月: 2021年12月

  • 【映画】「踊るブロードウェイ」 1936年の「ブロードウェイ・メロディー」

    【映画】「踊るブロードウェイ」 1936年の「ブロードウェイ・メロディー」

     映画「踊るブロードウェイ」の原題は “Broadway melody of 1936” ―1936年の「ブロードウェイ・メロディー」ということである。

     1929年に公開された映画「ブロードウェイ・メロディー」の1936年版である。

     1936年版は1929年版と比べて、豪華な夢のような作品になっている。


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    「踊るブロードウェイ」のあらすじ

     ニューヨークのプロデューサー、ボブ・ゴードン(ロバート・テイラー)のところに、アイリーン・フォスター(エレノア・パウエル)という若い女性が訪ねてきた。

     2人は田舎で高校の時に同級生であった。アイリーンはニューヨークでショービジネスで成功することを夢見て出てきた。そのためにボブのところに来たのである。2人は互いに恋愛感情を持ってもいた。

     しかしボブはアイリーンに田舎へ帰ることを勧めた。

     ボブは一方で「ブロードウェイ・リズム」というショーを企画していたが、女優が見つからず、困っていた。

     ボブはどうするのか? アイリーンはどうするのか?

    1936年の「ブロードウェイ・メロディー」

     「踊るブロードウェイ」は1936年の「ブロードウェイ・メロディー」である。(公開は1935年。日本公開は1936年)

     1929年にアカデミー賞(作品賞)を受賞した「ブロードウェイ・メロディー」の1936年版である。

     話がつながっているわけではない。登場人物も全く違う。


    ブロードウェイ・メロディー (字幕版)

    https://cocoro-mi.com/broadwaymelody/

     ワーナーブラザーズの「ゴールド・ディガース」シリーズに影響を受けたと言われている。

    「踊るブロードウェイ」の楽曲

     1936年の「ブロードウェイ・メロディー」でも、1929年の「ブロードウェイ・メロディー」の主題歌「ブロードウェイ・メロディー」が使われている。

     その他にも、1929年の「ブロードウェイ・メロディー」と同じように、アーサー・フリード作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲の楽曲が使われている。

     今作では、「ブロードウェイ・リズム」という楽曲の名を冠したミュージカルの企画が始めから話の中心となっていて、最後にその完成したものを見せる、というかたちになっている。


    Broadway Rhythm from “Broadway Melody Of 1936”

    豪華な夢

     映画「踊るブロードウェイ」は、1929年の「ブロードウェイ・メロディー」と同じように、華やかな舞台と、その舞台の裏のことと、両面を描いた作品である。

     しかしそれぞれ力をかけるところが違う。

     前作は、その舞台の裏の暗いところを描くことに力をかけていた。

     今作は、舞台の裏を描くところでもそれほど暗くならず、むしろ夢を華やかに描くことに力をかけている。

     ロバート・テイラーをはじめとする美男美女が出て来て、NYのビルの上でのパーティで歌に乗って踊りながら、魔法のように床からピアノを出したりしていく、などということをやっている。


    I’ve Got A Feelin’ You’re Foolin’ from from “Broadway Melody Of 1936”

    エレノア・パウエル

     映画「踊るブロードウェイ」の主役はエレノア・パウエル( Eleanor Powell )

     当時20代前半(1912年生まれ)の若いダンサーであった。

     それまではブロードウェイで活躍していた。

     その卓越したソロダンスによって、この豪華な夢のような作品のトリを飾っている。

    「踊るブロードウェイ」のDVD

     日本語版。ジュネス企画。


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     英語版は現在1938年版とひとつになったもの。


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  • 「ブロードウェイ・メロディー」 ハリウッド初のオールトーキー・ミュージカル映画

    「ブロードウェイ・メロディー」 ハリウッド初のオールトーキー・ミュージカル映画

     1929年に公開された映画「ブロードウェイ・メロディー」は、ハリウッド初のオールトーキー・ミュージカル映画。

     その年に最も売れたと言われている。

     1929年の第2回アカデミー賞で作品賞を受賞している。


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    「ブロードウェイ・メロディー」のストーリー

     歌手エディ(チャールズ・キング)が作った歌「ブロードウェイ・メロディー」は、ブロードウェイの舞台で使われることになっていた。

     エディはその歌を、地方からニューヨークに出て来た芸人姉妹に歌わせようと考えていた。

     エディはその姉妹の姉ハンク(ベッシー・ラブ)と婚約していた。

     ところが舞台では、妹のクイニー(アニタ・ペイジ)だけが使われることになった。そのことによってクイニーはジャックという金持ちのプレイボーイに言い寄られることになった。

     姉のハンク、その婚約者エディは、ジャックの評判がよくないと言って、クイニーをジャックから引き離そうとした。ところが、クイニーは2人と対立してジャックとの交際を続けようとしている。

     クイニーはどうなるのか? 姉妹の関係はどうなるのか?

     こういう話である。

     ブロードウェイで成功しようとする気持ち、その前に立ちはだかる障害。

     姉妹の愛情、それを引き裂く男性との関係。

     それぞれの食い違う思い。裏に隠れた思い。

     盛り上がるところ、落ち込むところが交互に出て来る。

    「ブロードウェイ・メロディー」の歴史的意義

     映画「ブロードウェイ・メロディー」は、初めてのオールトーキー・ミュージカル映画である。

     1927年にトーキー映画第1作、「ジャズ・シンガー」が公開されたが、まだトーキーは部分的であった。

     映画「ブロードウェイ・メロディー」はまた、バックステージもののミュージカル映画の先駆けにもなった。

    「ブロードウェイ・メロディー」の続編

     この映画の後に「ブロードウェイ・メロディー」という名を有する映画が3本作られている。

     ただし話は続いていない。主役も、エレノア・パウエルになっている。

    「踊るブロードウェイ」(原題は “Broadway Melody of 1936” )

     公開は1935年。エレノア・パウエルが主役。


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    https://cocoro-mi.com/broadwaymelodyof1936/

    「踊る不夜城」(原題は “Broadway Melody of 1938” )

     公開は1937年。エレノア・パウエルが主役。ジュディ・ガーランドが出ている。


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    「踊るニュウヨーク」(原題は “Broadway Melody of 1940” )

     公開は1940年。エレノア・パウエルとフレッド・アステアの共演。


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  • 【映画】「青春一座」 ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランド

    【映画】「青春一座」 ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランド

     1939年に公開された映画「青春一座」(原題は “Babes in Arms” )は、ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドが主役のミュージカル映画。

     若者たちが、逆境を跳ね返して自分たちでショーを行おうとするという話。

     その年に大ヒットした。

     映画「雨に唄えば」などのプロデューサー、アーサー・フリードが初めて単独でプロデュースした作品としても重要。


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    「青春一座」のストーリー

     主人公ミッキー(ミッキー・ルーニー)はまわりの子どもと自分たちでショービジネスを始めていた。パッツィー(ジュディ・ガーランド)に自分の作った歌を歌わせて金を稼いだりしていた。

     ところがミッキーの両親のヴォードヴィル芸は、映画の流行によって、稼げなくなっていた。

     ミッキーたちもショービジネスから引き離されて、ワークスクールに入れられようとしていた。

     そこでミッキーたちは自分たちでショーをやろうと考えた。

     子どもが自分たちで一人前の仕事をやってみせようという話である。

     その間に恋愛とか三角関係とかもある。―ミッキーとパッツィーは、はじめから親しい間柄であるが、そこにもう一人女性が入ってくる。

     そういう話が1939年風に描かれている。

    「青春一座」のみどころ

    「ブロードウェイ・メロディー」 、「ハリウッド・レビュー」

     この映画では、主人公の父親のヴォードヴィル芸は、映画の流行のためにかせげなくなったということになっている。

     その時に流行していた映画として、1929年の映画「ブロードウェイ・メロディー」で「ブロードウェイ・メロディー」を歌うところ、同じ年の映画「ハリウッド・レビュー」で「雨に唄えば」を歌うところが出て来る。

     「ブロードウェイ・メロディー」も「雨に唄えば」も、この映画のプロデューサー、アーサー・フリードが作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウンが作曲したものである。

     アーサー・フリードの楽曲によって、この映画の主人公の父親はヴォードヴィル芸で稼げなくなったということになっているのである。

     アーサー・フリードはそれだけ歴史的な仕事をしてきたということもできる。

     この映画は、映画がサイレントからトーキーに変わる時をとりあげているが、後の映画「雨に唄えば」もそうであった。

    「グッドモーニング」

     この映画には「グッドモーニング」という歌が出て来る。

     映画「雨に唄えば」にも出て来る歌である。―「雨に唄えば」の主役3人が夜更かししていたことに気づいて歌いだす歌である。


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     「グッドモーニング」は、アーサー・フリードが作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウンが作曲した楽曲で、この映画で出て来たのである。

     ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドの歌もたのしい感じ。

    クラーク・ゲイブルとライオネル・バリモアのものまね

     ミッキー・ルーニーは歌でも踊り芝居でも芸達者な人であるが、演技指導をする場面で、クラーク・ゲイブルとライオネル・バリモアをかわるがわるものまねしているところは、見もの。

    群舞

     この映画では多くの人の踊りを見せるところに力が入っている。

     監督を務めたバズビー・バークリーによるようである。

    ロジャーズとロレンツ・ハート

     この映画は、リチャード・ロジャーズとロレンツ・ハートによるブロードウェイ・ミュージカル “Babes in Arms” (1937年)をもとにしている。

     ただし映画化するにあたって多くの改変が行われている。もとの歌は2曲しか使われていない。

     後にロジャーズとハートの伝記映画「ワーズ&ミュージック」(1948年)で、この映画で使われなかった楽曲が使われている。


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     「ワーズ&ミュージック」で、ジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーの2人で “I Wish I Were in Love Again” を歌っていることにはそういう意味があるのである。

     その他に、 “Johnny One Note” をジュディ・ガーランドが1人で歌っている。

    https://cocoro-mi.com/wordsandmusic/

    DVD

     英語版。


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  • 【映画】「アメリカ交響楽」 ジョージ・ガーシュウィンの伝記

    【映画】「アメリカ交響楽」 ジョージ・ガーシュウィンの伝記

     1945年に公開された映画「アメリカ交響楽」(原題は “Rhapsody in Blue” )はジョージ・ガーシュウィンの伝記。

     伝記の間にジョージ・ガーシュウィンの有名な楽曲のミュージカル場面、オーケストラ演奏が数多くはさまれている。


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    映画「アメリカ交響楽」のつくり

     映画「アメリカ交響楽」では、ジョージ・ガーシュウィン(1898~1937)が子供のころから話が始まって、様々な名曲を発表していくところが描かれている。

     作曲してうまくいくとかいかないとか、女性との関係がうまくいくとかいかないとか、いろいろと起伏がある。

     全体で140分近くある。

     ガーシュウィンの有名な楽曲の、ミュージカル場面、オーケストラ演奏がそれだけ豊かに盛り込まれているのでもある。

     しかもそれを本人がやっているところが貴重である。

    スワニー

     たとえば、ガーシュウィンの「スワニー」はアル・ジョルスンが歌って大ヒットした。そのアル・ジョルスンがこの映画では本人役で舞台で「スワニー」を歌ってみせているのである。

    ブルー・マンデー

     ガーシュウィンが1920年前後に楽曲を出していた「ジョージ・ホワイトのスキャンダルズ」のジョージ・ホワイトも本人役で出ている。ガーシュウィンがそこでやったジャズ・オペラ「ブルー・マンデー」もやっている。当時指揮をやっていたポール・ホワイトマンが指揮している。

    ラプソディ・イン・ブルー

     その後にエオリアン・ホールで「ラプソディ・イン・ブルー」のコンサートが行われたのは、ポール・ホワイトマンの考えによることであったが、映画の中でもポール・ホワイトマン本人がガーシュウィンにそのことを申し出る演技をしている。そしてエオリアン・ホールでの「ラプソディ・イン・ブルー」もホワイトマンの指揮で再現されている。

    ポーギーとベス

     「ポーギーとベス」の舞台も再現されて、アン・ブラウンが「サマータイム」を歌っている。

    ヘ調のピアノ協奏曲

     オスカー・レヴァントが「ヘ調のピアノ協奏曲」でピアノを弾いている。

     オスカー・レヴァントはガーシュウィンの友人であったが、この映画で本人役で出ている。

    ワーナーブラザーズ

     「アメリカ交響楽」を製作したのはワーナーブラザーズである。

     ワーナーブラザーズは1942年にジョージ・M・コーハンの伝記映画「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」で成功していた。


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     1945年の「アメリカ交響楽」でも、「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」と同じくジョーン・レスリー(Joan Leslie)が主人公の相手の女性の役になっている。

     「アメリカ交響楽」では、ジョーン・レスリーが歌ったり踊ったりしているところが多い。(「スワンダフル」(”s’ Wonderful”)もジョーン・レスリーを中心としたミュージカルになっている。


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  • 【映画】「雲流るるままに」 ジェローム・カーンの伝記

    【映画】「雲流るるままに」 ジェローム・カーンの伝記

     1946年に公開された映画「雲流るるままに」(”Till the Clouds Roll by”)は、「ショウボート」や「煙が目にしみる」で有名な作曲家ジェローム・カーンの伝記映画である。

     伝記の間にジェローム・カーンのミュージカルが入って、ジュディ・ガーランド、ジューン・アリスンその他当時のMGMのミュージカルのスターによって演じられている。


    DVD>雲流るるままに ()

    「雲流るるままに」とは 

     「雲流るるままに」というのは、ジェローム・カーンの楽曲 “Till the Clouds Roll by” のことである。

     映画「雲流るるままに」は、ジェローム・カーンの伝記であって、その中に “Till the Clouds Roll by” も出て来る。

    映画「雲流るるままに」の構成

     映画「雲流るるままに」は、ジェローム・カーンの伝記の中に、ジェローム・カーンのミュージカルが入っている。

    ジェローム・カーンの伝記

     「ショウボート」の公演を観たジェローム・カーンが、若くて売れていなかったころから、「ショウボート」を作るまでのことを回顧するというかたちになっている。

     ジェローム・カーンを演じているのはロバート・ウォーカー。

     編曲者ジム・へスラーがいつもそばにいて、その娘サリーとのやりとりがある。

     英国で出会った女性との結婚。

     英国の興行主チャールズ・フローマン、大女優マリリン・ミラー、作詞家オスカー・ハマースタイン二世などとのやりとりもある。

     ジェローム・カーンは1945年に亡くなっている。そのことは映画の中で描かれていない。

    ジェローム・カーンのミュージカル

     この映画のみどころは、ジェローム・カーンの有名なミュージカルを再現しているところである。

     それもジュディ・ガーランド、フランク・シナトラなど、当時のMGMのスターがやっている。

     MGMスターによるジェローム・カーンのミュージカルの名場面集になっているのである。

     まずはじめに15分近く舞台「ショウボート」の再現がある。

     ジューン・アリスンはこの映画のタイトルになっている “Till the Clouds Roll by” (カラフルなレインコートのダンス)などをやっている。ただしそのミュージカル場面だけ。主役とのからみなど全くない。他の人もそういう感じである。

     その中でジュディ・ガーランドは大女優マリリン・ミラー役で二つのミュージカル場面をやっているだけでなく、舞台裏のやりとりもある。ジュディ・ガーランドのところだけヴィンセント・ミネリの演出で力が入っている。特に「Who?」は多くの人が使われていて、ジュディの歌も踊りもよくできている。

     サリーを演じたルシル・ブレマーは、主役とのやいとりもあって、「”I won’t dance”」などの歌、踊りもやっている。

     「煙が目にしみる」はダンスがある。

     最後に、多くの人を集めたセットで、スターが一人ずつジェローム・カーンの名曲を歌って、フランク・シナトラが “Ol’ Man River” を歌って終わる。

    DVD

     この映画は日本で公開されず、2005年にDVDが出た。

    「雲流るままに」(2005年)

     主役もオールスターも入っているが、その中でジュディ・ガーランドが大きい。


    DVD>雲流るるままに ()

    「雲流るるはてに」(2008年)

     「雲流るるはてに」になっている。

     主役のロバート・ウォーカーを大きく出している。


    雲流るるはてに – Till the Clouds Roll By –

    英語版(2021年)

     オールスターの感じを出している。


    Till the Clouds Roll By [DVD]

    英語版(2003年)

     これではジュディ・ガーランドが主演のようだ。


    Till the Clouds Roll By [DVD] [1946] by Robert Walker

    英語版

     似顔絵。


    TILL THE CLOUDS ROLL BY
  • 【映画】「スイング・ホテル」 名曲「ホワイトクリスマス」が初めて歌われた映画

    【映画】「スイング・ホテル」 名曲「ホワイトクリスマス」が初めて歌われた映画

     1942年に公開された映画「スイング・ホテル」(原題は “Holiday Inn” )は、ビング・クロスビーとフレッド・アステアが初めて共演した映画である。

     歌手のスターとダンサーのスターが共演して、それぞれの持ち味が生かされて、大ヒットとなった。

     アーヴィング・バーリンの名曲「ホワイト・クリスマス」が初めて歌われた映画でもある。


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    「スイング・ホテル」のあらすじ

     映画のはじめのところを少し。

     歌手のジム(ビング・クロスビー)は、ダンサーのテッド(フレッド・アステア)とともに舞台で歌ったり踊ったりしていたが、その仕事をやめて田舎に移り住むことにした。

     ところが田舎の暮らしは思うようにいかず、休日だけ開く「ホリデー・イン」(原題)をやることにした。

     その仕事をともにする女性をも得て、恋愛感情を持つに至った。

     ところがそこに、新たな女性パートナーをもとめていたテッドが転がり込んできた。

     ジムはこれまで愛する女性をテッドに奪われてきたので、今度も奪われるのではないかと戦々恐々とする。

     こういう話がコミカルに描かれている。

    ビング・クロスビーとフレッド・アステア

     ビング・クロスビーは、踊ることのできない、いささか鈍重な男の役、フレッド・アステアはそれに対して踊ることのできる器用な男の役である。

     ビング・クロスビーが主役のようである。

     ビング・クロスビーは歌手の役で、アーヴィング・バーリンの様々な歌を歌って聞かせる。「ホワイトクリスマス」はそのひとつ。

     フレッド・アステアはダンサーの役で、酔った踊りとか、爆竹をつかった踊りとか、色々と面白い踊りを見せている。

    アーヴィング・バーリンの楽曲

     この映画は、アーヴィング・バーリンの祝日の歌によって構成されている。

     ビング・クロスビーが田舎で休日だけショーをやるという設定はそのために作られたものである。

     それぞれの歌は、それぞれの季節の場面で歌われる。

     「ホワイトクリスマス」はその祝日の歌のひとつとして出て来る。

     「イースターパレード」も、春の背景でビング・クロスビーが歌っている。

     この映画は季節を描くことに力を入れている。

     大みそかで終わるのもいい感じ。

     「ホワイトクリスマス」はこの後名曲として長く歌い継がれる歌となった。


    Songs from Irving Berlin’s Holiday Inn

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     日本語版DVD。


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     フレッド・アステアはこの映画がカラーでなかったことを残念がっていたが、現在英語版でカラーバージョンが出ている。

     たしかにこういう映画はカラーで観るべきかもしれない。


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     英語版Blu-ray。


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  • 【映画】「ロバータ」―フレッド・アステア―「煙が目にしみる」

    【映画】「ロバータ」―フレッド・アステア―「煙が目にしみる」

     1935年に公開された映画「ロバータ」( “Roberta” )は、1933年にジェローム・カーンが作曲、オットー・ハーバックが作詞・脚本を担当したブロードウェイのミュージカルをもとにして作られたものである。

     フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズの共演3作目。

     2人のダンスの中で最高のもののひとつ。


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    「ロバータ」のストーリー

     アメリカ人男性(ランドルフ・スコット)がパリで高級なドレスを作っている伯母のところへ来るという話である。

    ドレス

     その伯母の仕事で、女性が高級ドレスを着て出てくる場面が多くある。

     音楽つきのファッションショーが重要な場面になっている。

    恋愛物語

     そのアメリカ人男性と、その伯母の家にいた女性(アイリーン・ダン)とが、惹かれ合ったり、すれ違ったりすることが話の中心となっている。

    フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズ

     フレッド・アステアもジンジャー・ロジャーズも話の中心ではない。

     フレッド・アステアはその男性の友人、ジンジャー・ロジャーズはその伯母の家に来ていた女性で、2人は実はその前にアメリカで親しくしていた、という設定である。

     2人が話の中心ではないこと、2人が悪友のような関係であることなど、「空中レビュー時代」に近い。

     ただし「空中レビュー時代」では、2人は主役の3人の後にされていたが、「ロバータ」では、2人はアイリーン・ダンとともにはじめに並べられていて、ランドルフ・スコットはその後にされている。

    「煙が目にしみる」

     「ロバータ」の1番の売りは「煙が目にしみる」(”Smoke Gets in Your Eyes”)である。

     はじめブロードウェイミュージカル「ロバータ」はそれほど高く評価されていなかったが、「煙が目にしみる」 が大ヒットして、「ロバ―タ」もヒットしたと言われている。

     「煙が目にしみる」はそれから名曲とされて、多くの人が歌い、演奏している。


    Smoke Gets In Your Eyes

     映画「ロバータ」ではアイリーン・ダンが歌っている。


    Smoke Gets in Your Eyes

     フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズもこの楽曲に合わせて踊っている。そのダンスは、2人の「ロマンティック」なダンスの中で最高のもののひとつである。

     2人とも自伝でこのダンスに対する思い入れを語っている。


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    その他

     この映画でのフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズは、親しい雰囲気で、歌、踊りを楽しんでやっている感じがいい。

     特に” I’ll Be Hard to Handle “からのダンスは楽しい。

    いいと思うところ

     映画「ロバータ」でフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズは話の中心ではない。

     それゆえに「ロバータ」は2人の代表作ではないようにも思われる。

     しかし「ロバータ」には、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズのコンビの最高のところがあると思う。


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  • 有本香氏による宮澤大輔氏の紹介を問題としたEARL氏、知念実希人氏

    有本香氏による宮澤大輔氏の紹介を問題としたEARL氏、知念実希人氏

     12月8日、有本香氏が宮澤大輔医師を「日本で唯一、個人でコロナの論文を書かれた」と紹介した。

     それに対して、EARL氏、知念実希人氏が反論した。

     そのやりとりが興味深かったので、書いて置こう。

    有本香氏のツイート

     発端になった有本香氏のツイート↓

    有本香氏のツイートに対する反論

    EARL氏の反論

     まず「EARLのコロナツイート」の反論をとりあげる。

     「日本で唯一」というのはおかしいというのである。

     これに対して宮澤大輔氏は次のように反論している。

     「個人で」というのは「個人開業医で」ということだというのである。

     それに対するEARL氏、宮澤氏は「ゴールポスト移動させ」たといって、「凡例」を出している。

     宮澤氏はまた「個人で」というのは「どこの組織にも属していない」ということだという。

     まとめる。

     EARL氏は、有本香氏が宮澤大輔氏を「日本で唯一、個人でコロナ論文を英語で執筆された」と紹介したツイートを見て、「阪大微生物研究所の宮坂先生の論文」のように日本で「個人でコロナ論文を英語で執筆された」という反例は簡単に見つかると思った。

     ところで宮澤大輔氏は、「日本で唯一、個人でコロナ論文を英語で執筆された」という「個人で」とは、「個人開業医で」、「どこの組織にも属していない」医師で、ということだと考えていた。

     EARL氏は、宮澤大輔氏がそういうのを聞いて、宮澤氏が「急に条件増やし」たとか、「ゴールポスト移動させ」たとか言った。

     しかし有本氏が「個人で」といったのは、はじめから宮澤大輔氏が言うように「個人開業医で」、「どこの組織にも属していない」医師で、という意味であったのではないか?

     たしかに、EARL氏が引用している「阪大微生物研究所の宮坂先生の論文」も、「個人でコロナ論文を英語で執筆」したものということはできるかもしれない。

     しかし有本氏が「個人開業医で」、「どこの組織にも属していない」医師で、という意味で「個人で」と書いたことは、正しくないとは言えないのではないか。

     宮澤氏が「急に条件増やし」たとか、「ゴールポスト移動させ」たのではなく、EARL氏が誤解していたのではないか。

    知念実希人氏の反論

     次に知念実希人氏の反論をとりあげる。

     知念氏は、「日本で唯一」というのは「ほんの数分調べれば明らかに間違いだと分かること」だとEARL氏と同じようなことを言っている。

     そのことについては上で考えた。

     知念氏は、「新型コロナ診療もしていない眼科開業医を感染症の権威のように紹介して」いることによって、「日本の医師、科学者を貶める」ことにつながることを問題としている。

     ここでも知念氏が有本氏の紹介を読んで思い込んだことと、有本氏がその紹介を書く時に考えていたこととが、食い違っているようである。

     知念氏は有本氏が宮澤氏を過剰に持ち上げたと思い込んだ。

     しかし宮澤大輔氏について、「どこの組織にも属していない」「日本の個人開業医」でコロナの英文論文を出しているという意味で、「日本で唯一、個人でコロナ論文を英語で執筆された」と紹介することは、宮澤大輔氏を過剰に持ち上げることではないのでないか?

     さてその後で、知念氏は宮澤氏の論文をおとしめた。

     それに対して宮澤氏が知念氏に対して英分の論文を書いたことないのではないかと追及し、知念氏は「論文を書いたことはない」という、やりとりになった。

     そこで有本氏が話を引き戻して、知念氏に問い返している。

     たしかに知念氏が有本氏による宮澤大輔氏の紹介を「間違い」ときめつけたことは、科学によることではなく、「マウント」をとることではないか。

    まとめ

     たしかに宮澤大輔医師を「日本で唯一、個人でコロナの論文を書かれた」と紹介することは、誤解を招くことであった。

     しかしそこでEARL氏、知念氏がその誤解にとびついて、そのことによって宮澤大輔医師の主張についての科学的な議論が行われなかったことは、無益なことでなかったか。

  • 「コンチネンタル」 フレッド・アステアの初主演映画

    「コンチネンタル」 フレッド・アステアの初主演映画

     1934年に公開された映画「コンチネンタル」(原題は The Gay Divorcee )は、フレッド・アステアにとって3本目の映画である。

     フレッド・アステアはこの映画で初めて主演になった。

     この映画によってフレッド・アステアは映画スターとしての地位を確立した。


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    映画「コンチネンタル」のタイトル

     この映画の原題は “The Gay Divorcee” (陽気な離婚者)という。

     フレッド・アステアは映画出演を始める前に “The Gay Divorce”(陽気な離婚)という舞台をニューヨークでやっていた。

     フレッド・アステアのRKOでの映画第1作「空中レビュー時代」が成功して、プロデューサーのパンドロ・バーマンはその「陽気な離婚」を映画化することにした。

     その時に、「陽気な離婚」というタイトルを「陽気な離婚者」にかえたのである。

     日本語版の「コンチネンタル」というタイトルは、映画版で付け加えられた「コンチネンタル」( “The Continental” )という楽曲からきている。

    ミュージカルコメディ

     映画「コンチネンタル」はミュージカルコメディである。

     ジンジャー・ロジャーズの演ずる若い女性は離婚しようとしている。フレッド・アステアの演ずる男性はそのことを知らずにその女性に惚れて追いかける。

     その2人の間の誤解、その他の人の誤解がからまっていくところがコミカルに描かれている。

     「陽気な離婚者」というタイトルはそういうことから来ている。

     エリック・ブロア(おかしなウェイター)、エリック・ローズ(おかしなイタリア人)、アリス・ブレイディ(思い込みの強い中年女性)、そしてルビッチ作品にも出ていたエドワード・エヴェレット・ホートンがフレッド・アステアの友人の弁護士役として出ていて、コメディを盛り上げている。

    Night and Day

     「陽気な離婚」は、ニューヨークで開演した時に評判がよくなかったのであるが、その中でコール・ポーターの楽曲「 Night and Day 」のダンスの評判はよかった。

     「 Night and Day 」のダンスは、フレッド・アステアがそれまで組んでいた姉アデルと離れてから作り出したものであった。

     夜、正装で女性と2人で踊ってうっとりさせるような「ロマンティック」なダンスである。

     そういうダンスが映画版にも持ち込まれた。

     そのダンスによってフレッド・アステアは、女性をうっとりさせるダンサーとしての地位を確立した。

     ジンジャー・ロジャーズも、この前の「空中レビュー時代」では軽いアメリカの若い女性であったが、「 Night and Day 」のダンスでは、上品になっている。


    Night & Day: Cole Porter Songbook

    コンチネンタル

     この映画の日本語のタイトルのもとになっている「コンチネンタル」という楽曲は、多くの人が楽しく酔うような楽曲であり、踊りである。

     「空中レビュー時代」の「カリオカ」と同じような路線の楽曲、踊りということができる。

     多くの人が踊っている中で、フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャーズの2人が踊って、また多くの人が踊る、というかたちも似ている。

     作詞ハーブ・マジッドスン、作曲コン・コンラド。


    The Continental (You Kiss While You’re Dancing) (English Edition)

    ベティ・グレイブル

     この映画には、第2次世界大戦のころに特に人気だったといわれるベティ・グレイブルが出ている。


    Silver Screen Star Series Betty Grable [Explicit]

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  • 「空中レヴュー時代」 フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズの初共演作

    「空中レヴュー時代」 フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズの初共演作

     1933年に公開された映画「空中レヴュー時代」(原題は “Flying Down to Rio”)は、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズが初めて共演した映画である。

     この映画での二人の踊りは大変な人気になった。

     この映画によってフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズはスターになったのである。


    空中レヴュー時代 [DVD]

    フレッド・アステアと「空中レビュー時代」

    映画デビュー

     ブロードウェイのスターであったフレッド・アステアが映画に進出するにあたって初めに契約したのはRKOであった。

     RKOでフレッド・アステアが初めに出演した映画が「空中レヴュー時代」であった。

     ただし、フレッド・アステアは「空中レビュー時代」に出演する前に、MGMの映画「ダンシング・レディ」(”Dancing Lady”)に出演している。

    フレッド・アステアの役

     フレッド・アステアは、映画「空中レヴュー時代」の主役ではない。

     最も大きく名前が出ているのはドロレス・デル・リオであって、2人の男優が続き、ジンジャー・ロジャーズは4番目、フレッド・アステアは5番目である。

     話は、ドロレス・デル・リオ演ずる女性が2人の男性から愛されて、どうするか、というものである。

     フレッド・アステアはその2人の男性のうちの1人の友人である。中心の話とあまり関係がない。

     その中心の話とあまり関係がないフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズのダンスが人気になったことを考えると、いびつな構造になっているということもできる。

    カリオカ

     この映画で人気になったのは、「カリオカ」(”The Carioca”)というヴィンセント・ユーマンス(Vincent Youmans)の楽曲でのフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズのダンスである。

     「カリオカ」は、ラテン風の、多くの人を酔わせるような楽曲である。

     そこで若くて色気のあるジンジャー・ロジャーズとフレッド・アステアのダンスが魅力的なものになった。


    Carioca (Flying Down to Rio)

     フレッド・アステアはその他にも、ドロレス・デル・リオとのダンス、一人でのダンスなどをやっている。

    「空中レビュー」

     「空中レビュー時代」というのは奇妙なタイトルであるが、映画の終盤にそのタイトル通りの奇妙なことが行われる。

     複数の飛行機の上で多数の女性が並んで踊るのである。サーカスのようなこともやる。

     このころハリウッドでは大勢の人のダンスによって観客を驚かし、楽しませていた。この映画の「空中レビュー」はそのぶっ飛んだものということができる。

    観るためには

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