2023年11月末、池内恵東京大学教授とチャンネルくららの間で対立が生じた。
まず池内氏がチャンネルくららの番組を非難した。それに対してチャンネルくららは池内氏に答える動画を出した。
その後の池内氏の言動は驚くべきものであった。
池内氏は今度のイスラエルの行動に対して批判的であるが、池内氏自身、イスラエルと同じように必要がないところで敵を増やしている。
そのことをどう受け取ればいいのか?
池内氏は身を以て国際政治の問題を教えてくれている、と受け取ることをここでは提案する。
流れ
池内氏とチャンネルくららの間で起こったことは以下の通り。
発端
発端はチャンネルくららが11月16日に公開した次の動画。
池内氏の非難
これに対して池内恵東京大学教授が次のように非難した。
まず「中東専門家が偏っているか否かについて特に論証はなく」ということ。
次に「シファー病院の包囲についてイスラエル側の事前の広報を鵜呑みにした議論はその後の展開と乖離しており」ということ。
この2点を問題としている。
そしてこのように小川元陸将を非難し、疑問を呈している。
しかし、中東専門家はなぜ偏っているのか? ということについて、番組では小川元陸将以外の出演者が語ることが多く、小川元陸将はそれほど語っていない。
それにもかかわらず、小川元陸将一人を名指しで非難していることには、違和感がある。
池内氏が小川元陸将を名指しで非難しているのは、小川元陸将が病院のことを言っていたからであろうとは思う。しかし小川元陸将一人を名指しして、番組の中東専門家はなぜ偏っているのか? という題について問うかたちになっているので、違和感がある。
番組に対しても、小川元陸将に対しても、丁寧に向き合わずに乱暴にやっていないかという疑問が生ずる。
ちなみにチャンネルくららは「中東専門家はなぜ偏っているのか?」ということについて次のように説明している↓
チャンネルくららの緊急配信
池内氏はポストを連投してチャンネルくららの番組を非難し、疑問を呈した。
そこでチャンネルくららは池内氏に答える動画を出した。
この動画では、内藤陽介氏が司会して、小川元陸将、倉山満氏がそれぞれ自分の考えを述べている。そして公開討論を呼び掛けている。
池内氏に対して礼を尽くした動画である。
この動画をみて、これから理性的な議論が始まるのではないかと期待した。
池内氏どこへいく?
ところがその期待を破壊したのは池内氏であった。
池内氏はチャンネルくららに答えずに、X(旧ツイッター)でチャンネルくららを非難し続けていた。
そもそも小川元陸将がチャンネルくららの番組で池内氏に答えたことを問題としている。
何を問題としているのかよくわからない。「事態を認識できていない」とは何なのか?
チャンネルくららのその動画で「もし必要があれば、こちらの方にお越しいただければ、あるいは、必要があればこちらの方からスタッフが出向きますので、必要があればご議論の機会を設けたいとこちらは思っておりますので」と内藤陽介氏が言っていた。
池内氏が求める答えをそれほど聞きたいのであれば、直接聞けばいいのではないか?
池内氏こそ「事態を認識できていない」のではないかと思われる。
池内氏が他の人とのやりとりで上のようなことを言っているところをみると、周りにいる人の言うことによって判断してしまっているのではないか? とも思われる。
ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席は、取り巻きのイエスマンの言うことしか聞かず現実を知らないと言われることを思い出してしまう。
一方的な感情をもった人たちが集まって感情ばかりを高め合って、周りを正しく見ることができなくなることがあるが、そういうことが起こっているのではないか? とも思われる。
逆に言うと、池内氏の言動によって、安全保障に関して問題となることを考えることができるということもできる。
いずれにせよ、池内氏の問題は議論の内容以前にある。
「クーデター」
池内氏はチャンネルくららの「中東専門家はなぜ偏っている?」という番組を「クーデター未遂事件っぽい」危険なものとみなしていた。
あの番組をみて「クーデター未遂事件っぽい」という池内氏の想像力についていくことは困難である。
東京大学の国際政治の専門家の想像力がそういうものでいいのか? と思ってしまう。
そういうことについて考える機会を与えてくれていると受け取るべきであるかもしれない。
暴言問題
チャンネルくららから公開討論を呼びかけられているのに、池内氏は答えずにいた。
そのことについて聞かれて、池内氏は次のように語っている。
チャンネルくららのあれだけ礼を尽くした動画に対する言葉として、理解しがたいものである。
司会をしていた内藤陽介氏に対しても、議論が深まることを求めていた倉山氏、小川元陸将に対しても、失礼である。
そこで倉山満氏は次のように言った。
そこに寄付したいという話があった。それを受けて、
ところが池内氏はその倉山氏の言葉を問題として相手にしないと言い出した。
池内氏は倉山氏の「アカハラ・パワハラ」云々という言葉を問題としているが、その言葉は、池内氏の「研究室に黙って若手人件費一年分寄付したら出てもいい」という言葉に答えたものである。
池内氏が「私に「東大の若手教員の一年分の寄付」なんかさせたら」「アカハラ・パワハラしてさしあげます」というのである。池内氏の過大な要求を問題としているのである。
問題は、池内氏がチャンネルくららの礼を尽くした討論の呼びかけに対して「研究室に黙って若手人件費一年分寄付したら出てもいい」と言ったことにあるのではないか?
池内氏がそのことを問題とせずに、倉山氏のことを問題としていることにはどういう意味があるのか?
「印象操作」ではないか?
ここまでの池内氏とチャンネルくららのやりとりを見てきた者には、池内氏の言葉にこそ問題はあると思われる。
ところが池内氏が倉山氏の言葉を問題とするところだけをを見た人には、倉山氏に問題があると思われる。
池内氏の言葉を受けて倉山氏に問題があると受け取っている人は少なからずいた。「印象操作」が功を奏しているわけである。
このような事態に対しては、池内氏が国際政治における印象操作の問題を身を以て教えてくれている、とでも受け取らなくては、救いがない。
それにしても、ここでの池内氏の倉山氏に対する「非常識極まりない」とか「商売の種にしようと寄って来る人」とか「付き合っちゃいかん筋の人」とかいう言葉は、そこまで言っていいのか? と他人事ながら心配になる。
印象操作においては強い言葉を使うほど効果があるということを考えさせてくれていると受け取るべきであろうか?
その印象操作に乗った国際政治学者が一人。
倉山氏の言葉を「絶対に合意できない条件突きつけて」「明確に契約を成立させたくないという意思表示」とみなしていることに驚く。
その前の池内氏の「研究室に黙って若手人件費一年分寄付したら出てもいい」という言葉こそ「絶対に合意できない条件突きつけて」「明確に契約を成立させたくないという意思表示」ではないのか?
この人が引用している倉山氏の記事にもそのことは書いてある。倉山氏は池内氏が「私に「東大の若手教員の一年分の寄付」なんかさせたら」ということを問題としている。その前の池内氏の言葉があったからこそ、倉山氏はそう言っているのである。
この国際政治学者はそのやりとりを知っているのか? 知っていないのか?
そのことを知っていて、その上でそのように語っているとすると、都合のいいように歴史を切り取って印象操作をしている、という困ったことになる。
そのことを知らずにそのように言っているとすると、そのくらいのことを確かめもせずに、印象操作されるままに攻撃を行っている、というこれまた困ったことになる。
いずれとしても困ったことになる。
印象操作の問題について教えてくれていると受け取らなくては、救いがない。
印象操作は拡散されて、集団によって攻撃する手段になる、ということをも教えてくれる。
この国際政治学者は、倉山氏から「揶揄されている国際政治学者」と自ら認めているのであるが、倉山氏と戦っていることにおいて戦わずに、倉山氏が暴言を吐いているという池内氏による印象操作に乗って、倉山氏を攻撃しているのである。
ついに池内氏は次のように言うに至った。
いつの間にか池内氏が番組に出ることを脅迫されたという話になっている。
そもそもチャンネルくららの番組を非難しておいて、チャンネルくららから礼を尽くした公開討論の呼びかけを受けたにもかかわらず答えずにいて、「研究室に黙って若手人件費一年分寄付したら出てもいい」と言ったことを、池内氏は忘れてしまったのか?
印象操作をするにはここまで堂々としていなくてはならないということを身を以て教えてくれているのか?
それともそう思い込んでしまっているのか?
おわりに
2023年10月7日にハマスがイスラエルを襲撃してから、ガザ地区の問題は多くの人の関心を集めている。
ところで日本では、その問題を巡って学者の間の戦争が激しくなっている。
ここで取り上げた池内氏と倉山氏の対立はその一つということができる。
池内氏はその前から他の相手と戦っていて、チャンネルくららに対してもちゃんと向き合わずに、思い込みで攻撃したように見える。
そうだとすると、これまた戦争中の誤爆のようなことになる。
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