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  • 旧統一教会「献金の返還を求めない」念書についての最高裁判決に対する疑問

    旧統一教会「献金の返還を求めない」念書についての最高裁判決に対する疑問

     世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者の献金について遺族が教団に損害賠償を求めた裁判で、2024年7月11日、最高裁判所は元信者の「献金の返還を求めない」という念書は無効だとする判断を示して、高等裁判所に差し戻した。

     新聞各紙はその記事を一面に掲載、テレビ各局もそのことを大きく報じた。しかしそのように多くの報道機関が報道しているにもかかわらず、裁判でどういうことが争われていたか、よくわからない。一審、二審では旧統一教会側が勝った。旧統一教会側が正しいと一審、二審は判断したのである。どうしてそう考えたのか? 最高裁はどう考えてそれを覆したのか?

     マスメディアの報道では、旧統一教会の違法な勧誘による献金がなされたにもかかわらず、献金の返還請求、損害賠償請求を行わないという念書を旧統一教会に書かされていたことによって、返還請求、損害賠償請求ができなくなっていたようである。一審、二審はその念書を有効とした。それに対して最高裁はその念書を無効とした、ということのようである。

     そういうことであったのか? 旧統一教会が悪いにもかかわらず、一審、二審は旧統一教会側を勝たせたのか? しかし一審、二審によって認定された事実は、報道されていることと異なるようである。むしろその認定をもとにして最高裁が出した判決の方が理解に苦しむものになっている。

     一審、二審では旧統一教会側が勝っていた。しかし二審の判決の翌日に起こった安倍元首相殺害事件以降、負けた側の山口広弁護士等が統一教会の専門家のようなかたちでマスメディアに取り上げられて一方的に統一教会の印象を悪くしてきた。その中で最高裁は高等裁判所の判決を覆して、山口広弁護士等の側を勝たせたのであった。こういう流れに問題はないか?

    最高裁判決

     ここで7月11日の最高裁判所の判決をよく読んでみよう。―「令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

     判決を伝えるだけのマスメディアの報道と違って、判決はそれまでの裁判がどのような事実を認定したか、その事実認定をもとにしてどのような判断をしたか、を明らかにしている。―2において「原審の確定した事実関係の概要」を示し、3において原審の判断を示し、4において「原審の上記判断はいずれも是認することができない」として最高裁がその理由を示している。以下、重要と思われるところを引用する。

    三女の存在

    亡Aは、被上告人家庭連合の信者であった三女の紹介により、平成16年以降、松本信徒会(長野県松本市所在の被上告人家庭連合の松本教会に通う信者らによって構成される組織)が運営する施設に通い始め、遅くとも平成17年以降、松本教会等において、被上告人家庭連合の教理を学ぶようになった。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

     家庭連合の信者であった三女の紹介によって亡Aは家庭連合の教えを受けるようになったというのである。マスメディアはこの三女のことを報道していない。

     マスメディアは亡Aの献金について旧統一教会に対して損害賠償を求める長女のことばかり報道している。旧統一教会によって損害を被った亡Aのために長女が旧統一教会に対して損害請求を求めているという長女の主張ばかり報道している。

     しかし三女も長女と同じく亡Aの娘である。その三女が長女とともに訴えていないということは、違う考えを持っているということではないか? そのことを無視していいのか? 亡Aが家庭連合の教えを受けるようになった時には、亡Aの考えは家庭連合の信者であった三女と近かったにちがいない。亡Aの考えを知るには三女のことを知ることが重要ではないか?

    念書を作る経緯

    (3)イ 被上告人家庭連合の信者であったCは、平成27年11月頃、それまでにCが被上告人家庭連合にした献金につき、将来、Cの娘婿が被上告人家庭連合に返金を求めることを懸念し、松本信徒会の婦人部の部長であった被上告人Y1に相談したところ、公証人役場において上記返金の請求を阻止するための書類を作成する方法があることを伝えられた。亡Aは、Cから上記書類を作成する話を聞き、自身も同様の書類を作成することとした。
     ウ 亡Aは、平成27年11月、Cと共に、被上告人家庭連合の信者の運転する自動車で公証人役場へ行き、公証人の面前において、被上告人家庭連合の信者がその文案を作成した「念書」と題する書面に署名押印し、当該書面(以下「本件念書」という。)に公証人の認証を受けた。本件念書には、亡Aがそれまでにした献金につき、被上告人家庭連合に対し、欺罔、強迫又は公序良俗違反を理由とする不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求等を、裁判上及び裁判外において、一切行わないことを約束する旨の記載があった。
     その後、亡Aは、松本教会に行き、被上告人家庭連合に対して本件念書を提出し、これにより、亡Aと被上告人家庭連合との間に本件念書による合意(以下「本件不起訴合意」という。)が成立した。その際、被上告人家庭連合の信者により、亡Aが被上告人Y1からの質問に答えて上記献金につき返金手続をする意思はないことを肯定する様子がビデオ撮影された。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

     これによると、旧統一教会が念書を作らせたのではなく、亡Aが自ら念書を作成したという事実関係が確定されている。―亡Aは、

    ・「Cから上記書類を作成する話を聞き、自身も同様の書類を作成することとした」のであり

    ・「Cと共に、被上告人家庭連合の信者の運転する自動車で公証人役場へ行き、公証人の面前において、被上告人家庭連合の信者がその文案を作成した「念書」と題する書面に署名押印し、当該書面(以下「本件念書」という。)に公証人の認証を受けた」のであり

    ・「その後、亡Aは、松本教会に行き、被上告人家庭連合に対して本件念書を提出し、これにより、亡Aと被上告人家庭連合との間に本件念書による合意(以下「本件不起訴合意」という。)が成立した」のである。

     旧統一教会が念書を作らせたのではなく、自ら同じく信者であるCの話を聞いて、Cとともに作ったのである。

    最高裁の主張

     ところが最高裁は「本件不起訴合意は、亡Aがこれを締結するかどうかを合理的に判断することが困難な状態にあることを利用して、亡Aに対して一方的に大きな不利益を与えるものであったと認められる。」として、「したがって、本件不起訴合意は、公序良俗に反し、無効である。」と結論している。そのことを次のように説明しようとしている。

    高齢と認知症

    これを本件についてみると、亡Aは、本件不起訴合意を締結した当時、86歳という高齢の単身者であり、その約半年後にはアルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断されたものである。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

    教団との関係

    そして、亡Aは、被上告人家庭連合の教理を学び始めてから上記の締結までの約10年間、その教理に従い、1億円を超える多額の献金を行い、多数回にわたり渡韓して先祖を解怨する儀式等に参加するなど、被上告人家庭連合の心理的な影響の下にあった。そうすると、亡Aは、被上告人家庭連合からの提案の利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあったというべきである。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

    信者の関与

    また、被上告人家庭連合の信者らは、亡Aが上告人に献金の事実を明かしたことを知った後に、本件念書の文案を作成し、公証人役場におけるその認証の手続にも同行し、その後、亡Aの意思を確認する様子をビデオ撮影するなどしており、本件不起訴合意は、終始、被上告人家庭連合の信者らの主導の下に締結されたものである。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

    合意の内容

    さらに、本件不起訴合意の内容は、亡Aがした1億円を超える多額の献金について、何らの見返りもなく無条件に不法行為に基づく損害賠償請求等に係る訴えを一切提起しないというものであり、本件勧誘行為による損害の回復の手段を封ずる結果を招くものであって、上記献金の額に照らせば、亡Aが被る不利益の程度は大きい。

    令和4年(受)第2281号 損害賠償請求事件 令和6年7月11日 第一小法廷判決

    疑問

     最高裁判所の判決がこのようなものでいいのか? と思ってしまう。

    高齢と認知症

     高齢であるからといって「合理的に判断することが困難な状態」であったとは言えない。その約半年後にはアルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断されたからといって、その半年前に「合理的に判断することが困難な状態」であったとは言えない。

     その後に言われているように、亡Aはアルツハイマー型認知症と診断される前の約10年間献金をしていた。その献金はアルツハイマー型認知症によることと言うことはできない。献金の返還を求めないという念書は約10年間献金した考えにつながることと思われる。その約半年後にアルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断されたことをもってその半年前の念書の効力を否定することはできないのではないか?

    教団との関係

     最高裁は、亡Aが念書以前の「約10年間、その教理に従い、1億円を超える多額の献金を行い、多数回にわたり渡韓して先祖を解怨する儀式等に参加するなど、被上告人家庭連合の心理的な影響の下にあった」として「そうすると、亡Aは、被上告人家庭連合からの提案の利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあったというべきである」と主張しているが、何を言っているのか?

     「約10年間、その教理に従い、1億円を超える多額の献金を行い、多数回にわたり渡韓して先祖を解怨する儀式等に参加するなど」の行為は「家庭連合の心理的な影響の下にあった」からなされたのであろうが、自発的に宗教活動をしていたことを示すことではないか? そのことがどうして「利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあった」ということになるのか? 

     最高裁は「心理的な影響の下にあった」という言葉によって「マインド・コントロール」の存在を事実上認めていると紀藤正樹弁護士は語っている。

     たしかに紀藤弁護士等のマインドコントロール論は、約10年間宗教活動をしてきた人物の自発性を否定するという理解しがたい結論を導き出す理論である。最高裁がそういう理解しがたい主張をしていることは、紀藤弁護士等の「心理的な影響の下」にあって「その当否を冷静に判断することが困難な状態にあった」からと考えなくては理解しがたいことではある。しかし最高裁がそういうことでいいのか?

     マスメディアの報道では、その部分が省略されていることが多いようである。さすがに理解ができなかったのではないかと思われる。マスメディアが省略するような理論を主張する判決も気になるが、その理解できないところを省略してすますマスメディアの報道も気になる。

    信者の関与

     原審の確定したところによると、亡Aは「Cから上記書類を作成する話を聞き、自身も同様の書類を作成することとした」「松本教会に行き、被上告人家庭連合に対して本件念書を提出し、これにより、亡Aと被上告人家庭連合との間に本件念書による合意(以下「本件不起訴合意」という。)が成立した」。これをどうして「本件不起訴合意は、終始、被上告人家庭連合の信者らの主導の下に締結されたものである」ということができるのか?

    合意の内容

     合意の内容に関して最高裁は「亡Aが被る不利益の程度は大きい」というが、不利益と考えるかどうかはその人によることではないか?

     そもそも本件の念書は「Cの娘婿が被上告人家庭連合に返金を求めることを懸念し」たことがきっかけになったとされている。Cは娘婿が家庭連合に返金を求めることを不利益と考え、そのことを阻止することを利益と考えたのではないか? そのことを聞いて「同様の書類を作成することとした」亡Aも同様に、他の者が家庭連合に返金を求めることを不利益と考え、そのことを阻止することを利益と考えたのではないか? 原審の確定した事実関係によると、教団ではなく信者の間で、家族が教団に献金の返金を求めることを恐れる考えがあったようである。亡Aはそのことを避けるために念書を作ったようである。

     亡Aの念書を作った考えがそういうものであったとすると、亡Aの長女が認知症と診断された亡Aの成年後見人として、亡Aの念書は無効であるとして、亡Aの献金に対する損害賠償を求めていることは、亡Aの意思に反するのではないか?

    最高裁判決の問題

     最高裁の今度の判決は、マスメディアの報道と合うものである。マスメディアはこれまで述べてきた問題を取り上げず、これまでの判決で念書が有効とされたことによって高額な献金による被害が救済されなかったと報じてきた。最高裁が念書は無効としたことは、その問題を解決することのようである。

     しかし最高裁はその判決に原審の確定した事実関係、それをもとにした判断を取り上げて批判するかたちで、自分の考えを出さなくてはならない。その判決を読むと、原審の確定した事実関係と、最高裁の主張とがかみ合っていないように見える。

     世界平和統一家庭連合は最高裁が事実審の事実認定に反することを言っていることを問題としている。

    最高裁(法律審)、は事実審(1審・2審)の事実認定に拘束されるにもかかわらず、今回の最高裁判決は、事実審の事実認定(念書を書いたのは信者Aであり、内容も信者Aの意思の通り)に反して、念書の作成や念書の内容は「家庭連合からの提案」であり、「不起訴合意は、終始、被上告人家庭連合の信者らの主導の下に締結された」などと判示しています。これは明らかに民事訴訟法に違反した認定であると言わざるを得ません。

    7月11日付け最高裁判決について

     もう一つ。最高裁は、安倍元首相殺害事件以後に作られた「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律3条1号、2号」を参照して、原審はその「判断枠組みを採っていない」ゆえに「上記の判断枠組みに基づく審理を尽くさなかった違法があるというべきである」と言っている。安倍元首相殺害事件以前のことについての安倍元首相殺害事件以前の判決を安倍元首相殺害事件以後の法律を基準として違法としていいのか?

    判決の報道

     7月12日、新聞各紙は最高裁の判決を一面に載せた。

     朝日新聞は一面に「「賠償求めぬ」念書無効 献金勧誘、違法性に基準 最高裁初判断 旧統一教会」という記事を載せた。そして29面にも「遺族「長い年月だった」 旧統一教会の念書「無効」判決 「女性に一方的に不利益」と判断」という記事を載せている。

     毎日新聞は一面に「「賠償求めぬ」念書、無効 旧統一教会の勝訴、破棄 最高裁初判断」という記事を載せている。

     読売新聞は一面に「旧統一教会 「返金提訴せず」念書無効 最高裁 教団献金初判断」という記事、そして社説「[社説]旧統一教会判決 献金勧誘の悪質性を断じた」でその判決を称賛している。

     産経新聞は一面記事「旧統一教会に「返金求めない」の元信者の念書は「無効」 最高裁が初判断」のほか、社説「<主張>旧統一教会上告審 念書無効の判断は当然だ」で最高裁の判断は当然だと言っている。しかし次のようにその根拠は曖昧である。

    女性は念書作成の半年後に認知症と診断された。そのような状態でこんな念書など作成可能だったか。作成時の様子は撮影され、審理で教団側から証拠提出されたが、それ自体が周到すぎないか。そもそも洗脳が疑われた女性の署名押印が有効なのか―それが一般感覚だろう。

    産経新聞 <主張>旧統一教会上告審 念書無効の判断は当然だ

     日経新聞は「旧統一教会「献金の返還求めず」念書は無効 最高裁初判断」という記事。7月14日には社説「[社説]旧統一教会の献金被害を救済する契機に」。社説では下のように「市民感覚に沿った」と言っていて、産経の「一般感覚」と似ている。

    献金が巨額であることや、後に認知症と診断されたことなどを踏まえれば、市民感覚に沿った妥当な結論といえよう。同じような念書を交わしたケースはほかにも多いとみられる。一人でも多くの被害回復につなげたい。

    日経新聞 [社説]旧統一教会の献金被害を救済する契機に

     東京新聞は「旧統一教会信者の「賠償請求しない」念書は無効 最高裁、教団勝訴の二審判決を破棄 「公序良俗に反する」」という記事。そして「<社説>旧統一教会判決 献金被害の回復を早く」という社説。次のように「全面的に評価できる判決だ」と言っている。

     多額献金や物品購入の被害の声が絶えないことを踏まえれば、全面的に評価できる判決だ。「念書」を書かせる事例も相当数に上るとみられるが、それが返金を求める上で壁にもなっていた。今回の判決を機に献金被害の早期解決が進むことを望む。

    東京新聞 <社説>旧統一教会判決 献金被害の回復を早く

     このように各紙がそろって最高裁の判決を称賛している。

     統一教会は政治的に右寄りと言われているが、右寄りと言われる読売新聞も産経新聞もむしろ積極的に社説で判決を称賛している。どの新聞も同じようなことを書いている。一審、二審でどのような事実が認められたのか? 何ゆえに旧統一教会側が勝ったのか? そういうことは伝えていない。旧統一教会の違法な勧誘による献金がなされたにもかかわらず、献金の返還請求、損害賠償請求を行わないという念書を旧統一教会に書かされていたことによって、返還請求、損害賠償請求ができなくなっていたが、今度の最高裁の判決で念書は無効とされて被害者の救済の道が開かれた、ということばかり言われている。

     念書は亡Aの意思によるものとすることを覆すことは、亡Aの意思を否定することになるのではないか? そのことは問題とされない。新聞社は事実を追及するものだと思うが、何故にこのことに関しては事実を追及しないのか?

     NHKの「旧統一教会 “教団に返金求めない”念書は無効 最高裁が初判断」という記事も旧統一教会の主張、一審、二審で確定された事実を問題とせずに最高裁の判決を伝えている。

     ANN報道ステーションも長女側の主張ばかり。

    https://www.youtube.com/watch?v=2lI-qJmlelo
    ANNnewsCH 「やっと真っ当な判決」高額献金の勧誘「異例のもの」最高裁 旧統一教会“念書”無効【報道ステーション】(2024年7月11日)

     最後に菅野志桜里氏の「家族の生活など個別事情を含めて去年成立した被害者救済法を引用して丁寧に総合評価を下し判例としたことが大きい」というコメントが紹介されている。「去年成立した被害者救済法を引用し」たことの意義を強調している。

     しかし最高裁は「個別事情」を丁寧に考えたのであろうか? 一審、二審で行われた「個別事情」の事実認定から最高裁は遠ざかっているが、それで「個別事情」を丁寧に考えたことになるのか?

     「本件に限らず似たような事案でも同様に”念書無効”の判決が下される可能性が出てきた」というが、そもそも本件はどういう事案であるのか? 番組では念書を巡る裁判を行っている他の人を取り上げているが、それぞれの事案はそれぞれ別に考えなくてはならないのではないか?

     TBSnews23も最高裁の判決をなぞるだけで、最後に世界平和統一家庭連合の主張を少しだけ。

    TBS NEWS DIG Powered by JNN 被害者救済法が判決の“支え”に…最高裁が旧統一教会・高額献金裁判のやり直し命じる 争点の「念書」は一転無効の初判断【news23】

    安倍元首相殺害事件との関係

     この裁判は安倍元首相殺害事件と関係がある。そのことで気になることがある。

     まず最高裁の判決が出た7月11日に法記者クラブで開かれた記者会見で山口広弁護士が語ったことを取り上げよう。鈴木エイト氏は次のようにポストしている。

     気になるところ↓

    山口広弁護士 「私自身は地裁・高裁の酷い判決、訴訟指揮を目の当たりにして、本当に絶望して『もう弁護士辞めようかな』と。『今の裁判所じゃ人権救済もあったものじゃないな』とつくづく思ってがっかりしてました。ご本人(中野容子さん)にも『もう上告、諦めようか』と正直言ってそういうことまで私は言いましたし、思ってました。そしてあの事件(安倍元首相銃撃事件)です。本当に翌日なんです。やっぱりこんなことまで起こる、この社会現象は、社会的な被害は『一緒に闘いましょうか、最後の最後まで』ということでお話をして、上告受理申立てに至ったわけですが、『やって良かったな』と。ちょっと言葉は悪いが『地獄に仏』みたいな感じですね。よくぞここまで(判決を)変えてくれました。本当に心から………そう思います。上告して良かった、ご本人にあるいは相談者にですね。」

    鈴木エイト氏のポスト 統一教会による悪質な念書と高額献金勧誘を巡る訴訟、最高裁判決後の会見での上告人(原告)代理人弁護士の発言

     高裁の判決は2022年7月7日、安倍元首相殺害事件の1日前であった。その時に山口弁護士は上告をやめようかと言っていたが、安倍元首相殺害事件が起こって、闘うことにした、そして2024年7月11日の最高裁の判決に至ったというのである。

     安倍元首相殺害事件を受けて山口弁護士は統一教会による被害という「社会現象」「社会的な被害」と闘わなくてはならないと考えて上告したという。

     多田文明氏のYahooニュースの記事「「このような献金の様態は異例のものと評し得る」旧統一教会の被害実態をしっかりとみての最高裁判決に納得」では次のように記されている。

    「中野さんご本人にも、もう上告を諦めようかとまでいいました。しかし、あの(安倍元首相の銃撃)事件が、高裁判決の翌日に起きました。(高額献金の被害により)こんなことまで引き起こしてしまう事態を目にして、やはり一緒に戦いましょうと思い直して、上告受理申し立てをしました」と、本当に上告してよかったとの思いを吐露します。

    「このような献金の様態は異例のものと評し得る」旧統一教会の被害実態をしっかりとみての最高裁判決に納得

     この記事では山口弁護士の言葉は「こんなことまで引き起こしてしまう事態を目にして、やはり一緒に戦いましょうと思い直して、上告受理申し立てをしました」と記されている。

     問題は安倍元首相殺害事件以後に起こったことにある。安倍元首相殺害事件直後、山口弁護士等は記者会見を開いて、統一教会の印象を極めて悪いものとした。その後、テレビは山口弁護士やその仲間の紀藤弁護士、鈴木エイト氏などばかりを統一教会の専門家のようなかたちで出演させて統一教会の印象を悪くした。

     今度の最高裁の判決が出される前には、マスメディアは山口弁護士側の論調ばかりになっていた。そういう状況で、山口弁護士の主張に合う判決が出された。

     このような流れで高等裁判所の判決が覆されていいのであろうか? それこそ「利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態」ではないか? 裁判は両方の主張を聞いた上でなされるものである。ところが安倍元首相殺害事件以後一方の主張だけが聞かれていた。

  • 安倍元首相殺害事件の裁判が始まらずに時間がたっているのは何故か?

    安倍元首相殺害事件の裁判が始まらずに時間がたっているのは何故か?

     安倍晋三元首相殺害事件の裁判が始まらずに時間がたっている。重大な事件であるにもかかわらず、放置されているような奇妙な状態になっている。

     何故にそういうことが起こっているのか?

     事件から2年たとうとする2024年5月下旬から6月にかけて、左翼インフルエンサーがそのことを問題にしていた。その考えは真実とは違うと思われる。しかし裁判が始まらずに時間がたっていることは問題とされなくてはならないことではないか?

    裁判の遅れ

     2022年7月8日、安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した。

     多くの人に衝撃を与えた事件であった。長く総理大臣を務めた人物であって、総理大臣を辞めた後も強い影響力を持っていた人物が、選挙応援演説中に銃撃され、死亡したのである。

     ところがその後に奇妙な事が起こっている。裁判が始まらないまま時が過ぎているのである。

     事件から2年近い2024年3月20日の朝日新聞の記事の見出しには「初公判は来年の可能性も」とある。

    https://www.asahi.com/articles/ASS346DG2S34PTIL00M.html

    裁判は奈良地裁で開かれる予定で、昨年10月から2回、裁判官と検察官、弁護人で証拠や争点を議論する公判前整理手続きがあった。3回目の期日は未定で、さらに複数回をへて裁判員裁判が開かれるとみられる。
    (中略)
     最高裁によると、近年の手続きの平均期間は11カ月余り。検察の証拠開示や弁護側の主張の検討などに時間がかかり、弁護団の中には、「年内に裁判を開くのは難しい」という見方もあるという。

    朝日新聞デジタル 山上被告「事件考えない日はない」 初公判は来年の可能性も

     「初公判は来年」ということは2025年からということのようである。「年内に裁判を開くのは難しい」ということは、2024年内に裁判を開くのは難しく、2025年からでなくてはならないということのようである。

     重大な事件が起こったにもかかわらず、その事件の裁判が2年たっても始まらないままである。これはおかしいことではないか?

    左翼インフルエンサーの主張

     2024年5月20日に菅野完氏がこのことに関する問題提起をした。これほど長く続く未決勾留は不当だというのである。

     菅野氏はそのことを「警察と検察の怠慢と忖度」による「異常性」として、問題としている。そして「日本のリベラル論壇」も「保守論壇」もそのことを問題としていないことを問題としている。

     「警察と検察の怠慢と忖度」によるかどうかはわからないが、たしかにおかしいのではないかと思われることが起こっている。

     そして菅野氏も言うように、そのことは右からも左からもそれほど問題にされていないようである。

     菅野氏が問題提起をした後、左翼インフルエンサーが次々とその問題を取り上げた。

     たとえば町山智浩氏。町山氏は上に引用した朝日新聞の2024年3月20日の「山上被告「事件考えない日はない」 初公判は来年の可能性も」という記事を引用して次のように語っている。

    https://twitter.com/tomomachi/status/1796194398071292170?s=46&t=GzBNfG97EZzNU53ca4RjTw

     町山氏は誰かが「公判を引き延ばしている」と語る。「公判になれば山上が安倍狙撃の動機として自民党と統一教会の癒着について法廷で話すことになる」、そのことを避けるために「公判を引き延ばしている」というのである。町山氏は誰が「公判を引き延ばしている」のか明らかにしていない。「自民党と統一教会の癒着について法廷で話す」ことを避けたい人とは、自民党の政治家のことであろうか?

     町山氏はその後にさらにわかりやすい投稿をしている。

    https://twitter.com/tomomachi/status/1804556646401953803?s=46&t=GzBNfG97EZzNU53ca4RjTw

     内田樹氏も「早く裁判を始めない」ことを問題としている。

     「早く裁判を始めない」ことは『「被疑者が死ぬのを待っている」と邪推されてもしかたがない』という。内田氏は法務大臣に責任があると言っている。町山氏と同じように自民党の政治家がそうしているということであろうか?

     清水潔氏も勾留が長く続いて裁判が始まらないことを問題としている。

     清水氏は「司法まで政治に振り回される」ことを問題としている。裁判が始まらないことは、司法が「政治に振り回される」からだというのである。町山氏、内田氏と同じように、自民党の政治家が自分たちのために裁判を始めないようにしているということであろうか?

     しかし裁判が始まると自民党の政治家に都合のよくないことが起こるのであろうか?

    裁判は自民党の政治家に都合が悪いのか?

     町山氏が語るように「公判になれば山上が安倍狙撃の動機として自民党と統一教会の癒着について法廷で話す」として、自民党の政治家にとって都合の悪いことになるであろうか?

     山上被告が今後、自民党と統一教会の関係について、自民党に都合が悪いことを言うことができるとは考え難い。

     自民党と統一教会の関係については、安倍元首相殺害事件以前から鈴木エイト氏が追及していて、事件以後、マスメディアが問題として取り扱ってきた。その後で山上被告がこれまで明らかになっていないことを付け加えることができるとは考え難い。

     山上被告が自民党と統一教会の関係について語ることができることは、調査したことか、自分の経験によることであろう。

     山上被告に他の人以上の調査能力があるとは考え難い。

     山上被告が経験するくらいのことは、他の統一教会信者の子供も経験しているのではないか?

     そもそも裁判が始まらなくても山上被告の発言は封じられていない。そもそも事件直後の山上被告の供述をきっかけとして、統一教会の問題が追及され、安倍元首相と統一教会の関係、自民党と統一教会の関係が追及される論調は生じたのである。

     安倍元首相殺害事件の後、安倍元首相と統一教会の関係、そして自民党と統一教会の関係が問題とされた。しかし何が悪いのかよくわからない。

    自民党と統一教会の関係

     統一教会は自民党を支援していた。自民党議員はその代わりに統一教会のイベントに出席したりしていた。そのことの何が悪いのか?

     安倍元首相殺害事件以後、紀藤正樹弁護士等が統一教会を問題とし、統一教会と自民党の関係を問題とする論調を主導した。事件直後の2022年7月12日、紀藤弁護士等の記者会見において同じく渡辺博弁護士は「政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれない」と語っている。統一教会には警察が捜査をしなくてはならない問題があるにもかかわらず、「政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれない」というのである。

     「政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれない」ということが事実であるとすると、そういう政治家と統一教会の関係は問題とされなくてはならないにちがいない。

     鈴木エイト氏はそのことを語ることのできる人として出て来た。

     そしてマスメディアで安倍元首相と統一教会の関係、自民党議員と統一教会の関係を盛んに問題としてきた。

     しかし鈴木エイト氏は安倍元首相が統一教会の関連団体にビデオメッセージを送ったこととか、その他の自民党議員が統一教会のイベントに出席したこととかを示したが、それだけでは悪いということはできない。悪いことは明らかにされていない。事件後の2年間、鈴木エイト氏はマスメディアで安倍元首相と統一教会の関係について語って来たのに「統一教会と安倍晋三元首相のズブズブの関係を明確な論拠で語る」ことは行われていない。そもそも「ズブズブ」という言葉がどういうことを意味しているのか明らかでない。

     事件以降マスメディアがその問題を追及してきたにもかかわらず、問題とされるような事実は明らかにされていない。仲正昌樹氏の語る通りである。

     清水潔氏は「統一教会との関係」は「バレている」と語ったが、現在何が明らかになっているのか? またすでに明らかになっているとすると、裁判が始まらなくても明らかになっているのではないか? このようにすでに明らかになっているとも言われ、これから明らかになるとも言われることの実体は何なのか?

     紀藤弁護士や渡辺弁護士、鈴木エイト氏の主張にはいまだに根拠がないのである。根拠のない憶測によって世の中が動かされているかたちになっている。

     岸田首相が2022年8月31日に自民党議員と統一教会の関係を問題として断絶宣言をしたのは、マスメディアが問題としたからではないかと思われる。

    https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0831kaiken2.html

     岸田首相は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を「社会的に問題が指摘される団体」として、自民党議員が関係を絶つことを宣言しているが、「社会的に問題が指摘される」というのはマスメディアが問題としているということではないか?

     ところがそのマスメディアの論調を主導していた紀藤弁護士も鈴木エイト氏も、自民党議員と統一教会の間に悪い関係があったという根拠をもって示すことはできていない。紀藤弁護士や鈴木エイト氏が根拠もなく問題を指摘したことを根拠として、岸田首相は世界平和統一家庭連合を関係断絶しなくてはならない相手と語っているのではないか?

    事件の実態

     紀藤弁護士や鈴木エイト氏が事件後に主導した論調は根拠のないものである。裁判が穏当に行われる限り、その根拠のないことが明らかにされると思われる。

     裁判によって、自民党に都合の悪い統一教会との関係が明らかにされるより、むしろ問題がないにもかかわらずあると言ってきた人が正しくなかったことが明らかにされると思われる。

     そして被害者と加害者が逆転している論調も正されると思われる。

     山上被告は統一教会の「被害者」とみなされてきた。しかしいまだに山上被告が統一教会から受けたという「被害」は明らかになっていない。山上被告が統一教会からどのような「被害」を受けたとしても、山上被告行った「加害」が問題とされなくてはならない。

     40代の人物が自分の10代のことを理由として殺人事件を起こしたと言われている場合、その人が受けたことよりやったことが重視されなくてはならないのではないか?

     山上被告と統一教会の関係がどうであっても、山上被告が安倍元首相を殺害したことに関しては、山上被告が安倍元首相から受けた「被害」はこれまでのところあるとは思われず、それだけ「加害」が問題とされなくてはならない。

    裁判の前に日本を覆う論調

     ところが安倍元首相殺害事件から2年たっても裁判が始まっていない。その間に事件に対して根拠なくきめつける論調が日本を覆ってしまった。

     そもそも事件が起こっているのに法的な決着がつかない間は、法的に歪んだ状態が続くことになる。安倍元首相殺害事件のような重大な事件の場合は特にそうである。安倍元首相殺害事件の場合は、その上に、紀藤弁護士、鈴木エイト氏等によって事件を根拠なくきめつける論調が日本を覆ってしまった。

     紀藤弁護士や鈴木エイト氏等は統一教会を「巨悪」として、山上被告は「被害者」であるかのように語った。そして安倍元首相はその「巨悪」である統一教会のために働いていたとして、安倍元首相に問題があったと語った。

     紀藤弁護士や鈴木エイト氏等の根拠のない主張は、裁判が始まらないことによって力を持っているということもできる。

     現在、裁判所は紀藤弁護士や鈴木エイト氏等によって作られた論調に直面している。裁判官は、紀藤弁護士や鈴木エイト氏等によって多くの人に広められた論調を相手にまわさなくてはならない。

     紀藤弁護士や鈴木エイト氏はこれまでその根拠のない論調によってマスメディアを動かし、国会議員を動かし、岸田首相をも動かしてきた。国内で最後に残っているのは裁判所である。どうするか?

  • 政治家と統一教会の「接点」―問題はどこにあるのか? 盛山文科相の場合

    政治家と統一教会の「接点」―問題はどこにあるのか? 盛山文科相の場合

     久しぶりに「旧統一教会」が話題になった。

     盛山正仁文部科学大臣と「旧統一教会」の「接点」が、朝日新聞によって報道されたのである。盛山氏は関係を否定しているが、朝日新聞はさらに追及している。国会では野党の議員が盛山氏に問い詰めている。

     その前に「旧統一教会」が話題になったのは、2023年12月初めであった。

     その後、自民党議員の政治資金パーティーを巡る問題、能登半島の地震など、大きな問題があった。

     久しぶりに「旧統一教会」問題が、朝日新聞で、国会で盛んに論じられているところをみると、この問題のおかしさが際立って見える。

    朝日新聞の報道

     2024年2月6日、朝日新聞は、盛山氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の「接点」について報道した。

     盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から推薦状を受け取り、団体が選挙支援をしていたと複数の関係者が朝日新聞の取材に証言した。

    朝日新聞 盛山文科相、旧統一教会系から選挙支援 21年衆院選 関係者が証言
    https://www.asahi.com/articles/ASS256HGVS24UTIL00X.html?iref=pc_ss_date_article

     安倍元首相殺害事件以後、自民党議員と「旧統一教会」との「接点」が問題とされてきた。

     今度も「接点」が問題とされているのであるが、それだけでなく、盛山氏が「宗教法人を所管する文科省のトップとして、昨年10月に教団の解散命令を東京地裁に請求している」ことと関係づけて問題とされている。

     朝日新聞の取材に対して盛山氏は次のように答えている。

     なお、2021年10月の選挙に際して、お尋ねの団体に選挙支援を依頼した事実はありませんし、事務所に活動報告があったことも確認できませんでした。
     また、当時、当該団体が旧統一教会関係団体であるという認識がありませんでした。自民党からの調査の際、事務所の資料等において、お尋ねの集会に関する詳細について記録がなかったことから、自民党の調査にも回答しておりませんでした。
     いずれにいたしましても、私自身、旧統一教会との関係を絶っており、引き続き、解散命令請求の対応等、取り組んでまいりたいと考えております。

    朝日新聞 盛山文科相、旧統一教会系から選挙支援 21年衆院選 関係者が証言

     「接点」はあったが認識はないというのである。そしてすでに関係を断っていて、今後はその方向で進むので問題はないというのである。

     国会では立憲民主党の議員がそのことに関して盛山氏を追及する。それをまた朝日新聞が報道する。

     その追及によって盛山氏は追い詰められているかのようである。

    https://www.asahi.com/articles/ASS273RZDS27UTFK004.html?iref=pc_ss_date_article

     何とか逃れようとしているかのようである。

    盛山氏は「記憶にございません」を午前中の審議だけで10回以上も連発。迷走する答弁に、野党は批判を強めている。

    朝日新聞 「記憶にございません」10連発 盛山文科相、教団接点巡り答弁迷走
    https://www.asahi.com/articles/ASS284R9DS28UTFK001.html?iref=pc_ss_date_article

    そもそも「接点」の何が悪いのか?

     しかしそもそも政治家と「旧統一教会」の「接点」の何が悪いのか?

     朝日新聞、立憲民主党が問題としていることの何が悪いのか、よくわからない。

     たとえば収支報告書に記載しなくてはならないことを記載しないことは、悪いことである。そのことと同じことのように論ずる人がいるが、違うことである。

     そのことに関して朝日新聞の記事では次のように書いてある。

     教団をめぐっては、22年7月の安倍晋三元首相銃撃事件後、信者からの高額献金の問題や政治家とのかかわりが表面化。

    朝日新聞 盛山文科相、旧統一教会系から選挙支援 21年衆院選 関係者が証言

     「表面化」してどうしたのか? どういう悪いことがあるのか?

     そもそも「接点」を問題とすることは、次のような考えからである。

    統一教会の被害者にとっては、政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれないというような思いがずっとあると思います。私どもにもあります。ぜひその点を、国会議員の先生方は、今回の事件を気にしていても、あの考えていただきたい。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     安倍元首相殺害事件後間もなく、全国霊感商法対策弁護士連絡会が行った記者会見で渡辺博弁護士が語ったことである。

     その後、渡辺弁護士が言うように、国会議員の先生方は「旧統一教会」との「接点」をなくすようになった。

     しかし「政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれない」というのは、渡辺弁護士の「思い」に過ぎず、いまだに証拠は出てこない。

     反統一教会活動家は、根拠なしに「空気」によって統一教会をパブリックエネミーにすることを考えていた。

    岸田首相の問題

     そういう反統一教会活動家の目論見に岸田首相が乗ってしまった。

     岸田首相は2022年8月31日に記者会見において、「旧統一教会」との関係を断絶することを宣言した。

     まず、旧統一教会の問題です。我々政治家は、それぞれの政治活動において、可能な限り多くの方々と接し、その意見に耳を傾け、自分自身の考えも御理解いただく努力が不可欠です。また、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。
     しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。
     私の政権における大臣、副大臣、政務官については、自ら当該団体との関係の点検を行うとともに、関係を絶つことの確約を得たところです。しかし、閣僚等を含め、自民党議員について、報道を通じ、当該団体と密接な関係を持っていたのではないか、国民の皆様から引き続き懸念や疑念の声を頂いております。
     自民党総裁として率直におわびを申し上げます。
     国民の皆様の疑念、懸念を重く受け止め、自民党総裁として茂木幹事長に対し、先週来、3点指示をいたしました。
     第1に、党として説明責任を果たすため、所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること。
     第2に、所属国会議員は、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと。これを党の基本方針として、関係を絶つよう所属国会議員に徹底すること。
     第3に、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化すること。
     自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいります。

    令和4年8月31日岸田内閣総理大臣記者会見

     その結果、盛山氏のような岸田首相の「政権における大臣」は、「旧統一教会」と関係を絶たなくてはならなくなった。朝日新聞も立憲民主党も岸田首相の宣言をもとにして、責めることができるようになった。

     反統一教会活動家である鈴木エイト氏は、岸田首相の宣言を根拠として「旧統一教会」の解散命令請求を主張していた。

     2023年10月13日、岸田政権は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散命令請求を行った。解散命令請求を行ったのは文部科学大臣盛山氏であった。

    https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00421.html

     「空気」に動かされたとはいえ、根拠のないことに根拠を与えたのは岸田首相その人である。

     その結果、過去の自民党議員の統一教会との「接点」を、法律にもとづいて擁護することができなくなった。

    解散命令請求

     今度の場合は、解散命令請求との関係が問題とされている。

     たとえば立憲民主党の西村智奈美議員は7日の衆議院予算委員会で次のように語っている。

    旧統一教会の解散命令請求とがっぷり四つに組む大臣の立場に居続けることは裁判などに悪影響が出てくると思う。そういった懸念をなくすためにも、盛山大臣は記憶がなかったかもしれないが、こういったことがあったという事実をもって更迭をすべきではないか

    立憲民主党 【衆院予算委】西村議員、後藤議員、奥野議員が盛山文科大臣と旧統一教会問題、自民党の裏金問題など自民党政治の悪質性を問う

     朝日新聞は7日に次のような社説を出している。

    https://www.asahi.com/articles/DA3S15857851.html?iref=pc_ss_date_article

     その中で次のように語っている。

     解散請求をめぐっては、折しも今月22日、国と教団双方から意見を聞く審問が東京地裁で始まる。盛山氏が教団への負い目を抱えたままで適切な立証を進められるのか、疑念を抱かざるをえない。

    朝日新聞 (社説)盛山氏と教団 文科相の任に堪えない

     盛山氏は「旧統一教会」と「接点」をもっていた過去があるので、厳しく解散命令請求を貫くことができない、というようなことであろうか?

     しかし盛山氏は、「旧統一教会」と「接点」をもっていたにもかかわらず、解散命令請求を行った人であるので、そういうことはないのではないか?

    https://www.asahi.com/articles/ASS293JP1S29UTIL002.html?iref=pc_ss_date_article

     いずれにせよ、盛山氏が、数年前には「旧統一教会」と「接点」を問題としていなかったのに、数年後に問題として、解散命令請求を行っていることは、盛山氏が自分の信念によって行動しているのではなく、「空気」によって、「空気」によって動かされている岸田首相によって行動していると思われる。

    おかしな与野党、マスメディア

     岸田首相は、今までの「空気」に流された考えは間違えであったと認めて、法律を基準とすれば、何が悪いかよくわからない「接点」報道に手惑うこともなくなると思うのであるが、何故にそうしないのであろうか?

     岸田首相に問題があるとはいえ、野党もマスメディアも何が悪いかよくわからない「接点」を大問題のように扱って、いいことをしていると思っているのであろうか?

     そうすることによって、現役信者がパブリックエネミーとされることをどう考えているのであろうか?

  • 政治家と統一教会の「接点」―問題はどこにあるのか? 岸田首相と「旧統一教会系トップ

    政治家と統一教会の「接点」―問題はどこにあるのか? 岸田首相と「旧統一教会系トップ

     岸田文雄首相が旧統一教会系団体トップと面会していたと報道されて、マスメディアからも、野党からも追及された。

     しかしそもそも岸田首相が旧統一教会系団体トップと面会していたことに問題はない。

     マスメディア、野党は問題のないことを問題としているのであるが、その問題のないことを問題としたのは、岸田首相自身であった。

     岸田首相の自縄自縛という奇妙な事態が生じている。

    発端

     2023年12月4日、朝日新聞は「首相、旧統一教会系トップと面会」という記事を出した。

     「岸田文雄首相が自民党政調会長だった2019年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体のトップと自民党本部で面会していたと、複数の関係者が朝日新聞の取材に証言した。」というのである。

    https://www.asahi.com/articles/ASRD37G71RD3UTIL00B.html?iref=pc_ss_date_article

     関係者によると、岸田氏は党政調会長だった19年10月4日、党本部で来日中のニュート・ギングリッチ元米下院議長らと面談した。この場に、教団の友好団体「天宙平和連合(UPF)ジャパン」のトップである梶栗正義議長が同席していたという。梶栗氏の父は教団の元会長で、梶栗氏は別の教団関連団体のトップも務める。UPFは教団創始者の故・文鮮明(ムンソンミョン)氏と妻で教団総裁の韓鶴子(ハンハクチャ)氏が創設した団体で、ギングリッチ氏はUPFの大規模な集会にたびたび出席し、講演もするなど関係が深い。

    朝日新聞 「首相、旧統一教会系トップと面会」 19年に党本部で 関係者証言

     天宙平和連合(UPF)ジャパン」のトップである梶栗正義氏と岸田首相が2019年に面会していたというのである。

    追及

     岸田首相はその「旧統一教会系トップと面会」したことについて、「記憶がない」と語った。

     首相は「(自身で)点検をした結果、ギングリッチ氏が表敬を申し入れて、お会いした。その際に大勢の同行者がいたが、その一人一人については承知していない。これが私の認識だ」と述べ、教団関連団体の幹部と面会したという記憶がないと強調した。

    朝日新聞 首相「大勢の同行者、承知していない」 旧統一教会系と面会証言巡り
    https://www.asahi.com/articles/ASRD43CQVRD4UTFK002.html?iref=pc_ss_date_article

     5日の記事で朝日新聞は写真を出した。―岸田首相が元米下院議長のギングリッチ氏、UPFジャパンの梶栗正義議長、米国の旧統一教会元会長でUPFインターナショナル会長のマイケル・ジェンキンス氏とみられる3人が並んだ写真である。

    https://www.asahi.com/articles/ASRD47CZHRD4UTIL00D.html?iref=pc_ss_date_article

     その写真によると、岸田首相は「旧統一教会系トップと面会」したことを認識していたように見える。

     しかし岸田首相は写真があっても認識は変わらないと答えた。

    https://www.asahi.com/articles/ASRD53QFQRD5ULFA002.html?iref=pc_ss_date_article

     それに対して朝日新聞は、問題とされる面談は「UPFジャパンが手配した」というギングリッチ氏の言葉を報じた。

    https://www.asahi.com/articles/ASRD677KTRD6UTIL01M.html?iref=pc_ss_date_article

     「UPFジャパンが手配した」面談であるにもかかわらず、岸田首相がそのことを認識していなかった、ということがあるであろうか?

     岸田首相は当時そのことを認識していたにもかかわらず、認識していなかったと言い張っているのではないか?

     そして岸田首相が認識していなかったと言い張っているにもかかわらず、朝日新聞の取材によって、岸田首相が認識していたことが、明らかになってきているのではないか?

     朝日新聞は「袋小路」と言っている。

    https://www.asahi.com/articles/ASRD56TZXRD5UTFK00M.html?iref=pc_ss_date_article

     立憲民主党の泉健太代表もそのことで岸田首相を責めている。

    問題はどこに?

     岸田首相が追い詰められたようなかたちになっているが、そもそもその前に問題がある。

     岸田首相が旧統一教会系トップと面会することの何が悪いのか、よくわからないということである。

     2022年7月8日に安倍元首相殺害事件が起こってから、自民党議員と統一教会及びその関連団体の「接点」が問題とされた。しかし「接点」が何故に悪いのか、明らかにされていない。何を根拠として悪いというのか?

     その流れを導いた紀藤正樹弁護士等の属する全国霊感商法対策弁護士連絡会は、安倍元首相殺害事件から間もない2022年7月12日に出した声明の中で、安倍元首相が2021年9月に天宙平和連合(UPF)にメッセージを送ったことを非難して、次のように語っている。

    安倍元首相が、統一協会やそのダミー組織のひとつである天宙平和連合(UPF)などのイベントにメッセージを発信することを繰り返し、特に昨年9月12日の「神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会」(UPFのWEB集会)でビデオメッセージを主催者に送り、その中で文鮮明教祖(2012年死去)の後継の教祖韓鶴子氏に「敬意を表します」と述べたことは、統一協会のために人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとってたいへんな衝撃でしたし、当会としても厳重な抗議をしてきたところです。
    政治家の皆様が政治的信念にもとづいて意見を述べ行動されることについて当会として異をはさむものではありません。
    しかし、その献金勧誘行為や信者獲得手法について繰り返し違法である旨の判決が下されている統一協会やそのダミー組織の活動について支持するような行動は厳に慎んで頂きたいと改めて切実にお願いいたします。

    全国霊感商法対策弁護士連絡会 安倍晋三 元首相 銃撃事件に対する声明
    https://www.stopreikan.com/seimei_iken/2022.07_seimei_abe.htm

     これによると、安倍元首相のUPFとの「接点」の問題は、「統一協会のために人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとってたいへんな衝撃でした」ということにあるようである。

     これでは「厳重な抗議をしてきた」根拠は理解しがたい。

     その「接点」によってある人々が「人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた」という事情がある場合、その「接点」は止めさせなくてはならない。

     しかしその「接点」が「統一協会のために人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとってたいへんな衝撃でした」という場合、その「接点」は止めさせなくてはならないことなのか? その「接点」とその「被害」との間にどういう関係があるのか? 安倍元首相のビデオメッセージと「被害」との間にどういう関係があるのか? 岸田首相とギングリッチ氏との面会と「被害」との間にどういう関係があるのか? 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、のような論法に見えるが、そうではないのか?

     UPFは「国連経済社会理事会の総合協議資格(カテゴリー1)を有する国際NGO団体」である。

    https://upf-jp.org/about_upf

     そういう団体に対して日本の政治家だけが、よくわからない理由によって関係を断絶しなくてはならないのか?

     今度の岸田首相の場合でも、UPFはギングリッチ氏との面会を手配したと言われているが、そういうことはいけないことなのか?

     安倍元首相がビデオメッセージを送ったUPFの大会には、世界中の有名な人が参加していた。当時この大会のことをひろめた鈴木エイト氏の「やや日刊カルト新聞」の記事では次のように書かれている。

     潘基文第8代国際連合事務総長が開会を宣言、他にソウル特別市・釜山市などの市長、忠清南道知事などの知事、欧州委員会委員長、グロリア・アロヨ第14代フィリピン大統領、デーヴェー・ガウダ第11代インド首相、ナターシャ・ミチッチ元セルビア大統領、アンソニー・カルモナ第5代トリニダード・ドバコ大統領、フンセン カンボジア首相といった面々、そして安倍晋三とともに特筆すべき人物としてドナルド・トランプ前米大統領がリモート基調演説を行い韓鶴子に賛美の言葉を贈った。

    やや日刊カルト新聞 2021年9月12日日曜日 速報!!安倍晋三前内閣総理大臣が統一教会系大規模イベントで演説、韓鶴子に敬意を表す
    http://dailycult.blogspot.com/2021/09/blog-post.html

     UPFはそのような人々をつなぐことをしているのである。そういう団体との接点を、被害者にとって「たいへんな衝撃」であったという、よくわからない理由によって断絶しなくてはならないのか?

     岸田首相に対する朝日新聞の追及、立憲民主党の追及は、そういうおかしなことになっている。朝日新聞も立憲民主党もそれでいいのか?

     ただしそのことは岸田首相自身によることでもある。

    岸田首相の自縄自縛

     岸田首相は2022年8月31日に記者会見で「旧統一教会について当該団体との関係を断つことを党の基本方針とし、所属国会議員に徹底すること」を宣言している。

     岸田首相自身が統一教会との関係、「接点」を断つと宣言しているのである。追及する者は、岸田首相自身の言葉を根拠として追及することができるわけである。

     岸田首相の言葉は次の通り。

     まず、旧統一教会の問題です。我々政治家は、それぞれの政治活動において、可能な限り多くの方々と接し、その意見に耳を傾け、自分自身の考えも御理解いただく努力が不可欠です。また、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。
     しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。
     私の政権における大臣、副大臣、政務官については、自ら当該団体との関係の点検を行うとともに、関係を絶つことの確約を得たところです。しかし、閣僚等を含め、自民党議員について、報道を通じ、当該団体と密接な関係を持っていたのではないか、国民の皆様から引き続き懸念や疑念の声を頂いております。
     自民党総裁として率直におわびを申し上げます。
     国民の皆様の疑念、懸念を重く受け止め、自民党総裁として茂木幹事長に対し、先週来、3点指示をいたしました。
     第1に、党として説明責任を果たすため、所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること。
     第2に、所属国会議員は、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと。これを党の基本方針として、関係を絶つよう所属国会議員に徹底すること。
     第3に、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化すること。
     自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいります。

    令和4年8月31日岸田内閣総理大臣記者会見

     ここでも関係を絶つ根拠はよくわからない。

     「宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。」のあたりであるが、

     「関係法令を遵守」していないところがあれば関係を絶たなくてはならないのか?

     「社会的に問題が指摘される団体」とはどういうことなのか?

     よくわからない。

     いずれにせよ、そもそも根拠の明らかでないことに、首相が根拠を与えてしまったのである。

     反統一教会活動家も十分な根拠をもっていなかった。

     たとえば鈴木エイト氏は次のように語っている。

     岸田首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を「社会的に問題が指摘される団体」として関係の断絶を宣言したことが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求の理由になるというのである。

     逆に言うと、岸田氏が関係の断絶を宣言したことのほかに、鈴木エイト氏は根拠をもっていないということである。

     反統一教会運動はそれまでその反統一教会運動の根拠を持っていなかったのである。

     紀藤弁護士の所属する全国霊感商法対策弁護士連絡会とともに反統一教会運動を行っている日本脱カルト協会の理事・山口貴士弁護士は、岸田首相の関係断絶宣言の数日前、次のように語っていた。

     その後に岸田首相が関係断絶宣言を行うに至った流れを、山口弁護士はその前に考えていたようである。

     『統一協会がパブリックエネミーだという「空気」を形成』することによって「統一協会との関係について断ち切るということのできない政治家」を「淘汰」するというのであるが、実際にそういう「空気」が形成されて、その「空気」の中で岸田首相は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を「社会的に問題が指摘される団体」として、関係を断つと宣言するに至っている。

    何ゆえに自縄自縛を続けるのか?

     奇妙な事態である。

     朝日新聞も立憲民主党も、根拠のよくわからないことによって岸田首相を追い詰めようとしている。

     岸田首相も根拠のよくわからないことによって追い詰められたかのようなかたちになっている。

     根拠になっているのは、岸田首相が自民党所属の国会議員と統一教会との関係を断つと宣言したことである。

     岸田首相が「空気」によって出してしまったその関係断絶宣言を、間違っていたと認めて撤回して、法律を基準とすることにすれば、今度のような何が悪いのかよくわからない追及に対しても、苦しい言い訳ではなく、堂々とした反論をすることができるのである。

     岸田首相は何故にそうしないのか?

     朝日新聞、立憲民主党、首相という「上級国民」による茶番を見せられている気持ちになる。

  • 「犯人の思う壺」? 安倍元首相銃撃事件以後の動きについての考察 ②紀藤弁護士等

    「犯人の思う壺」? 安倍元首相銃撃事件以後の動きについての考察 ②紀藤弁護士等

     安倍元首相が殺害された後、日本の社会も政府も犯人の望みを叶える方向に進んでいるのではないか、「犯人の思う壺」になる方向に進んでいるのではないか、と言われている。

     そのことについて詳しく考える。

     関連記事↓

     犯人の望みを叶える、ということは、犯人の望みと、それを叶える動きとからなる。

     まず安倍氏を銃撃した山上徹也の意図について↓

     次に犯人の望みを叶える動きについて考える。

     ここでは事件の後の日本を導いてきた紀藤正樹弁護士を取り上げる。

    紀藤弁護士の二つの主張

     事件の後の紀藤弁護士の主張は、7月11日の紀藤弁護士のツイートにおいて明確に示されている。

     紀藤弁護士の7月11日のツイートには二つの主張がある。

    ・安倍氏殺害事件は統一教会の反社会性が暴発したもの

    ・安倍氏殺害事件は安倍氏が統一教会に対して適切に対処しなかったゆえに起こった

     第1の主張によると、事件の原因は統一教会の「反社会性」にある。

     問題を解決するためには、統一教会の「反社会性」をどうにかしなくてはならないということになる。

     第2の主張によると、事件の原因は政治家と統一教会の関係にある。

     問題を解決するためには、政治家と統一教会の関係をどうにかしなくてはならないということになる。

    その後の流れ

     その後、紀藤弁護士は統一教会の専門家のようなかたちで盛んにテレビに出演して、上のような主張を広めた。

     マスメディアも紀藤弁護士の主張する通りに統一教会の「反社会性」を問題とし、統一教会と政治家の関係を問題とした。

     共産党、そして立憲民主党もそのことを問題とし、岸田首相もそのことを問題とするに至った。

     たとえば2022年8月31日、岸田首相は、自民党所属国会議員は統一教会との関係を絶つと宣言した。

    https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0831kaiken2.html

     これは紀藤弁護士等の第2の主張を受けたものということができる。

     第1の主張に関しては、紀藤弁護士はテレビで盛んに語ったほかに、2022年8月26日から開催された消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」に委員として参加している。(霊感商法等の悪質商法への対策検討会の開催について

     岸田首相はそういう紀藤弁護士等の動きを受けて、2022年末に新法を成立させるに至った。

    https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/1210kaiken.html

     そして2023年10月13日、岸田政府は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散命令請求を行うに至った。

    https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00421.html

     紀藤弁護士は「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求に関して、令和5年10月12日に行われた」盛山正仁文部科学大臣の臨時記者会見を「歴史に遺すべき素晴らしい」会見と評している。

     紀藤弁護士の望む通りのことを岸田政権は行ったということである。

     このように、紀藤弁護士の事件後の主張は7月11日のツイートにまとめられており、その主張にマスメディア、野党、そして岸田政権は従っていったのである。

    犯人の望みを叶える

      紀藤弁護士の主張を「犯人の望みを叶える」ということから考えてみよう。

    紀藤弁護士の主張と犯人の主張

     事件後の紀藤弁護士の二つの主張は、山上被告の二つの主張と対応している。

     統一教会の「反社会性」をどうにかしなくてはならないという紀藤弁護士の第1の主張は、統一教会について「人類の恥」という山上被告の考えと近いようである。

     政治家と統一教会の関係をどうにかしなくてはならないという紀藤弁護士の第2の主張のうち、安倍元首相と統一教会のこれまでの関係には問題があったということは、安倍元首相と統一教会の関係ゆえに安倍元首相を撃ったという山上被告と近いようである。

     紀藤弁護士の主張によって統一教会に対する解散命令請求が行われるに至った流れは、山上被告が望むものであったのか、よくわからない。

     紀藤弁護士の主張によって岸田首相が自民党議員と統一教会の関係を絶つと宣言するなどの流れは、山上被告が望むものであったのか、よくわからない。

     いずれにせよ、紀藤弁護士は山上被告と同じ考えを持っていて、その考えを推し進めた限りにおいて、犯人の望みを叶えている、ということができる。

     ただし、紀藤弁護士はもともと持っていた自分の考えによって動いているのであって、山上被告の望みを叶えているのではないというであろう。

    問題のすり替え

     いずれにせよ、紀藤弁護士はその考えのために、問題のすり替えを行っている。

     その7月11日のツイートでは、

     第1に、安倍元首相殺害事件は統一教会を恨んでいるという人物の反社会性が暴発したことであるにもかかわらず、紀藤弁護士は統一教会の反社会性が暴発したこととしている。

     第2に、安倍元首相殺害事件は犯人のせいで起こったことであるにもかかわらず、安倍氏に責任があるとしている。

     安倍元首相殺害事件において、統一教会の「反社会性」は明らかではない。統一教会と政治家の関係の問題は明らかではない。しかし紀藤弁護士はそのことこそ事件の原因だと語った。

     それに対して安倍元首相殺害事件において、犯人の暴力は明らかであるが、紀藤弁護士はそのことを問題としない。

     統一教会の「反社会性」をどうにかしなくてはならないとか、統一教会と政治家の関係をどうにかしなくてはならないとかいうことは、事件の前からの紀藤弁護士の主張である。

     その主張によって、問題のすり替えは行われた。

     マスメディアは紀藤弁護士の問題のすり替えに乗った。

     安倍元首相殺害事件に対して、犯人を問題とせず、統一教会を問題とし、統一教会と政治家の関係を問題とすることによって、関心は犯人から統一教会、政治家に向けられた。統一教会、政治家に対する追及が行われるうちに、犯人のことはかえりみられなくなっていった。

     そのことは犯人の考えと同じである限りにおいて、犯人の望みを叶えるものということができる。

     紀藤弁護士の言動において注意すべきは、そういう問題のすり替えである。

    反社会性

     紀藤弁護士は統一教会の「反社会性」を問題としているが、紀藤弁護士の問題のすり替えこそ問題とされなくてはならないことではないか?

     紀藤弁護士は、安倍元首相殺害事件という重大な事件に対して、加害者を被害者とし、被害者を加害者として秩序を混乱させた。

     その後の統一教会の問題、統一教会と政治家の関係の問題に対する追及は、いずれも紀藤弁護士等によって必ずしも十分な根拠なしに行われた。

     そういう紀藤弁護士が現実には日本の政治を動かしていった。

     紀藤弁護士は統一教会の「政治への浸透」を問題としたが、そういう紀藤弁護士の「政治への浸透」が現実には起こっている。

     紀藤弁護士は、統一教会は「組織的な政界浸透作戦」を行ってきたと主張した。それに対して日本は「対処法を持たなかった」と主張していた。

     しかし安倍氏殺害事件以後、紀藤弁護士等の主張によって、政府が解散命令請求を行うに至った流れは、紀藤弁護士自身による「政治への浸透」が成功したことを示すことである。

     そのことはまた、紀藤弁護士が「政治への浸透」を問題とした統一教会は、そういう紀藤弁護士の「政治への浸透」に対抗することができるほど「政治への浸透」を行っていなかった、ということを示すことでもある。

     そもそも紀藤弁護士が語ったような統一教会の「政治への浸透」があったのか? ということが問題となる。

    7月12日の声明と記者会見

     事件後の紀藤弁護士の考えは、これまで述べてきたように7月11日のツイートに示されているが、その考えが広く示されたのは7月12日の全国霊感商法対策弁護士連絡会の声明と記者会見であった。

     紀藤弁護士も加わっている全国霊感商法対策弁護士連絡会は7月12日「安倍晋三元首相 銃撃事件に対する声明」を出した。

    https://www.stopreikan.com/seimei_iken/2022.07_seimei_abe.htm

     紀藤弁護士もツイッターでその声明について知らせている。

     その声明を読み上げる記者会見が行われて、紀藤弁護士等がその声明の趣旨を敷衍している。

    ニコニコニュース ノーカット版【”統一教会”の献金などの活動を非難】紀藤正樹弁護士ら全国霊感商法対策弁護士連絡会が記者会見 2022/07/20

     向うからこちらをうかがうような山口弁護士の表情が印象的。

     文字起こし↓

    https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2022/07/090064.shtml

     この声明・記者会見から、世の中の論調が、犯行に対する非難から統一教会に対する非難に導かれていった。

    声明 代表世話人山口広弁護士

     記者会見では、はじめに声明が川井康雄弁護士によって読み上げられた。

     そしてまず代表世話人の山口広弁護士がその声明に関して発言した。

    会見の意図

     山口弁護士のはじめの言葉はこの会見の意図を明らかにしている。

    今日の会見設定を弁護団で決めた理由はですね、この声明に掲げています2と3と4につきます。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     「この声明に掲げています2と3と4」とは何か?

     声明は1から5まである。

     1は犯人の行為は「許されない」と言うもの。

     2は、統一教会の献金による苦悩、教会に対する憤りを問題として「今回の行為は決して許されることではありませんが、こうした問題に対し社会としてどう取り組むべきかが改めて問われているとも思います」というもの。「行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打ってきませんでした」ということを問題としている。

     3は、安倍氏が統一教会の関連団体UPFにビデオメッセージを送ったような行為を非難するもの。

     4は、統一教会の霊感商法や勧誘の手口の問題に対する理解を求めるもの。

     5は、報道によって現役信者が傷つき苦しむことへの配慮をもとめるもの。

     弁護団がこの会見設定を決めた理由は「2と3と4につきます」ということは、弁護団が会見を開いて訴えたいことは、声明の2と3と4につきる、ということである。

     2と3と4は、統一教会の問題に対して手を打たなくてはならない、政治家のこれまでの統一教会との関係には問題があって改めていかなくてはならない、というものである。

     そのほかの1も5も会見で訴えたいことではないというのである。

     1の、犯人の行為に対して「許されない」と言うことは、会見で訴えたいことではないというのである。

     5の、報道によって現役信者が苦しむことへの配慮をもとめることも、会見で訴えたいことではないというのである。

     この会見は、事件を起こした犯人を問題とせず、事件との関係の明らかではない統一教会を問題とし、統一教会と政治家の関係を問題とするものだというのである。

     「安倍晋三 元首相 銃撃事件に対する声明」と題する声明、そしてその声明を読み上げる記者会見であるにもかかわらず、その銃撃という犯行は軽く扱われているのである。

     声明においても、記者会見においても、はじめに犯人の行為に対して「いかなる理由があろうとも決して許されないことです」と言うが、そのことについてはそれだけで終わる。そしてその後に別の問題が重要な問題として語られる。

     産経新聞は事件の1年後の2023年7月に、「殺人は許されないが」と前置きして、その後に「テロリストと背景・動機を絡め、過度に意味を与える」言説を批判する記事を出した。

    https://www.sankei.com/article/20230712-LUYNEDZCNVOCJCMBU2NJCE4CPQ/

     そういう言説は弁護士連絡会の2022年7月12日の声明、記者会見に始まっている。

     弁護士連絡会の2022年7月12日の声明、記者会見を問題としなくてはならない。

     声明の3において、安倍氏がUPFにビデオメッセージを送ったことを問題として、「統一協会のために人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとってたいへんな衝撃でしたし、当会としても厳重な抗議をしてきたところです。」というところも問題とされなくてはならない。

     安倍氏のビデオメッセージはそのような非難を受けなくてはならないものではない。

     それにもかかわらず、被害者である安倍氏を、十分な根拠なしに加害者であるかのように語っているのである。

     7月8日の安倍元首相殺害事件から間もない7月12日に、安倍元首相殺害事件という重大な事件の問題をすり替え、加害者を被害者とし、被害者を加害者とする記者会見が弁護士団体によって行われた。

     そしてその後、マスメディアはその弁護士団体の弁護士や同じ考えをもった学者、ジャーナリストばかりを出演させて、その論調が日本を覆った。

    犯人の望みを叶える?

     7月12日の声明、記者会見は、紀藤弁護士の7月11日のツイートと同じく、統一教会を悪としてその問題を追及しなくてはならないということ、そういう統一教会と政治家の関係を問題とするものである。

     その主張には、犯人の考えと同じところがあると思われる。その限りにおいて犯人の望みを叶えるものということができる。

     事実は明らかになっていないのに、「山上被疑者の苦悩や教会に対する憤りも理解できます」と理解を示していることは、犯人のことを理解しているのか? いないのか?

     犯人との関係ということでは、山口弁護士が「山上さんのお母さん」と言っているところは気になるところである。

    私達が許せないのはですね、山上さんのお母さんが、平成14年、2002年に奈良地裁で自己破産しています。この自己破産は明らかに統一教会に対する過度の献金のためですよ。それ以外考えられませんよ。それを昨日の記者会見では、あたかも他人事のように言った上で、その後の言及はありません。おそらく献金させてます。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     母親に対して「さん」をつけているのであろうか? それとも安倍元首相を銃撃した人物に対して「さん」をつけているのであろうか?

     その言葉に続く山口弁護士の言葉も、推測に過ぎないことを事実と断定する、思い込みが強い考え方が現れているので、取り上げておこう。

     「昨日の記者会見」とは、7月11日の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長の記者会見である。それに対して異を唱えているのである。

    MBS NEWS
    【ノーカット】「旧統一教会」が会見『山上徹也容疑者の母親は会員、破産も把握』『高額献金要求かの記録はない』【安倍元総理銃撃事件】

     この記者会見において田中会長は「犯行の動機や一部メディアで報じられている献金問題に関しましては、警察が捜査中であると思われますので、この場での言及は避けさせていただきます」と言う。そして「この御家庭が破綻された諸事情は私どもも把握しておりません。そして現場に問い合わせても、なお当時のことを分かっている方もおられなくて、把握しきれていないのが現状です。ただ破綻されていたということは知っております」と語っている。

     山口弁護士はこういう発言を非難して「あたかも他人事のように言った上で、その後の言及はありません」と言うのである。

     しかし、20年前の事実について「この自己破産は明らかに統一教会に対する過度の献金のためですよ。それ以外考えられませんよ。」と根拠なしに推測で決めつけている山口弁護士は正しいのか?

     「把握しきれていない」という田中会長は正しくないのか?

     ちなみにこのことに関して次のような文春の記事がある。

     ある信用調査会社によると、1996年度まで黒字が続いていた会社は母親が社長を引き継ぐ前年の1997年度には4000万円を超える負債を抱え、その後銀行からの融資も認められなくなった。2002年には母親が自己破産。2009年から2017年までは、統一教会側も連絡が取りづらい状態が続いたという。

    《安倍元首相銃撃》「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上徹也容疑者(41)の母親への“葛藤”と“宗教2世”の深い苦悩「私たちには幸福追求権がない」

    https://bunshun.jp/articles/-/55887?page=4

    紀藤弁護士

     7月12日の記者会見では紀藤弁護士も発言しているが、そこでも問題のすり替えを行っている。

     紀藤弁護士はまず、安倍元首相の殺害事件に、石井紘基氏の殺害事件の時の自分の経験を重ねて、「どれほど罪作りなのか」という。

    1人の政治家をですね、自分の意見と違うとか、その自分の立場と違うとかあるいは怨恨とかですね、そういうことで殺めることが、どれほど罪作りなのかっていうのは、正直言ってとても重いものだと思います。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     ここまでは、罪を重く考えているようである。

     ところが今度の事件の背後の話になって次のように語る。

    でも、そのエネルギー、今自民党の政治家の人たちも…当然悲しみの中に憤りをお持ちだ、それはもう十分わかります。ですけどこの事件の背景に何があったか、つまりそのエネルギーを向けてほしいのはむしろ巨悪なんです。(中略)今回の事件も、単純にその個人の怨恨なのか、個人の怨恨が引き金になったっていうのはその背後には、統一教会のですね、かなり過酷な、献金ノルマみたいなものがあって、そして家族が崩壊したと、それが怨恨に繋がった可能性もありますよね。そうするとですね、やっぱりこれは憤りの対象の対象はですね、個々の信者とかに向けられるものではなく、やっぱり統一教会、巨悪にも向け向かうべきだと私は思います。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     まさに問題のすり替えである。

     事件の背景には統一教会があるゆえに統一教会を「憤りの対象」とすべきだというのである。

     犯行に対する憤り、犯人に対する憤りを、統一教会に向けてほしい、向かうべきだと紀藤弁護士は言う。

     何故か? 統一教会の献金が「怨恨に繋がった可能性」がある、「そうするとですね、やっぱり」憤りは統一教会に向かうべきだと紀藤弁護士は言う。

     山口弁護士と同じく、可能性があるにすぎないことを事実のようにみなして、統一教会に憤りを向けるべきだというのである。

     犯人に対する憤りを統一教会に向けるということは、犯人の望みを叶えることかどうか、わからない。しかし統一教会は憤りを向けられるべき団体だということは、犯人の考えにちがいない。

     ちなみに紀藤弁護士が殺害された安倍元首相と重ねている石井紘基氏は、紀藤弁護士とともに反統一教会運動をしていた政治家である。

    渡辺博弁護士

     その他の弁護士の発言についても考えておこう。

     渡辺博弁護士は記者会見において、統一教会に対する非難、政治家のこれまでの統一教会との関係に対する非難に終始している。

     統一教会については次のように語っている。

    全ての財産は神様、今で言えば韓鶴子様のもので全て捧げなさいというのが残念ながら統一教会の教えですから、その結果が家庭崩壊になってしまうということです。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     統一教会の教えでは信者は必ず「家庭崩壊になってしまう」というのであるが、これは事実であろうか?

     教えによってそうなると語っているところによると、事実を観察した上でそう言っているのではないのではないかと疑われる。

     常識的に考えて、その教えによって信者が必ず「家庭崩壊になってしまう」ような団体が、何十年もの間、一時期を除いてそれほど話題にならずに続いているということは、理解しがたい。

     ちなみに渡辺弁護士の「全ての財産は神様、今で言えば韓鶴子様のもので全て捧げなさいというのが残念ながら統一教会の教え」という言葉は、山上被告が米本氏に送った手紙の中の次の言葉と似ている。

    世界の中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、
    その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。

    REUTERS 元首相銃撃、手紙で示唆か

     たまたま同じようなことを考えたのであろうか? 影響を受けたのであろうか?

     いずれにせよ、渡辺弁護士は山上被告と同じような考えをもっていて、それを推し進めようとしている。望みを叶えようとしているようである。

     次に政治家と統一教会の関係について。

    統一教会の被害者にとっては、政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれないというような思いがずっとあると思います。私どもにもあります。ぜひその点を、国会議員の先生方は、今回の事件を気にしていても、あの考えていただきたい。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     渡辺弁護士は「政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれない」ということを問題としているのである。

     しかしそういう「ような思い」が統一教会の被害者に「ずっとあると思います」とか、「私どもにもあります」とかいうところをみると、証拠なしに思っているだけではないかと疑われる。

     ちなみに山上被告が同じようなことを語っていたということが伝えられている。

     一方、山上容疑者に誘われて西大寺の飲食店で食事をしたことがあるという男性は、山上容疑者からある悩みを打ち明けられていたという。
    「(略)
     山上さんは続けて、『統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ』と、あまり感情を出さない山上さんが、怒りにまかせたように話していました」

    Smart FLASH 安倍元首相銃撃の山上容疑者 優等生バスケ少年を変えた“統一教会で家庭崩壊“…事件前には近隣トラブルで絶叫【原点写真入手】
    https://smart-flash.jp/sociopolitics/190743/1/1/

     たまたま同じようなことを考えたのであろうか? 影響を受けたのであろうか?

     いずれにせよ、渡辺弁護士は山上被告と同じような考えをもっていて、それを推し進めようとしている。望みを叶えようとしているようである。

    郷路征記弁護士

     次に郷路弁護士。

    私達がやっている仕事の限りでは、統一教会は100%の悪であり、山上容疑者のお母さんも、それに発生して、山上容疑者自身も、その限りでは、統一教会との関係に限定すれば100%の被害者です。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     「私達がやっている仕事の限りでは」というのは、統一教会から「被害者」、「信者」を救済するという仕事の観点から見る限りでは、ということであろうか。

     しかしそもそも事実が明らかになっていないのに「統一教会は100%の悪であり、山上容疑者のお母さんも、それに発生して、山上容疑者自身も、その限りでは、統一教会との関係に限定すれば100%の被害者です」ときめつけることは、異様である。

     郷路弁護士は、統一教会の信者は皆被害者であるという理解しがたい思想を持っている。

    私達は、山上容疑者のお母さんが脱会してきた場合、そのお母さんの依頼を受けて、お母さんを被害者として、加害者である統一教会に対して損害賠償請求訴訟を提起し、統一教会から、献金として、取られたお金を回収して、それをお母さんにお渡しして、それをもとに、できるのであれば、失われた傷ついた家族の絆を回復していただきたい。失われた人生のいくらかでもとり戻していただきたい。そういった気持ちで仕事をさせていただいています。

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     現在信者であって統一教会等に対して被害を訴えていない人をも、被害者とすることを考えているのである。そして統一教会を訴えさせることを考えているのである。

     統一教会の信者として満足している人のことを考えていないのである。

     郷路弁護士の「統一教会は100%の悪」ということは、山上被告の考えと同じようである。

     その考えを推し進めることは、犯人の望みを叶えることになるのではないか。

    二世

     記者会見には「顔も声も一切出さない、本日の会見で一切そのその後の取材等もなしという前提」で話をした二世信者が次のように語っている。

    犯人のしたことに関しては、何一つ擁護することもないですし、正しいと思ってもいませんが、ただ、人生を統一教会によって破綻させられた身としては、理解できてしまうという苦しい心情があります。やったことに関しては、私は反対をして、反対というか間違っていると思いますが、それだけ統一教会は人生を破壊します。統一教会に関わってきた人たち、また二世と呼ばれる人たちがどんなに苦しい思いでいるかということも私はよく理解できます。そこの思いがですね、正しい方向に報道されて、今まで放置されてきたこの問題が少しでも解決に向かう方向に進んでいってくれればいいなというふうに思っています

    MBSNEWS 【記者会見の全容】「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見『夫からの暴力』『自己破産』旧統一教会の二世信者も出席し”苦悩” 語る

     この人も犯人の行為に対して「何一つ擁護することもない」「正しいと思ってもいません」とはじめに言って置いて、それから本題の統一教会非難に移っている。

     犯人の行為について「それだけ統一教会は人生を破壊します」というところは問題がある。

     犯人の行為を、「統一教会は人生を破壊します」ということを示す実例としていることのであるが、そもそも犯人と統一教会の関係は、明らかにされてはいない。

     「統一教会は人生を破壊します」と普遍的なかたちで断言していることも、渡辺弁護士と同様、多様な信者を観察した上で言っているのか、疑われる。

     犯人の行為は、統一教会がどれだけ悪いかを示すことにはならないのであるが、安倍元首相殺害事件では、犯人の行為によって統一教会がどれだけ悪いかを示すということが感情的になされているところがある。

     これも犯人に寄り添うことによって問題をすり替えるものである。

    まとめ

     安倍晋三元首相殺害事件の後、間もなくマスメディアの論調が変わった。

     統一教会を問題とし、統一教会と自民党政治家の関係を問題とする論調になったのである。

     その論調の変化を主張したのが紀藤正樹弁護士と、紀藤弁護士が属する全国霊感商法対策弁護士連絡会であった。

     安倍元首相を銃撃した人物は、統一教会を問題とし、統一教会と安倍元首相の関係を問題としていた。

     その主張が重なる限り、紀藤弁護士と全国霊感商法対策弁護士連絡会は犯人の望みを叶えているということができる。

     ただしその主張は、紀藤弁護士と全国霊感商法対策弁護士連絡会の前から主張であった。自分たちの前からの主張を推し進めたにすぎないというかもしれない。

     いずれにせよ、問題のすり替えによって、秩序を混乱させてその主張を推し進めていることは、注目されなくてはならない。

     その主張は、事件を利用して推し進められている。事件後に彼等がその主張を推し進めることができたのは、事件があったからにちがいない。

     安倍元首相を銃撃した人物が、紀藤弁護士等と同じような主張を持っていたことに関して、その前に紀藤弁護士等の影響を受けていたのではないかということは問題になる。

     犯人は事件後の紀藤弁護士等の動きを期待していなかったか? ということも問題となる。

     前の記事で論じたように、犯人が20年前の統一教会との関係を理由として事件を起こしたことも、統一教会を恨んでいると言いながら関係の明らかではない安倍元首相を殺害したことも、理解に苦しむことである。

     ところが紀藤弁護士等が根拠なく統一教会を事件の原因ときめつけ、安倍元首相と統一教会の関係を事件の原因ときめつけて、そういう論調でマスメディアを導く中で、その理解に苦しむところはそれほど問題とされなくなった。

     安倍元首相殺害事件以後の問題のすり替えは、紀藤弁護士と全国霊感商法対策弁護士連絡会が主導したことである。紀藤弁護士と全国霊感商法対策弁護士連絡会は引き続き統一教会問題を主導している。その間、問題のすり替えは続くのである。

    別れるところ

     ところで紀藤弁護士は、内田樹・白井聡両氏の対談を引用して次のように評している。

     紀藤弁護士の望むものではなかったようである。

     どういうことであろうか?

     紀藤弁護士が「せっかくの論者なのにもったいない」というのは、紀藤弁護士がいいと思う思想を持っている論者であるのに、その対談では紀藤弁護士がいいと思わない主張をしているということであろう。

     たとえば白井聡氏は1年前には次のように語っていた。

    (旧統一教会との関係を騒ぎ立てるのは、安倍氏を銃撃した)山上徹也容疑者の思うつぼだとの批判があるが、暴力でなければ変えられないような状況を私たちが作ってしまった。テロが起きる前に我々の日本社会は腐り切り敗北していた。

    東京新聞 「安倍政権の問題を示す必要ある」 元首相国葬を考えるシンポ、3200人視聴 東大の國分教授研究室が開催

     事件前の日本には「暴力でなければ変えられないような状況」があったとして、統一教会の問題を追及することは「犯人の思う壺」でもいいと語っていた。

     そうして国葬に対して「許してはならない」と主張していた。

     ところがその1年後の対談では、内田樹氏は、犯人に対して、犯人の行為に対して突き放すように語っている。

     内田樹氏は安倍元首相を銃撃した人物に対して、伝統的なテロリストと違って「精神的に未熟」なものとみなしている。そしてそれゆえに「自分の政治的主張を広く世間に伝え」ず、「自分の行動の意味を第三者の解釈に委ねる」と語っている。「どういう意図でやったのかはっきりさせないほうが、いろいろな人がああでもない、こうでもないと仮説を立ててくれる可能性がある。」とも言う。

    https://dot.asahi.com/articles/-/200822?

     内田氏によると、犯人は自分の考えを自分で明らかにすることができないほど「精神的に未熟」で「社会的承認を得たい」という欲求をもった身勝手な人物である。

     統一教会の問題を伝え、統一教会と政治家の関係の問題を伝えた人物という、紀藤弁護士の考えとは違う。1年前の白井氏の考えとも違う。

     内田氏の考えによると、そういう自分の考えを自分で明らかにしない人物に対して、まわりが解釈を加えていることになっている。

     それでは紀藤弁護士等が勝手に解釈を加えて話を進めているということになってしまう。

     ところで、内田氏は、紀藤弁護士と近い思想を持っていると思われたのに、どうして紀藤弁護士から離れた考えを持つようになったのか?

     宮台真司氏襲撃事件を受けて、安倍元首相殺害事件を、内田氏が標的とされる可能性のある流れにあるものとして考え直したのではないかと思われる。

     対談中に内田氏が「安倍さん、岸田さん、宮台さんに対する襲撃」と言っているように、内田氏はその三つの事件に共通することを問題としている。