統一教会と関係がない。

 田んぼの売却に関しては、そもそも淳子さんの相続した財産であるとすると、達夫さんとは関係がないことになる。

 長男に関しては、夫婦が離婚した後、淳子さんのもとにとどまっていたのであるから、達夫さんより淳子さんの方がよく知っていたのではないか? と思われる。

淳子さんの発言に対する橋田達夫さんの反応

 日本テレビ、TBSが伝えた、淳子さんの発言に対する橋田達夫さんの反応には気になるところがあった。

日本テレビ

 日本テレビは橋田淳子さんの動画に対する橋田達夫さんの反応と、元2世信者・小川さゆりさんのコメントを伝えた。

日テレNEWS
“統一教会”6回目の記者会見 怒りの声も…“家庭崩壊”訴える男性「ここまでやる?」 2022/10/20

橋田達夫さん

勅使河原氏に対して

 勅使河原氏が記者会見で、橋田達夫さんを訪問したことについて「とにかく会って事情やお話を伺わなければいけないという動機でありました」と語ったことに対して、橋田達夫さんは「うそ」と言っている。

 勅使河原氏が自ら語る動機に対して、橋田達夫さんが何故に「うそ」ということができるのか、よくわからない。

淳子さんに対して

 橋田達夫さんは、淳子さんの動画が流れたのをみて、「ここまでやる?」と言い、教会に対して「これは許せん」と言っている。

 淳子さんの行動が問題とされている状況で、本人が説明することに対して許せないという意味がわからない。

 淳子さんに対して「この女 一切生活はできないですよ」と言っていることも気になる。

 「人の金も持っていって」と言うが、いつどこでそういうことがあったのか?

小川さゆりさん(仮名)

 最後に元二世信者・小川さゆりさん(仮名)が出てきて、「過去一番最低な会見」と評している。そのことも取り上げておこう。

 マスメディアがそれまで淳子さんの言い分を聞かずに、橋田達夫さんの語ることだけを取り上げていたと思われるところで、淳子さんの言葉が公開されたことは、それだけ真実に近づくことで、そのことだけでも「過去一番最低な会見」とは思えない。

 この会見では、多くの二世信者が出てきて、これから責任者となって教会を改革していくと勅使河原氏が語っていた。小川さゆりさん(仮名)はそのことを非難している。―「二世たちに寄り添うという形には全く見えなくて、二世たちを昇格させてあげたでしょうとすごく上から目線にしか聞こえなくて、正直ちょっとあのシーンが一番信じられなかったです」と評している。

 これもよくわからない。

 現に多くの二世たちが昇格しているのであるから、それだけ「二世たちに寄り添う」方向へ進んでいるのではないか?

 小川さゆりさん(仮名)が統一教会・家庭連合のことについて何でも論評することのできる人物のようにテレビ局に扱われていることにも違和感がある。

 元信者であるゆえにそうでない人より教会のことをよく知っているではあろう。

 しかし教団全体について断ずることができるほど多角的な知識をもっているのか?

TBS「報道特集」

 TBSの「報道特集」は10月22日に、家庭連合の記者会見を責める内容を流した。(動画はなくなった)

TBS NEWS DIG Powered by JNN
旧統一教会 会見に元妻の動画「ここまで家族を壊すのか」信者家族・橋田達夫さんの怒り【報道特集】|TBS NEWS DIG 2022/10/22

勅使河原氏の訪問について

 まず橋田達夫さんが勅使河原氏の訪問を批判しているところ。

 橋田達夫さんも「報道特集」のスタッフも、10月1日の「報道特集」で教団と話がしたいと言っていた。

 それを受けて、勅使河原氏が話を聞きにきたことを非常識であるかのように責めることは、理解に苦しむ。

 話を聞いてほしいのか? ほしくないのか?

橋田淳子さんの動画について

 次に元妻の動画が公開されたことについて。

 橋田達夫さんは「卑劣。最低。」と強い言葉を使って批判している。

 橋田淳子さんが事実に反することを悪しき意図をもって語っているのであれば、そういうことはできるかもしれないが、そのことを示すことができるのか?

 橋田達夫さんは「勅使河原氏は「ここまで」家族を壊すのか?」とも言っているが、同じ。

・橋田達夫さんは橋田淳子さんについて「彼女は死んだ人間に全部負わせている」という。「生きた人間が責任を負っていかないと」という。

 ―長男が亡くなったことについて言っているようであるが、二人の認識は違うので、まず何が正しいかを明らかにしなくてはならないのではないか?

・長男が霊的になったことは統一教会と関係があると橋田達夫さんはいう。

 ―長男が統一教会に行っていなかったことは、橋田達夫さんも認めている。統一教会に行っていなかった長男が、どうして統一教会によって霊的になるのか?

 TBSの村瀬氏は勅使河原氏に対して「ご自身が橋田達夫さんのお話を聞かれる前に、一方的に奥さんの話をこういう記者会見の場で流すというのは、それ自体が私は橋田達夫さんに対する圧力だと思います」と言っていた。

 一方の当事者である橋田淳子さんが語ることと違う橋田達夫さんの訴えばかりをマスメディアが取り上げている状況で、橋田淳子さんの語ることを公開する前に、勅使河原氏は橋田達夫さんの話を聞きに行かなくてはならないというのは、どういう意味なのか?

立憲民主党、全国弁連

 10月20日、橋田淳子さんの動画が公開されたその日に、立憲民主党など野党は、同日の家庭連合の記者会見について、全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士からヒアリングを行った。

 阿部弁護士は橋田達夫さんの代理人も務めているという。その発言↓

 阿部弁護士は橋田さんの代理人も務めており、そうした立場からも教会の会見について、「一言で言うと、非常に強い憤りを感じた」と語り「(子どもが自らの命を絶つなど)橋田さんがどのくらい苦しんできたか、悲しんできたか。今日の会見からはそれを気遣い、慮るなどまったく感じられなかった」「(教団は)主張見解をまくし立てるばかり」だと強く批判しました。

 元妻が出てきたことについては、「現在もまだ信者」「当然、教団を守るような、教団の意向に沿うような回答をするに決まっている」と語る一方で「わざわざライブ配信をされているような会見に動画を出ししゃべらせるというのは、非常に可愛そうなこと」だと指摘しました。

立憲民主党公式サイト 同日の教会会見と自民議員との政策協定について「統一教会国対ヒアリング」を実施

 阿部弁護士は橋田淳子さんについて「現在もまだ信者」「当然、教団を守るような、教団の意向に沿うような回答をするに決まっている」と語っているが、これは阿部氏の推測に過ぎない。そうであるかもしれないが、そうでないかもしれない。

 動画を見る限り、橋田淳子さんが教団のために語っているようには見えない。

 それを教団に命令されたときめつけている阿部弁護士の方が異様である。

 いずれにせよ、橋田達夫さんの語った様々なことに対して、実情と異なると橋田淳子さんが語っているのであるから、阿部弁護士はどちらが事実として正しいかという問題に答えなくてはならないはずであるが、答えていない。

 阿部弁護士は橋田達夫さんの代理人として、橋田達夫さんの訴えの客観的な証拠を持っているはずではないか? 何故に客観的な証拠によって論ずるのでなく、「非常に強い憤りを感じた」と感情だけを述べているのか?

 「橋田さんがどのくらい苦しんできたか、悲しんできたか。今日の会見からはそれを気遣い、慮るなどまったく感じられなかった」というが、橋田淳子さんは達夫さんに対して申し訳ないと思っていると述べている。

 立憲民主党公式サイトはその時の山井和則衆院議員の発言を次のように伝えている。

 旧統一教会の記者会見では、元妻が多額の献金を行い、子どもが自らの命を絶つなど家庭が崩壊したという高知県在住の橋田達夫さん(12日の国対ヒアリングでもその実情を説明)の元妻の語る映像を流しており、山井和則衆院議員(党対策本部副本部長)は「あたかも橋田達夫さんの発言が事実に反するかのような妻の方の映像を流された」と説明しました。

立憲民主党公式サイト 同日の教会会見と自民議員との政策協定について「統一教会国対ヒアリング」を実施

 「あたかも橋田達夫さんの発言が事実に反するかのような妻の方の映像を流された」というのは、橋田達夫さんの発言は事実に反しないということであるが、客観的な根拠はあるのか?

 阿部弁護士は橋田淳子さんについて「現在もまだ信者」「当然、教団を守るような、教団の意向に沿うような回答をするに決まっている」ときめつけたり、「教団がいくらコンプライアンスや改革案などを並べてみてもまったく意味がないし説得力がない」ときめつけたり、自分の思い込みをそのまま相手に押し付けているが、それでは相手のことを理解できないのではないか?

 どうも統一教会・家庭連合を「カルト」として追及する全国霊感商法対策弁護士連絡会の方が「カルト」のように見えるところがある。

「ミヤネ屋」10月21日

 10月21日の「ミヤネ屋」は、前日の家庭連合の記者会見を取り上げ、前日に放送しなかった橋田淳子さんの動画をも取り上げた。

勅使河原氏のアポなし訪問

 「ミヤネ屋」でも勅使河原氏が橋田達夫さんをアポなしで訪問したことをとりあげて、スタジオでは発言する出演者がみな橋田達夫さんの側に立って勅使河原氏を批判していた。

 アポなし訪問はよくないかもしれないが、話を聞いてほしいと言われて話を聞きに行ったことは、それほど悪いことなのか?

 有田芳生氏は、統一教会では上司の命令に絶対に服従することになっていて、勅使河原氏も上司の命令によって動いているので非常識な行動をするのだと語ったていたが、「ミヤネ屋」の出演者全員が、宮根氏の司会の下、一糸乱れず家庭連合に対して過剰に非難しているところは、裏でどういう打ち合わせがあったのか、見てみたくなる。

「矮小化」

 さて、橋田淳子さんの動画について。

 紀藤正樹弁護士は、前の日のツイートで、会見で「矮小化」が行われたと非難していた。

 その「矮小化」ということについて、紀藤氏自ら「ミヤネ屋」で説明している。

 宮根氏が「橋田さんと旧統一教会の問題がいつの間にか橋田さんと元奥さんの話になっている」ように見えるというのに対して、紀藤氏は「矮小化する理屈でしょうけれども」と答えている。

 以下、紀藤氏の言葉。

昨日の会見を見てですね、勅使河原さんていうのは橋田さんに対して悪いと思っていないんですよね、結局ね。悪いと思っていないから、素直な謝罪というか端的な謝罪にならずに、エクスキューズ、言い訳がずっと続くわけですよね。で、うそをついているところはちゃんと反論をしないとというふうになるわけですけど、全体について、大まか、どちらが悪いかという議論をした時には、橋田さんの言い分がもし正しければですよ、統一教会がやはり問題があるっていうことがわかるわけなので、それはやっぱり金額も含めてどの程度統一教会が橋田さんの奥さんからお金を奪ったのか、あるいは献金を受け取ったのかっていうことは、明らかにしなければ、橋田家全体でどの程度被害を受けたのかわからないじゃないですか。大前提のところがすっぽり抜け落ちているんですよね。

「ミヤネ屋」2022年10月21日

 紀藤氏の発言は以下でもまとめられている。

 要するに、橋田達夫さんによると、統一教会が悪くて橋田家は被害を受けたということであったが、淳子さんによると、統一教会は悪くないことになる。そのことを「全体の紛争を矮小化している」と紀藤氏は語っているようである。

 注意すべきは「橋田さんの言い分がもし正しければですよ」という紀藤氏の言葉。

 これによると、紀藤氏は橋田達夫さんの言い分が正しいかどうか、確証をもっていないようである。

 確証をもっていないのに、一方では、橋田達夫さんの言い分が正しいとして、統一教会が悪いということを「大前提」としているようである。

 統一教会が悪くて素直に謝罪しないのであれば、「反省のかけらもない」ということもできる。

 しかし現在統一教会が悪いということの確証はない。そういう状況で素直に謝罪しないことは「反省のかけらもない」というのとは違う。

 このツイートも同様。

 阿部弁護士もそうであったが、紀藤弁護士も、自分の思い込みでしかないことを、客観的な事実としてしまうところがあるようである。

 自分に問題があるのに反省せず、他者に問題があるときめつけるのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会のスタイルなのか? いずれにせよ、これこそ社会的に問題がある存在ではないか?

田んぼ売却

 橋田淳子さんが田んぼを売ったことについて。

 紀藤氏は次のように言う。

田んぼを売ったことについては争いがないわけですよね。どちらが売るようになったのかという動機の面に争いがあるんですね。長男が言ったのか、お母さん側が言ったのかという問題があると思うんですけど、
(中略)
長男がどうして田んぼに行くのを嫌がって「お母さん売ったらええよ」っていうようになったか、前の経緯がすっぽり抜けているんですよ。(中略)最終的に長男に同意させた可能性すらあるんですよね。前の経過が、統一教会の関与あるいは、お母さんがどういう説明をしたのかというところに関わるわけですけども、
(中略)
橋田さんは証言されているんですよ。教団が妻に悪霊がつくからと言って、子供が暴れだす、だから田んぼの名義を変えたらよくなると言われたと。その前の段階を橋田さんは言われているんですね。
ところが橋田さんの奥さんは、その前の段階をすっぽり抜かして、長男がええよと言ったと、でもその前の段階、なぜ長男が自分の名義じゃない土地をですよ、行くのを嫌がったり、ええよというのかっていうのは、経過として非常に不自然じゃないですか?
だから私はその前段階が抜けていると思うんですね。
だからそこをきっちり勅使河原さんが聞き、…私は聞き取っていると思うんですけども、勅使河原さんが隠しているとしか私は見えませんね。

「ミヤネ屋」10月21日

 淳子さんは田んぼを売ったことについて、統一教会に行っていない長男に「声が聞こえる」と霊的なことを言われて売ったと語った。

 それに対して紀藤氏は、橋田達夫さんの証言によって、統一教会に言われて売ったという「前の段階をすっぽり抜かして」いるという。

 しかしそもそも淳子さんはその「前の段階」がないと語っている。

 紀藤氏が橋田達夫さんの証言に依拠するためには、橋田達夫さんの証言が正しく、淳子さんの証言は正しくないことを証明しなくてはならないのであるが、そうせずに橋田達夫さんの証言をそのまま正しいとしようとしている。

 それまでに橋田達夫さんの証言を裏取りせずにそのまま真実として受け取っていて、それと反する淳子さんの証言が出てきても、橋田達夫さんの証言が正しいということを貫いて、淳子さんの証言を排除しようとしているようである。

 こういうことがテレビで正義のように行われていることは、恐るべきことである。

 TBSの「ひるおび」で橋田淳子さんの動画について八代英輝弁護士が次の日に次のように語ったと「デイリー」が伝えている。

八代氏は「要するにメディアを自分たちで使って一個人の方を、被害者を潰そうとしているんですよね、組織的に。そのやり方は非常に卑劣だと思いますよね」と憤りを隠さなかった。

デイリー 八代弁護士 統一教会会見は「ミヤネ屋に合わせてやった」と推測「やり方は非常に卑劣」

 「メディアを自分たちで使って一個人の方を、被害者を潰そうとしているんですよね、組織的に。」というのは、「ミヤネ屋」、全国弁連がやっていることではないか?

 裏取りもなく悪者とされた統一教会・橋田淳子さんが事実は違うという動画を出したのに、「ミヤネ屋」、「ひるおび」は事実の裏取りなしでそれまでの主張に固執して、淳子さんの主張を「組織的に」「潰そうとしている」。

 恐ろしい世の中である。

 ちなみに紀藤氏は10月20日のツイートで、同日の家庭連合の会見で二世信者を教区長としたことについて次のように論評している。

 二世信者が教区長とされたことは、改善の方向へ進むことではないか? 何ゆえにそのことを認めずに、欠点をつこうとするのか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました