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  • 【考察】「いちご100%」の終盤 作者の意図についての考察

    【考察】「いちご100%」の終盤 作者の意図についての考察

     「いちご100%」という漫画は2002年から2005年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載されていた作品である。

     私はその連載が終わってから十年以上たった時に読んだ。そのことは下の記事に書いた↓

     上の記事でも書いたように、「いちご100%」という作品は、私の心に刻まれた作品である。何よりもその終盤の流れによって心に刻まれた。

     その「いちご100%」の終盤について考えてみようと思う。

    衝撃

    Photo by Timo Volz on Unsplash

     私が衝撃を受けたのは、東城につきあっている男がいるのではないかという話から、真中が西野に好きだと言ってキスをするまでの流れである。第142話の終わりから第145話までである。

     「いちご100%」のタイトル表参照↓

    流れ

     その流れは次の通り。

     真中が教室に来ると、東城が文化祭のイベントに天地、真中以外の男と参加するということについて天地が問いただしていた。

     天地はそこに来た真中を外に連れて行って、二人はふられたという。

     真中は部室で東城にそのことをたしかめようとした。ところが東城は濡れた服を脱いでいるところであったので、真中から逃げるかたちになった。

     真中が窓の外を見ると、ちょうど東城が見知らぬ男の胸にとびこむところであった。実はその男はたまたま来ていた東城の弟であった。しかし真中には「東城が選んだ男」に見えて、衝撃を受けた。

     真中はそのことが気になって、東城が来ていると思われる塾に行った。ところが東城はまだ来ていなかった。そこで真中は模試の順位が「塾内ビリ」と聞いてまた衝撃を受けた。

     真中が思わず西野のアルバイト先まで歩いてくると、たまたま出て来た西野と出会った。

     西野との帰り道で真中は自分は西野に似合わないダメな人間だと言った。それに対して西野は「甘えてよ」と言った。そこで真中は西野を抱きしめた。そして西野に「好きだ」と言って、公園のベンチでキスをした。

    決着

     上の流れで真中は西野を選んだ。

     ここで真中が西野を選ぶことは、この「いちご100%」という作品の決着をつけることである。それだけ重要なことである。

     しかし上の流れは納得しがたい。

    決断

     第一に、真中が西野を選ぶという決断は、理性的、主体的なものではない。

     真中が西野を選ぶという決断は、真中が東城のことと勉強のことでへこんでいる時に、西野に「好き」と言われ、「甘えてよ」と言われたことによるものである。言わば、病理的、受動的な決断である。

     真中自ら次のように言っている。

    こんなに頭の中
    ぐちゃぐちゃの状態で
    西野に会っちゃ
    ダメだったんだ

    JC17巻、23頁

     真中自ら「西野に会っちゃ/ダメ」と思うような「頭の中/ぐちゃぐちゃの状態」であった。

     そういう状態で決着をつけたのであるから、納得できないのである。

    比較

     第二に、他の選択肢との比較が十分になされていない。

     真中が西野を選んだということは、東城、北大路、向井などを選ばなかったということである。ところが真中は西野を東城、北大路、向井などと十分に比較した上で西野を選んだのではない。

     それどころか、真中は東城が他の男を選んだと誤解してへこんでいる時に西野を選んでいる。比較のために重大な欠陥がある状態で西野を選んでいるのである。

     十分に比較した上で選んだのでなくては納得できない。

    作者の言葉

     作者はそのことに関して、JC19巻の巻末に次のように書いている。

    お互い好きあってても事情やタイミングなんかで
    一緒になれなかったりする、
    そういった恋の不条理な部分ってあるじゃないですか。

    「いちご100%」JC19巻、176頁

     真中が西野を選ぶ流れは、作者自ら語るように「お互い好きあってても事情やタイミングなんかで/一緒になれなかったりする」かたちになっている。

     一般論として「お互い好きあってても事情やタイミングなんかで/一緒になれなかったりする」という恋愛物語がいけないとは私は思わない。

     しかし「いちご100%」のような作品でそういうかたちで決着をつけることは、どうかと思う。

     「いちご100%」は、それまで3年の連載、140話、JC16巻をかけて、主人公が複数の女性にとりかこまれて、その中から一人を選ぶことができないという話を繰り返してきた作品である。

     それだけ長い間、時間の制約なしに、主人公は複数の女性と関係してきたのである。

     そういう作品が「事情やタイミング」によって―時間の制約によって―決着がつけられるても、納得できない。

    細かいところ

     細かいところが色々と気になる。

    天地

     まず、天地がおかしい。

     天地は、東城が文化祭のイベントに天地、真中以外の男性と参加すると聞いただけで、東城にふられたと思い込んでいる。

     しかし東城が文化祭のイベントに天地、真中以外の男性と参加するということだけでは、東城に天地、真中以外につきあっている男がいるということの証拠にならない。東城自身、つきあっているのではないと言っている。

     天地は東城とつきあうためにそれまで周りにいた多くの女性との関係を捨てた人である。それだけ東城にかけていた人である。
     東城が他の男とつきあっているかどうかということについては、確かな証拠をつかむまで追及しなくてはならないのではないか?
     そもそも天地は、東城にとって真中が重要な存在であることを知った上で東城に迫っていた。そういう人が、東城が他の男とつきあっているかもしれないという疑惑だけで、確かな証拠もないのに、ふられたと思い込んで落ち込むであろうか?

     天地は東城にふられたと思い込んだ時に、真中を連れて教室の外に出て行っているが、何のためにそうしたのか、理解できない。
     天地の行動としては理解できないが、作者が、真中が東城に直接話を聞く機会を奪ったとすると、理解できる。

    真中と東城

     そもそも東城につきあっている男がいるかどうかということは、真中と東城が二人で少し話せば容易に明らかになることである。

     東城は、天地とのやりとりを真中に聞かれたと気づいた時に、困った表情をしている。真中に説明しなくてはならないと考えたのではないかと思われる。
     真中は天地のようにそのことを信じておらず、それから東城に聞こうとしている。

     ところが真中と東城がそのことについて直接話すことは妨げられる。―真中は天地によって教室の外に連れ出される。部室で二人きりになった時には、東城が下着のことで真中から離れている。

     そして東城につきあっている男がいるのではないかと真中に思わせるようなことが続く。―東城は真中から離れた。そして見知らぬ男の胸に飛び込んだ。

     このように、なくてもいいことによって、二人が話し合うことができなくなっているところは、作者がわざとそうしたと思われる。

    その後

    Michael SchwarzenbergerによるPixabayからの画像

     上に書いたように、決着がついたのは第145話である。

     ところが最終話は第167話である。「いちご100%」は、決着がついた後に長く続いているのである。ジャンプコミックスでいうと、17巻のはじめに決着がついたが、最終話は19巻である。

     私が初めて読んだ時には、決着がついた流れに衝撃を受けたまま最終話まで読んだ。それゆえにその後に描かれたことについて特に考えることはなかった。

     今度読み返して、その後のことについて理解できたところがあったので、そのことについて書いてみよう。

     タイトル表参照↓

    北大路

     まず真中が西野に告白してキスをした次の日に、北大路に西野とまたつきあい始めたということを告げるという話がある。(第146話から第147話にかけて)

    東城に告げる

     その次に、真中が東城に、西野とまたつきあっているということを告げるという話がある。(第149話)

     ただし東城の場合は、北大路の場合より複雑な話になっている。

     次のように美鈴が関わっている。

    「今は秘密に」

     第147話で、真中がまた西野とつきあうことにしたと映研のメンバーが知った時に、美鈴は「今はまだ/東城先輩には/秘密に―」と言っている。(JC17巻79頁)

    「あのセリフ」

     第149話で、文化祭の前日に、美鈴は真中と東城の「主演のお二人の/ための試写会」を開催している。そして東城に「先輩!/勇気出して/もう一度映画の/あのセリフ…」と言い(同、118頁)、一人で「映画のヒロインの/セリフそのまま/言えばそれで…」と独白している。(同、125頁)

     そこで真中は東城に、また西野とつきあっていると言った。それを聞いて東城は涙を流した。

    責める

     第150話、文化祭当日に美鈴は真中に対して真中の鈍さに怒っていると言い、「東城先輩は/真中先輩のこと/好きなんですよ」という。

    美鈴の言動について

     以上の美鈴の言動はおかしい。

    秘密

     真中が西野とつきあい始めたことを美鈴が東城に知らせないようにしたことは、おかしい。

     東城のためを思ってのことのようでもあるが、そのことによって東城はその間、真中が西野とつきあい始めたことを踏まえた上での行動をとることができなくなっている。

    試写会

     真中が誰ともつきあっていない時であれば、「映画のヒロインの/セリフそのまま/言えばそれで…」と考えても問題はない。

     しかしこの場合には、真中はすでに西野とつきあっている。すでに西野を選んでしまっている。そういう状況では「映画のヒロインの/セリフそのまま/言えばそれで…」ということにはならない。

     東城と真中が結ばれるためには、真中がすでに西野を選んでしまっている状況を踏まえた上で、どうすべきかを考えなくてはならない。

     結果はどうであっても、東城に告白させるということであるならばそれでいいが、それでは東城のためにならない。

    責める

     西野とつきあっている真中に対して、東城の気持ちがわからない真中の鈍さを責めることは、おかしい。

    考察

     作者は何故にこういう話を作ったのか?

     真中が西野とつきあっていることを東城に告げることは、北大路に告げることと同じく、決着をつけた後を片づけることである。しかし東城の場合は、北大路の場合と違うものになっている。

     以下、推測。

     東城の真中に対する想いは大きく、重い。それを西野に対して巻き返す方向に向かわせるのではなく、他の方向に(後に述べる方向に)向かわせることを作者は考えた。そのために東城は、もはや巻き返すことができないほど遅れた状況に置かれた。

     美鈴によって秘密にされたこともそのためであった。天地の誤解とか、下着のこととか、その他のことによって真中に誤解されたこともそのためであった。

     そのことによって東城は、すでに真中が西野とつきあってしまって、巻き返すことが難しくなった後に、そのことを聞くことになった。

     悲劇のヒロインとして描かれることになった。

     高3の文化祭で公開する映画は、それまでの真中と東城のやってきたことの集大成という意味があるゆえに、その試写会で、真中が西野とつきあっていると東城がはじめて聞かされることは、悲劇的になる。

    文化祭

     文化祭の当日にまた劇的な場面がある。

    流れ

     文化祭で西野と歩いていた真中は、見知らぬ男と一緒に歩いていた東城と出会う。その見知らぬ男は東城の弟だとわかって真中はホッとした。

     西野は真中のそういう表情を見て、帰って行った。(第151話)

     高3の文化祭は、真中にとっても、東城にとっても、部活の最後の日である。真中も東城も、それまで高校1年から部活でやってきたことを思い返して、互いに会いたいと思った。(第152話)

     真中が一人でいる部室に来た東城は、ドア越しに真中に告白した。それに対して真中は土下座して、「今は西野を/大切にして/いきたいんだ」と言った。(第153話)

     真中はそのまま西野の家に行って、西野を抱いた。(第154話)

    考察

     ここで遅ればせながら東城の真中に対する告白がある。

     前にも言ったように、東城の真中に対する想いは大きく、重い。真中が東城を選ばないとしても、東城がその想いを真中に伝えるところがなくてはならない。
     しかし作者はそのことによって話をひっくり返すつもりもなかった。

     そのために遅れた時に告白することにしたのではないか。

     ここで東城が告白して、それを受けて真中がことわったことによって、女性側の意思表示が出そろった上で、それに対して真中がその女性の中から一人を選ぶというかたちができた。

     外的な状況によって東城の告白が遅れたことを考えると公平とは言えないが、恋愛物語としての決着がついたかたちになっている。

     恋愛の決着が一応ついた後に、真中、東城、二人の夢の話になる。

    流れ

     「文化祭が/終わって」「「楽しい高校生活」も/もうおしまい」で、「地獄の/受験モード/突入」となった。(第155話。JC18巻48頁)

     そういう時に、真中のところに映像コンクールの審査員が来て、コンクールに出した真中の映画がよかったと言って、真中にチャンスを与えた。

     同じ時に東城は文学賞を受賞して、次の作品をもとめられていた。

     二人は屋上で出会ってそのことについて言い合った。そしてそれぞれ「自分一人だけの力」でやっていこうとした。(第156話)

     ところが東城は、真中なしでは小説が書けない。

     真中は、それまで東城が担当していた脚本部分のレベルが低いと批評された。(第157話)

     道で出会った二人は、互いにそのことを打ち明け合った。そして互いに力を合わせることになった。(第158話~第159話)

    考察

     「いちご100%」という作品では、主人公の恋愛をめぐる話と同時に主人公の夢をめぐる話が描かれてきた。

     ここでは、主人公の恋愛をめぐる話の決着がついた後に、夢をめぐる話が描かれている。

     真中が東城と結ばれる場合、主人公の恋愛と主人公の夢とは一つになる。

     真中が西野と結ばれると、主人公の恋愛と主人公の夢とは分れる。

     作者はそのことを次のように描いている。

     真中、東城はそれぞれの夢のためのチャンスを与えられて、その夢に向かう。
     二人は恋愛に関して別れているので、夢に関してもそれぞれ「自分一人だけの力」でやろうとした。
     しかし二人とも互いに相手の力が必要だと考えるようになった。
     そこで、恋愛と別に、夢に関して二人が力を合わせることになった。

     もともと恋愛と夢とは一つであった。真中が西野を選んだ結果、両者は分かれることになった。そこで恋愛と別に、夢に関して二人が力を合わせるというかたちで、夢を生かすようにしたようである。

     ただし東城にはまだ恋愛感情が残っていた。そのことが次の話につながる。

    前進

     東城に残っていた恋愛感情にけりをつける。

    流れ

     大学受験直前に落ち込んでいる真中のために、南戸が東城を家庭教師としてよんできた。家庭教師の途中で、真中が眠りに落ちた。そこで東城は眠っている真中にキスをした。(第161話)

     東城が真中にキスをした後に、まだ目が覚めていなかった真中が東城と抱き合うかたちになった。それを見た南戸は、真中の受験の前日に、西野とつきあっているのに二股をかけてそういうことをしていることを責めた。(第162話)

     受験から帰ってきて、真中は待っていた西野をおいて、東城に家庭教師の時のことを聞いた。東城は自分からキスをしたと言った。これで「やっと/前に進める気が/する」と言った。そして東城は去って行った。真中は後を追わなかった。(第163話)

    考察

     東城の独白、真中に対するセリフをたどっていくと、上の流れで東城が真中に対する恋愛感情にけりをつけていったことがわかる。

     東城は家庭教師に来て「あとちょっとで/二人きりの時間も/終わりね…」と独白しているように、その家庭教師の仕事を最後の「二人きりの時間」と考えていたようである。

     東城が眠っている真中にキスをしたことも、「それ以上/もう何も/望まないから」というように恋愛感情にけりをつけるつもりでしたようである。
     「初めての/人は/真中くんが/いい」というように「初めての人」にすることだけが目的だったようである。
     真中の受験の後に公園で真中に言ったように、そのことによって東城は「前に進める」ようになったようである。

    気になるところ

     しかし色々と気になるところはある。

    東城

     東城は自分の気持ちに整理をつけた。そのことは東城にとっていいことであったようである。

     しかしそのことは真中に対しても西野に対しても悪い行為である。真中に対しては、その行為そのものだけでなく、その行為が真中の大学受験に影響を与えたという意味でも悪い行為である。

     ところが東城はそのことについて十分に謝罪していないようである。真中に対して「勝手なことして/怒ってたら/ごめんなさい…」と言うだけである。

    南戸

     南戸が真中の受験前日に、真中の受験を失敗させるつもりで真中を責めているところはモヤモヤする。

     真中のこれまでしてきたことについて、大学受験を失敗するくらいの罰が当たってしかるべきだ、という多くの読者の気持ちにこたえているということができるかもしれない。

     しかし南戸が責めていることに関しては、真中はそれほど悪くない。大学受験の後に謝罪している通りである。

     また南戸自身、真中が西野とつきあっていることを知っていながら、真中を東城と二人きりにしたことは、「二股」のためにはたらいたということができるのではないか?

    西野

     真中は受験が終わって帰って来て、待っていた西野にほとんど説明せずに、東城と話しに行っている。

     東城との話をすますまでは、西野と話すことができないということかもしれないが、そうだとしてももう少し西野が傷つかないようにすることはできたのではないか?

    白紙

     「いちご100%」の終わり。

    流れ

     真中は東城と別れた後、西野に対して「俺たちの関係/…白紙に/戻せないかな」と言った。
     真中は東城の小説を読んで、「真剣に映画の道/目指したい」と考えた。そのために西野に「甘えっぱなし」ではいけないと考えたというのである。

     西野は真中の申し出を受け入れて、フランスに留学に行った。(第165話)

     真中、東城も高校を卒業する。(第166話)

     そして時が経って、小説家の東城と、賞をとった真中とが出会って、東城の小説を映画化する話をする。
     真中は、フランスから帰ってきた西野とまた関係を再開する。

    考察

     「いちご100%」という作品には、恋愛と夢という二つの軸があった。

     真中と東城が結ばれる場合には、その二つはそのまま一つになる。

     真中と西野が結ばれるとすると、その二つは分かれる。
     そこで恋愛は西野と、夢は東城と、と分けられた。
     東城にはなおも真中に対する恋愛感情が、片づけることができた。
     真中は東城の小説を読んで真剣に映画の道に進むことを考えた。そして西野に対して甘えずに成長するために「白紙」にすることをもとめた。

     「いちご100%」にもともとあった夢にまつわる成長の主題が、ここでは西野との恋愛関係に持ち込まれて生かされているようである。

    終わりに

     「いちご100%」の終盤を通してみると、作者は長い見通しをもって、描くべきことを考えて描いたと思われる。

     しかしまた「いちご100%」の終盤には、真中が西野を選んだ決断をはじめとして、おかしいところが多い。

  • 「いちご100%」タイトル表

    「いちご100%」タイトル表

     漫画「いちご100%」の各話のタイトル、掲載された「週刊少年ジャンプ」、収録された「ジャンプコミックス」を表にしてまとめた。

    タイトル表

     話の主要人物によって色を付けた。

     

    話数 タイトル 備考 「週刊少年ジャンプ」 ジャンプコミックス
    第1話 いちご注意報

    美少女との出会い。東城との出会い。

    西野に告白して、交際開始。

    2002年12号

    表紙「新連載」

    いちご注意報
    いちご100% モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    表紙<東城、西野>

    (2002年8月7日)

    第2話 そういうつもり?

    真中は西野とともに泉坂高校を目指す。

    東城が勉強を見ると言ってくる。

    13号
    第3話 教えてあげる   14号
    第4話 電話できないッ   15号
    第5話 Girl Meets Girl   16号
    第6話 鳥のように真中   17号
    第7話 密室ヘブンorヘル   18号
    第8話 早朝恋愛勉強会  

    19号

    表紙「NISHINO TOJO」

    第9話 いきなりON THE BED   20号

    幻の美少女再び
    いちご100% モノクロ版 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東城>

    (2002年10月9日)

    第10話 暴走特急真中号 夜、西野家で二人きり。 21号
    第11話 せいいっぱいの決意   22・23合併号
    第12話 すれ違う想い 泉坂高校入試 24号
    第13話 幻の美少女再び 25号
    第14話 東城×東城=さらに東城 26号
    第15話 それでもいい   27号
    第16話 ふたりのESCAPE   28号
    第17話 つかさSTYLE

    合格発表。

    西野は桜海学園へいくという。

    北大路登場。

    29号
    第18話 思い出ください 中学卒業。 30号

    運命のクランク・イン⁉
    いちご100% モノクロ版 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <西野>

    (2003年1月11日)

    第19話 運命のクランクイン⁉ 散歩中に北大路と出会う。 31号
    第20話 恋の花咲くダイビングヘッド 高校で北大路と出会う。 32号
    第21話 真中以上の男   33号
    第22話 体育館倉庫の乱   34号
    第23話 決めちゃえよ 大草に「決めちゃえよ北大路に」と言われる。 35号
    第24話 好きで悪いか⁉   36号
    第25話 走る女・迷う男   37・38合併号
    第26話 再会 西野が泉坂高校に来る。 39号
    第27話 夢への第一歩 東城にビデオを見せられる。 40号

    キスしてほしい
    いちご100% モノクロ版 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <北大路>

    (2003年4月9日)

    赤マルジャンプ・2002年春号、2003年冬号掲載分収録

    第28話 東城 IN MY ROOM   41号
    第29話 真中包囲網   42号
    第30話 嵐を呼ぶ撮影合宿

    高1の合宿。北大路が主演女優。夜中に北大路は真中に…。

    真中と東城、海辺を歩く。

    43号
    第31話 さつき沸騰中 44号
    第32話 キスしてほしい 45号
    第33話 CRYING IN THE RAIN 46号
    第34話 つかさの悩み 「さつき、西野、東城…俺は一体誰とどうすればいいんだろう―」 47号
    第35話 打ち明けられた想い 大草に北大路が似合うと言われる。シャーペンも北大路に倒れる。 48号
    第36話 秘密の出来事 部室で東城と唇が触れる。 49号

    思い出の女
    いちご100% モノクロ版 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <南戸>

    (2003年6月9日)

    第37話 嵐の如き文化祭

    文化祭。

    北大路とキス。

    50号
    第38話 キスの余韻 北大路のアルバイト先で真中もアルバイト。 51号
    第39話 だから今夜こそ

    西野の家に招かれて気持ちを聞かれて「サヨナラ」と言われる。

    南戸登場。

    52号
    第40話 思い出の女 家に帰ると布団に南戸が寝ていた。 2003年1号
    第41話 一緒に入る⁉ 2号
    第42話 星降る夜⁉ クリスマスイブにアルバイト。北大路が来てプレゼント。 3・4合併号
    第43話 教えてお願い 東城が南戸の家庭教師として真中の家に来る。東城はそこで真中と西野が別れたと知る。 5号
    第44話 南北戦争勃発⁉ 南戸、北大路に抗議。 6・7合併号
    第45話 また会える 東南北とかくれんぼ。南戸が帰るのを駅で見送る。 8号

    天使再臨
    いちご100% モノクロ版 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東西北、真中>

    (2003年8月9日)

    赤マルジャンプ2003年春号掲載分収録

    第46話 これぞ運命⁉ 天地登場、東城に惚れる。 9号
    第47話 アクシデントが止まらないッ 真中、天地に対抗する。 10号
    第48話 2月14日 東城からチョコレートをもらう。北大路はゴミ箱に捨てる。西野は部屋の前に置いていく。 11号
    第49話 天使再臨 南戸、桜海学園の入試のため真中の家に来る。そして西野と出会う。 12号
    第50話 予感 真中、部室で東城を抱きしめる。 13号
    第51話 さつき反撃 北大路、放課後の部室で真中に…。 14号
    第52話 放課後プラクティス 15号
    第53話 放さない

    真中、部室で東城を抱きしめる。

    夜の道で西野と再会。

    16号
    第54話 DASH 淳平 17号

    SWEET LITTLE SISTER
    いちご100% モノクロ版 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    (2003年10月8日)

    第55話 接点 18号
    第56話 映画館の女 東城とデートで映画館に行く。そこで美鈴と出会う。 19号
    第57話 SWEET LITTLE SISTER

    高校2年、東城と別のクラスになる。

    映研に美鈴がくる。

    20号
    第58話 新入部員参上

    美鈴入部。

    風邪を引いた南戸のために女子校桜海学園にノートを返しに行く。

    そこで西野と出会う。

    21号
    第59話 救世主アゲイン 22・23合併号
    第60話 君を守りたい 24号
    第61話 涙のテアトル泉坂

    「今の方が/つきあってた頃より/西野のこと/考えてる―」「ちがうよ!/東城じゃな…」

    映画館でアルバイトを始める。

    25号
    第62話 最後の一枚 5月3日、北大路に誕生日プレゼント。 26号
    第63話 揺れてBIRTHDAY 北大路、東城から誕生日プレゼント。 27号

    温めあう?
    いちご100% モノクロ版 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    (2003年12月9日)

    第64話 運命の扉

    アルバイト先の映画館で西野と出会う。西野のアルバイト先も近くてよく会うようになる。

    東城は「文芸星屑」の審査員特別賞に選ばれる。

    映研の映画のヒロインは西野になる。

    28号
    第65話 自分を信じて 29号
    第66話 オールOK 30号
    第67話 もうひとつの合宿 真中、東城は合宿に行く途中、山小屋に。 31号
    第68話 温めあう? 32号
    第69話 ドキッとした?

    高2の合宿

    西野が主演女優。

    西野と肝試し。

    33号

    表紙「ハジけなきゃ!トロピカルSUMMER

    第70話 恋人たちの伝説 34号
    第71話 迎えにきて 南戸唯から「たすけて」という手紙。田舎の南戸家へ行く。 35号
    第72話 最後の夜 36号

    迷える子羊と拾う神
    いちご100% モノクロ版 9 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東西南北>

    (2004年3月9日)

    第73話 唯の味方 37・38合併号
    第74話 水着で個人指導 西野とプールに行って泳ぎを教えてもらう。 39号
    第75話 誰よりも甘い男 西野の部屋で、日暮と出会う。 40号
    第76話 迷える子羊と拾う神 41号
    第77話 抱擁 西野が抱き着いてくる。 42号
    第78話 誕生日アゲイン

    西野の誕生会が北大路、東城の約束と重なって、一緒に会うことになった。

    地震で火が広がる中、西野と二人になる。

    その後、西野と夜の中学校に行く。保健室。

    43号
    第79話 BIRTHDAY PANIC 44号
    第80話 思い出の校舎で 45号
    第81話 WONDERFUL TONIGHT 47号

    10

    抱いてワンダーワールド
    いちご100% モノクロ版 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東城>

    (2004年5月5日)

    第82話 文化祭パニック 高2の文化祭。端本。 48号
    第83話 第4の天使 49号
    第84話 ちなみFEVER 50号
    第85話 急・転・直・下 屋上で東城と。 51号
    第86話 湯けむりの向こう側へ

    修学旅行。

    夜の浴場で北大路と。

    清水寺で東城と。

    そして西野。

    52号
    第87話 恋愛交差点 2004年1号
    第88話 ただ君に会いたい 2号
    第89話 抱いてアンダーワールド 3号
    第90話 サンタクロースがいっぱい   4・5合併号

    11

    届く気持ち 届かぬ気持ち
    いちご100% モノクロ版 11 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <西野>

    (2004年7月7日)

    第91話 触ってみる? 東城の家でいとこの遥と出会う。 6・7合併号
    第92話 ナンバー1 大学入試の話が出る。東城に誕生日プレゼントを渡す。 8号
    第93話 さつきタイムリミット 北大路が転校するという話。 9号
    第94話 届く気持ち 届かぬ気持ち バレンタイン。端本、北大路、東城、南戸からそれぞれチョコレートをもらう。 10号
    第95話 SWEET GIRL BITTER LOVE 夜、家の近くの公園で西野と。

    11号

    表紙「届けますバレンタインスペシャルポスター

    第96話 恋愛射程距離 12号
    第97話 遅れて来た女 外村と合コン。そこに南戸が来る。西野が来る。 13号
    第98話 このままずっと

    大草の提案で、南戸、西野とダブルデート。

    14号
    第99話 放さないで 15号

    12

    妄想少女
    いちご100% モノクロ版 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <北大路>

    (2004年9月8日)

    第100話 走り出した運命 東城を追いかけて行くと、塾に着いた。向井登場。 16号
    第101話 ここは別世界 西野に贈る下着を買いに行く話。 17号
    第102話 妄想少女 塾で向井と親しくなる。 18号
    第103話 SMILE FOR ME 19号
    第104話 純情シネマ交差点 真中と向井を北大路が追いかける。東城はそれを後ろから見ている。 20号
    第105話 追いかけてトゥナイト 21号
    第106話 UNDER THE MOONLIGHT 22・23合併号
    第107話 目覚ましGIRL 突然西野が来て海のデートに誘ってくれる。 24号
    第108話 天地覚醒 天地が東城一筋になる。 25号

    13

    あの娘のスキャンダル
    いちご100% モノクロ版 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <南戸>

    (2004年11月9日)

    第109話 二つの予言   26号
    第110話 恋の共同戦線 向井と真中をくっつけるという話に東城も協力を求められる。 27号
    第111話 SLEEPLESS NIGHT 28号
    第112話 寝顔GIVE&TAKE 家に帰るとベッドに西野が寝ていた。 29号
    第113話 DISTANT VOICES 東城、眼鏡をかけて塾に行く。 30号
    第114話 誓いの言葉 北大路、友達宣言。 31号
    第115話 RAINY見えすぎて 高校の体育の時間に東城と二人きりになる。 32号
    第116話 あの娘のスキャンダル

    西野は雑誌に載せられて男たちに囲まれた。そこに日暮登場。

    33号

    表紙「2004年ジャンプスーパーアニメツアー」BLEACHと東城

    第117話 DREAM重なって 34号

    14

    初めての…⁉
    いちご100% モノクロ版 14 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <向井>

    (2005年1月10日)

    第118話 初めての…⁉ 東城に言われて真中は向井とデートする。 35号
    第119話 ○○○なっちゃった 36号
    第120話 着せ替えヒロインズ   37・38合併号
    第121話 心、胸、サンドイッチ 真中、向井と東城に挟まれる。 39号
    第122話 ふたりで電車で 西野と二人で二泊三日の旅行。 40号
    第123話 FIRST DAY 41号
    第124話 SECOND NIGHT 42号
    第125話 MIDNIGHT 43号
    第126話 誰がために泳ぐ プールで東城をめぐって天地と戦う。 44号

    15

    両手に花でSOS
    いちご100% モノクロ版 15 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <端本、美鈴>

    袖に西野の「生徒手帳の写真風」

    (2005年4月9日)

    第127話 全員集合夏合宿

    高3の合宿。

    温泉でのドタバタ。(127~128)

    北大路とのやりとり。(129)

    小宮山と端本。(130)

    停電。(131~132)

    向井、東城と無人島へ。(132~133)

    東城、「同じ大学を目指すのやめるかも」という。(135)

    東城の演技。(135~136)

    45号
    第128話 湯けむり大脱出 46号
    第129話 トモダチ⁉それとも… 47号
    第130話 小宮山力也の奇跡 48号
    第131話 IN THE 暗闇 49号
    第132話 両手に花でSOS 50号
    第133話 どっち⁉ 51号
    第134話 風が吹いたら 52号
    第135話 SCENE122 53号

    16

    KISS大人味
    いちご100% モノクロ版 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東城>

    (2005年6月8日)

    第136話 演技⁉本気⁉ 2005年1号
    第137話 気になって その気になって 合宿から帰ってくると西野がいた。東西南北で公園で遊ぶ。 2号
    第138話 デート×4 3・4合併号
    第139話 EAT!

    「ラブ・サンクチュアリ」のことが出て来る。

    北大路とキス。

    5・6合併号
    第140話 KISS 大人味 7号
    第141話 ホントに欲しいモノ 西野と水族館でデート。西野、けんすい。 8号
    第142話 運命⁉FLASH BACK 9号
    第143話 傾く気持ち…混乱 東城に彼氏ができたのか?

    10号

    表紙「祝連載3周年」

    第144話 甘えていいよ… 西野と。 11号

    17

    甘えていいよ…
    いちご100% モノクロ版 17 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <西野>

    (2005年8月9日)

    第145話 欲張りな唇 12号
    第146話 ふたりきりクライシス 北大路とのやりとり。 13号
    第147話 大切だけど そうじゃない 14号
    第148話 求めあう放課後 夜、部室で映画の編集をしていたところに西野が来た。 15号
    第149話 儚き結晶 文化祭の前日の試写会。真中と東城のやりとり。 16号
    第150話 気づいてほしい 文化祭。 17号
    第151話 どうして…? 18号
    第152話 love drive 文化祭の夜。東城と真中のやりとり。そして西野。 19号
    第153話 わかってたのに 20号

    18

    ふたりきり
    いちご100% モノクロ版 18 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東西南北・向井・端本・美鈴>

    (2005年10月9日)

    第154話 噓ついた 21・22合併号
    第155話 未来という名の来訪者

    真中は映像コンクールの審査員に評価される。

    東城は中路賞を受賞。

    23号
    第156話 好機到来 24号
    第157話 何かが足りない⁉ 東城、真中、それぞれ行き詰る。 25号
    第158話 MOTIVATION 東城、真中は協力することにする。 26号
    第159話 恋人ならば クリスマスイブ、西野のフランス留学問題。 27号
    第160話 それぞれの聖なる夜 28号
    第161話 ふたりきり 大学受験直前の真中のために南戸が家庭教師として東城をよんだ。 29号
    第162話 決戦前夜 受験の前日、南戸が真中を責める。 30号

    19

    選んだ未来
    いちご100% モノクロ版 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    <東城、西野>

    (2005年12月7日)

    第163話 あたしから 真中の試験の後、東城の話。 31号
    第164話 あの日のノート

    東城のノート。

    真中と西野。

    32号
    第165話 旅立つまで 33号
    第166話 さようなら。泉坂 東城、卒業式の答辞。 34号
    最終話 選んだ未来 それぞれのその後。 35号
    番外編 京都初恋物語 大学に進学した美鈴の話。 ジャンプ the REVOLUTION! 2005年11/1号

    路線変更

     「いちご100%」は、途中で話が変わったと作者自ら語っている。

     どう変わったのか? 西野の人気によってきまったと言われることが多いが、どうなのか。下の記事で考えてみた↓

  • 【考察】「いちご100%」の結末は読者の人気によって決まったのか?

    【考察】「いちご100%」の結末は読者の人気によって決まったのか?

     漫画「いちご100%」の結末は読者の人気によってきまった、としばしば言われている。

     そして、だからいいとか、だからよくないとか言われている。

     しかし「いちご100%」の結末は読者の人気によって決まったのであろうか?

     そうではないと私は考える。


    [まとめ買い] いちご100% カラー版(ジャンプコミックスDIGITAL)

    作者の言葉

     第一に手掛かりになるのは作者の言葉である。

     作者はジャンプコミックス19巻の巻末において次のように語っている。

    第1巻第1話目を読めば、ラスト真中と
    一緒になるのは東城に思えるんだろうなあ。
    あれを描いた頃は中学生編までしか
    ストーリー展開考えていなくて、
    確かに自分も真中と東城で
    ハッピーエンドを迎えるつもりでした。
    だけど時間は流れて3人が高校生になって
    どんどん事態が変わっていって。
    週刊連載マンガはよく生ものだと譬えられるけど
    ホントにそうで、それぞれがそれぞれに成長していき、
    その結果ああいう結末になったんだと思います。

    「いちご100%」19巻、176頁

    いちご100% モノクロ版 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     これによると、作者は「真中と東城で/ハッピーエンドを迎えるつもり」であった。

     ところが実際には「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」ことはなかった。

     どうしてそうなったのか?

    ・「時間は流れて3人が高校生になって」―初めに考えられていた「中学生編」を超えたからだと作者はいう。

    ・「どんどん事態が変わっていって」「それぞれがそれぞれに成長していき」「その結果ああいう結末になったんだと思います」―これによると、登場人物の成長によって、初めに考えられていたのと違う結末になったようである。

     JC19巻のそでに作者は次のように書いている。

    それぞれのキャラクター達が
    希望を抱いて未来へと歩いていける結末を
    選んで描いたつもりです。

    「いちご100%」19巻、表紙

    いちご100% モノクロ版 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     結末は作者が考えて選んだというのである。

     作者の言葉によると、結末が変わったのは、登場人物の成長によることであり、作者の選んだことであって、読者の人気によることではない。

    作品

     作品そのものについて考えてみよう。


    いちご100% コミック 全19巻 完結セット

     これから作品の内容に踏み込んでいく。

     各話については↓

    はじめの話

     「いちご100%」の第1巻を読むと、作者が語るように「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」話として作られたように見える。


    いちご100% モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     第1話で主人公の探し求める目標となった「いちごパンツの女の子」は、東城であった。

     真中はそのことがわからずに西野と付き合うことになったが、次第に東城と近づいて行った。

     その話は、二人が結ばれることによってかたがつくと思われる。

    路線変更

     「いちご100%」は「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」話として始まったが、「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」話ではなくなった。

     どうして変わったのか? ということが問題である。

     読者の人気によってか?

     作者によってか?

     そのことを考えるためには、いつどこで変わったか? ということから考えなくてはならない。

    「いちご100%」の時期区分

     いつどこで話が変わったのか?

     結末が確定したのは、真中が西野に2度目の告白をしたとき(JC17巻第145話)と思われる。


    いちご100% モノクロ版 17 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     西野に2度目の告白をすることは、その後にその告白を覆して他の相手と結ばれるとすると、余計なこと、ない方がいいことである。

     作品の中でも、真中が西野に2度目の告白をして、結末が確定したことになっている。

     その告白は、文化祭のイベント「ラブ・サンクチュアリ」のことと関係がある。

    「ラブ・サンクチュアリ」が話題として出てくるのは、JC16巻第139話からである。


    いちご100% モノクロ版 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     第139話においてすでに結末は確定していたのではないか、と思われる。

     第139話で結末が確定していたとすると、その前のいつどこで話は変わったのか?

     「いちご100%」を時期によって区分して考えよう。

    中学生編

     中学生時代は、作品のはじめから、中学卒業まで。(JC1~3巻)


    いちご100% モノクロ版 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     ただし「中学生編」は途中から変わっている。

     もともと「中学生編」で「真中と東城で/ハッピーエンドを迎えるつもり」であったのに、そうではなくなっている。

     中学生の間に話は変わっているのである。

    中間の第1期

     中学生の途中で話が変わってから、「ラブサンクチュアリ」で話が確定するまでを、3つの時期にわける。

     第1は、真中が桜海学園に潜入して西野との関係が再開するあたりまで。(~JC7巻)


    いちご100% モノクロ版 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    中間の第2期

     真中と西野との関係が再開した時期。(~JC12巻)


    いちご100% モノクロ版 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    中間の第3期

     進路が問題となってから、高3の合宿まで。(~JC16巻)


    いちご100% モノクロ版 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    終盤

     高3の合宿から家に帰った後。(第138話、または第139話以降)

     すでに言ったように、「ラブ・サンクチュアリ」が話題になった時には、結末は確定していたと思われる。


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    それぞれの時期と路線変更

     はじめの話から結末まで、どのように話が変わって行ったか、それぞれの時期について考えてみよう。

    中学生編

     「いちご100%」は、はじめは主人公真中が東城という真の相手を見つける話であった。

     したがって東城と結ばれることによってかたがつく話であった。

    中間の第1期<ハーレムの開始>

     中学生の途中で、はじめの話とは違う話になった。

     どういう話になったか?

     そのことを象徴するのが、JC4巻第34話の最後のページで、主人公真中が、北大路、西野、東城、三人の顔を思い浮かべて、「さつき、西野、東城・・・俺は一体誰とどうすればいいんだろう・・・」と独白しているところ。


    いちご100% モノクロ版 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     主人公は複数の魅力的な女性に囲まれて、選ぶことができないという話になったのである。

     はじめの話では、真中と結ばれる相手であった東城は、変わった話では、西野、北大路と同等とされ、真中はその中の誰も選ぶことができないということになっている。

     この時期に北大路が持ち上げられていることは重要。

    ・大草に「決めちゃえよ北大路に」と言われる(JC3巻第23話)とか、


    いちご100% モノクロ版 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    ・高1の合宿で、北大路がヒロインをやるとか、主人公と北大路が近づいて、東城との間に沈黙があるとか(JC4巻第33話)、

    ・大草に北大路が似合うと言われて、シャーペンも北大路に倒れる(JC4巻第35話)とか。


    いちご100% モノクロ版 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     一時的に、東城より西野より上に置かれているように見える。

     主人公が複数の魅力的な女性に囲まれて、選ぶことができないという話にするために、高校から出て来た北大路を、東城、西野と同等のものにしようとしたのではないかと思われる。

     その後に出て来る南戸も、北大路と同じように主人公の恋愛対象の選択肢の一つとして作られたと思われる。


    いちご100% モノクロ版 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    中間の第2期<西野と関係再開>

     真中はJC5巻第39話で西野に別れを告げられた。

     その後、JC7巻第59話で再会してから、真中と西野はまた近づいていく。

     そこで西野は、主人公にとって、他の女性キャラクターより高い存在として描かれている。

    ・真中の「今の方が/つきあってた頃より/西野のこと/考えてる―」(JC7巻148頁)という独白。

    ・真中は北大路に迫られて「ちがうよ!/東城じゃな…」(JC7巻152頁)と答えている。


    いちご100% モノクロ版 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     この時期には、他の女性キャラクターを踏み台にして西野が持ち上げられるという話が繰り返されている。

     具体的には次の通り。

    映研より西野

     真中は、東城、北大路のいる映研を早く切り上げて、西野に会いに行っている。(JC8巻第65話)


    いちご100% モノクロ版 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    高2の合宿

     合宿の肝試しで真中は、東城とでなく、西野と一緒になる。(JC8巻第70話)

     肝試しの前の夜に、東城は肝試しで真中に告白することをきめていた。

     それにもかかわらず、東城でなく、西野が真中と一緒になる「運命」が描かれている。


    いちご100% モノクロ版 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     合宿の前に、真中と東城の二人が山小屋で一夜を明かすという話がある。(JC8巻第67~68話)

     こういう話は、二人が近づくきっかけとなりそうであるが、実際には、二人が近づきにくくなるきっかけとなっている。

    高2の西野の誕生日

     真中は、9月16日に西野の誕生日を祝う約束をしていたが、西野に言われて15日に祝うことにした。15日には、東城との約束、北大路との約束があったが、それより西野を優先したのである。(JC9巻第78話)

     西野の誕生日を祝っていたカラオケ店で出火したときに、真中は、西野と二人きりになる。東城も北大路もいたのに、西野と二人きりになる。(JC9巻第79話)


    いちご100% モノクロ版 9 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     その夜解散して、東城、北大路と別れた後に、真中は西野と二人きりになる。二人で夜の中学校に入る。(9巻第80話)そして…(JC10巻第81話)


    いちご100% モノクロ版 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    高2の修学旅行

     まず修学旅行前の屋上で、東城と真中が二人きりで、関係が進みそうなところで、映研メンバーが入ってきてしまう。(JC10巻第85話)

     修学旅行で、東城が一人で迷っていたところを真中が見つける。そして清水の舞台で二人がキスをしようとしたところを、たまたま来ていた西野がみて、ショックを受ける。(JC10巻第87話)

     真中は、東城とキスをせずに、西野と話すために力を尽くして、結局ホテルの外で会った。(JC10巻第88話)そして次の日、二人はデートをした。(JC10巻第89話)


    いちご100% モノクロ版 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     真中と東城の関係は進展せず、そのことによって真中と西野の関係が進展している。

    高3のバレンタイン

     真中は、ちなみ、さつき、東城、唯からそれぞれもらう。(JC11巻第94話)

     家に帰ると、近くの公園のブランコに西野がいて、チョコレートをもらう。(JC11巻95話)

     そして二人きりで夜の公園でイチャイチャする。(JC11巻第96話)


    いちご100% モノクロ版 11 (ジャンプコミックスDIGITAL)

    まとめ

     「中間の第1期」に、主人公は複数の女性に囲まれて、選ぶことができないという話になった。

     「中間の第2期」には、西野が他の女性キャラクターを踏み台として持ち上げられる話が繰り返されている。

     両者の関係はどのように考えることができるか?

    ・「中間の第1期」に北大路が一時的に持ち上げられたことと同じように、「中間の第2期」には西野が一時的に持ち上げられたようにも見える。―選ぶことのできない魅力的な女性の一人として。

    ・複数の女性から選ぶことができないという話から、西野が最も良いという話に変わっているようにも見える。

     前者の場合は、この時期にはまだ結末は決まっていなかったことになる。

     後者の場合は、この時期にすでに結末が決まっていたことになる。

     どちらが正しいか、わからない。

    中間の第3期<大学受験・合宿>

     私が問題とするのはこの時期である。

     この時期には、

    ・進路の問題がある。

    ・高3の合宿がある。

    進路の問題

     この時期は、主人公真中が進路の問題に直面するところから始まっている。(JC11巻第92話)

    ・そこで、東城は真中に「同じ大学に/行きたい」と言う。(JC11巻第95話、118頁)

    ・西野は「高校卒業したら/パリに留学する/つもりなの」と言う。(同、127頁)


    いちご100% モノクロ版 11 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     東城は真中と同じ目標を持ち、西野は違う目標を持つのである。

     真中もそのことを意識している。

    ・西野について「俺のもとから/去ろうとしてる/西野」といい、

    ・東城、北大路について「逆に/いつまでも/俺の近くに/いようと/してくれている/東城やさつき…」と独白している。(JC12巻第99話、21頁)

     真中が言うように、東城も北大路も真中の「近くに/いようと/してくれている」が、その中でも東城は真中と目標を共有している。

     しかしまた、真中は「結局三人に/差はつけられないん/だよな~」と、三人を同等とみなしてもいる。(同頁)


    いちご100% モノクロ版 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     ここでも「結局三人に/差はつけられない」という話は続いている。

     しかし進路が問題となるこの時期において、西野は真中から離れ、東城は真中に近づく。

     「中間の第1期」には北大路が持ち上げられ、「中間の第2期」には西野が持ち上げられた。

     「中間の第3期」は、東城にとって有利な条件があった。

     ところが実際には、この時期に真中と東城の関係はそれほど進まない。

    勉強会

     真中と東城は中学生の時には勉強会をやっていた。

     同じ大学に行くという目標を持ったこの時期に、また二人で勉強会をやることは、自然なことと思われる。

     逆に、二人で勉強会をやらないことは、不自然なことと思われる。

     ところがこの時期に、二人で勉強会をやることはなかった。

     東城は控えめな性格であるが、中学生の時には、東城から真中に勉強会を提案している。(JC1巻第2話、77頁)


    いちご100% モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     すでに真中に「同じ大学に/行きたい」とまで言ってもいる。

     同じ大学に行くために、中学生の時のように勉強会をやろうと提案することは、中学生の時より容易にできるはずである。

     真中は、東城に「同じ大学に/行きたい」と言われて、「また東城に/勉強教えて/もらわなきゃな…」と東城に言っている。(JC11巻第95話、119頁)


    いちご100% モノクロ版 11 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     「また」というのは、中学生の時と同じようにということにちがいない。

     そう言った真中も、そのことを聞いた東城も、同じ大学に行くために東城が真中に勉強を教える勉強会を考えていたにちがいない。

     真中はその前に、大学受験のことを考え始めたときに、中学生の時の東城との勉強会を思い出している。(JC11巻第92話、50頁)


    いちご100% モノクロ版 11 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     ところがその後、勉強会をすることはなく、東城も真中も勉強会を考えることもなくなる。

     それから長い時間がたった後に、二人は勉強会をやっている。

     高校2年の2月14日(バレンタインデー)に、大学受験のために中学生の時の勉強会のようなことをすることを話していたのに、高校3年の大学受験の直前に、初めて勉強会をやっているのである。

     JC11巻第95話で、二人の間で勉強会のことが話されていたのに、JC18巻第161話で初めて勉強会をやっているのである。

     その時に真中は「それにしても/やっぱり東城と/一緒の勉強会は/いいなあ…」「丁寧だし/優しいし/なんていうか/温かい…」「中学の時/東城のこと/どんどん好きになってったのも/勉強会で/だったかな…」と独白している。(JC19巻第162話、15頁)


    いちご100% モノクロ版 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     真中の独白にあるように、「中学の時/東城のこと/どんどん好きになってったのも/勉強会で/だった」。

     勉強会はそういう意味を持っていた。

     そして「それにしても/やっぱり東城と/一緒の勉強会は/いいなあ…」というものであった。

     勉強会は、真中と東城が近づく機会であった。

     二人には同じ大学に行くという目標があって、そのために中学生の時と同じように勉強会をすることは自然なことであった。

     ところが二人は長い間勉強会のことを考えなくなった。

     二人が勉強会をやったのは、真中がすでに西野に告白をした後のことであった。

     その間に勉強会がなかったのは、登場人物の自然な行動ではなく、作者による介入ではないか?

     真中と東城が近づく勉強会は、人為的に排除されたのではないか?

     二人は勉強会をせず、塾に行っている。

    塾のはじめ

     二人が勉強会を行わないことは不自然と思われるが、塾に行くところにも不自然と思われるところがある。

     塾がはじめて出てくるのは、真中がバレンタインのチョコの返しのために東城の後を追っていくと、東城が通っている塾に着いた、というところ。(JC12巻第99話)

     東城は真中に、「親に無理矢理/行けって/言われ」たので、毎晩遅く(10時ころ)まで塾に通っていたと語っている。(JC12巻第100話43頁)


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     高校2年の3月(14日、ホワイトデー)に、成績優秀とされている東城が、大学受験のために毎晩遅くまで塾に通う、ということにも疑問がある。

     東城が塾に通っていたことを真中に言わずにいたことも、理解できない。

     東城は真中に「同じ大学に/行きたい」と言っていた。

     それに対して真中は東城に「また東城に/勉強教えて/もらわなきゃな…」と言っていた。

     東城は真中に同じ大学に行きたいと言って、そのためにどうするかという話までしていたのに、東城は一人で塾に通い始めて、そのことを真中に言わずにいたというのは、つながらないのではないか?

     そこで東城が真中に「で/真中くんって/どこの大学/行きたいの?」と妙によそよそしくなっているところも、前に「同じ大学に/行きたい」と言っていたことと、つながらないようである。

    学力の差

     この場面で、東城の中で、親の「行ってほしい大学」に行くか、真中と同じ大学に行くか、という問題が出て来ている。

     東城が真中と違う大学に行くということは、真中から遠ざかることである。

     「中間の第3期」は、東城が真中と同じ大学に行くということ、東城が真中に近づくことから始まっているのであるが、そこに、東城は真中と違う大学に行くべきではないか、東城は真中から離れるべきではないか、という問題が出て来るのである。

     ラブコメのヒロインとしてはマイナスのことである。

     ところでその問題は、なくてもいいことではないかと思われる。

     そもそも二人の目標は映画を作ることであった。

     その第一の目標に対して、同じ大学に行くということはそれほど重要なことではない。

     ところが東城がなぜか「同じ大学に/行きたい」と言い出して、その後に東城は東城に合った大学に行くべきではないかという問題が出て来ている。

     東城と真中を引き離すために、わざと問題が付け加えられているように見える。

    塾のクラス

     塾では、二人の学力の差によって、二人は違うクラスになる。

     学力によってクラスが分かれるという設定は、なくてもいい設定と思われる。

     二人を引き離すために付け加えられたと思われるのである。

    向井

     真中はそのクラスで向井と出会う。

     そして真中と向井は関係を深めていく。(JC12巻第102~106話、JC13巻第111話)


    いちご100% モノクロ版 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     向井は、「中間の第1期」の北大路、「中間の第2期」の西野のように、他の女性と並ぶようにするために持ち上げられているのかもしれない。

     しかし東城もいる場所で真中が向井と関係を深めると、それだけ真中と東城は遠ざかることになる。

     東城は真中と向井のデートをとりもったりもしている。(JC13巻第118~119話)


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     これまた真中と東城が遠ざかるところ。

    天地

     東城の塾のクラスには、天地が入ってきて、東城に迫る。

     東城は、その天地に心を動かしたりしている。(JC13巻第108~110話、113話)


    いちご100% モノクロ版 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     東城が真中に心を動かすと、それだけ真中から遠ざかることになる。

    塾での東城と真中

     この時期に、東城と真中が近づく話もあるが、少なく、単発的なものにすぎない。(JC13巻第110話、115話、JC14巻第120話)


    いちご100% モノクロ版 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     塾で二人のクラスが分かれることも、真中は向井に、東城は天地に心を動かすことも、いずれもなくてもいいことではないか?

     なくてもいいことがわざと入れられて、真中と東城は遠ざかっているように見える。

    西野

     真中と同じ目標を持っているということで真中の近くにいた東城は、真中から遠ざかってばかりいた。

     それに対して真中と違う目標を持っているということで真中から離れていた西野は、回数は少ないが、東城より多く真中と二人きりの時間を過ごしている。

    ・JC12巻第107話で成績が悪くて落ち込んでいる真中を連れ出して落ち着かせる。

    ・JC13巻第111話で真中が夜家に帰ってくると、布団に西野が寝ていて、同じ部屋で夜を明かす。

    ・JC14巻第122話から第125話まで、西野は真中と二人きりで3日間の旅行に行く。


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     西野の方が東城より真中に近づいているようである。

    高3の合宿

     「中間の第3期」の最後に、高3の合宿がある。

     高3の合宿も、真中と東城が近づく機会であった。

     そもそも映研の合宿には、真中と東城、二人の夢を実現するという意味がある。

     高3の合宿では、東城が主演女優となるということもある。

     高1の合宿では北大路、高2の合宿では西野が主演女優となった。―それぞれ「中間の第1期」に北大路が持ち上げられたこと、「中間の第2期」に西野が持ち上げられたことと関係がある。

     高3の合宿には、高校生活の集大成という意味もある。

     ところが実際には、東城と真中が近づくことは少なく、遠ざかることが多く描かれている。

    北大路

     北大路は真中に「友達宣言」をしていたが(JC13巻第114話)、合宿初日の夜、その「友達宣言」を放棄して、真中に「ずっとずっと/だいすき」と言っている。(JC15巻第129話、84頁)

     それに対して真中も「好き」だといって北大路を抱きしめている。(86頁)


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     真中の心が北大路に向かうと、それだけ東城から遠ざかることになる。

     北大路はそのために、その前にした「友達宣言」を撤回する、というかっこわるいことをしている。

     そういうことは、北大路というキャラクターから自然に出て来たことではなく、人為的に付け加えられたことのように見える。

    向井

     向井は、合宿のはじめ(第127話)からおわり(第136話)まで参加している。


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     そして出てくるたびに真中との関係を深めている。

     そもそも向井は部外者であるから合宿に参加しなくていいはずである。それにもかかわらず、作者はわざわざ参加させて、真中との関係を深めているのである。

     やはり真中と東城を遠ざけるためではないか? 少なくとも結果はそうなっている。

    女湯

     真中が女湯にまぎれこむという話で、真中は、東城とでなく、向井と関係を深めている。(第127~128話)

     向井が主役で、東城がわき役のようになっている。

    停電

     停電で暗い中、真中が東城と抱き合って唇が触れるという事件が起こる。(第131~132話)

     これは二人が近づくはずの事件である。

     しかし実際には、その事件に対して疑念を抱いた向井に対して、真中が「誤解」を解いて、結局、向井は真中を「信じていられる」ということで決着がつけられている。

     ここでも、真中と東城は近づかず、真中と向井が近づくことになっている。

    東城

     高3の合宿で真中と東城が関係を深める話は少ない。北大路、向井と比べても少ない。

    進学問題

     逆に、真中の心が東城から遠ざかることは描かれている。

     たとえば、合宿のクライマックスの映画の告白シーンの前に、東城は真中を部屋に呼んで、突然「真中くんと/同じ大学目指すの/やめる…かも…」と言うところ。(JC16巻、10頁)

     それを聞いて真中は「胸に穴があく」衝撃を受けている。(20頁)

     そのために二人は「全然呼吸が/合ってない」といわれる状態になっている。(19頁)


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     このやりとりは奇妙である。

     同じ大学を目指すことをやめるということは、二人が遠ざかることである。

     しかしそのように遠ざかることがあっても、その上で近づくことはできる。

     東城が真中に近づきたいと思っているならば、大学は離れても、他のことで近づこうとするのではないか?

     ところが東城は、真中に近づこうとせず、突き放すだけのことになっている。

    映画の告白シーン

     高3の合宿のクライマックスは、映研の製作する映画で、主演女優の東城が告白する場面である。

     東城はその場面で、アドリブで、「あなたのことが/ずっとずっと/好き…!」という。(JC16巻、23~25頁)

     このセリフは真中に衝撃を与える。真中は「演技だと/思えない」という。(同、30頁)

     真中はまた「あれは東城が/ヒロインの言葉を借りて出た/本当の気持ち」ともいう。(同、42頁)

     そこで真中の心と東城の心は近づいている。

     しかしまた真中は、その演技の後に、東城が、同じ大学に行くのをやめるかもしれないと言ったことを思い出して、二人の関係の「最後/だったんだ」と考えてもいる。(同、34頁)

     逆に、距離を感じているのである。

     そもそも東城のセリフは、東城が真中に告白したものでもあるが、芝居のセリフにすぎないものでもある。

     真中からすると、更に進んで東城の真意をたしかめなくてはならないはずである。

     ところが真中はそれ以上進もうとしない。

     合宿の間でも、合宿からの帰りでも、東城の真意を確かめる機会はあったのではないか?

     合宿からの帰り道、真中と東城が二人で家の近くまで歩いているところが描かれている。(同、41頁)

     しかしその間、真中が東城の真意を探っていたようには見えない。

     東城も、もう一歩踏み出さなくてはならないはずであるが、それ以上進もうとしていない。

     そして真中は東城とそれほど近づくことなく、家に帰ってくると、西野が待っていた。(同、45頁)


    いちご100% モノクロ版 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

     真中と東城の関係は中断される。

    まとめ

     「中間の第3期」には、東城に有利な条件があった。

    ・東城は大学受験のために真中に近づくことができた。(西野、北大路はできない)

    ・高3の合宿は、東城が主役であった。

     しかしいずれも、真中と東城が遠ざかるところが描かれた。

     東城は真中の近くにいたにもかかわらず、遠ざかるところが描かれた。

     その後で二人が結ばれるところを盛り上げるために、その前に二人が遠ざかるところを描いたと考えることができるであろうか?

     そう考えることは難しい。

     というのは、二人が遠ざかるところが次々と描かれた結果、その後で二人が結ばれたとしても盛り上がらないほどになっているからである。

     この時期の後でも真中と東城が結ばれると思っていた人は多かったと思われるが、二人が結ばれるところが盛り上がると思っていた人は多くなかったと思われる。

     上で見て来たように、この時期には東城と真中が遠ざかることが次から次へと描かれてきた。

     そして東城は、それまでのことから考えると不自然に真中に近づかないでいる。

     「中間の第3期」は、真中と東城の関係が中心となっているにもかかわらず、二人は近づかず、遠ざかっている。

     「中間の第3期」はラブコメとしての魅力が少なくなっている。

     東城もラブコメのヒロインとしての魅力が少なくなっている。

     この時期に東城の人気は低下したと思われる。

     そのことはまさに作者によってなされたと思われる。

    結論

     「いちご100%」の結末は、読者の人気によってきまったのか?

     「中間の第3期」が終わるところで、西野の人気は上がっていて、東城の人気は下がっていたにちがいない。

     しかし「中間の第3期」に東城の人気が下がったのは、作者によることであった。

     「中間の第3期」には、東城の人気が上がる条件があった。

     ところがそれと反対の方向のことばかり描かれた。

     東城の人気を上げようとしてうまくいかない可能性はあったかもしれないが、実際にはそれと反対のことばかり描かれていたのである。

     「中間の第3期」にあのように東城を下げておいて、その後に東城を上げるつもりであったとは考え難い。

     「中間の第3期」で真中と東城が遠ざかるところが描かれた時には、「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」ことは考えられていなかったと思われる。

     「いちご100%」の結末は読者の人気によってきまったというのは、作者の考えではなく、読者の人気によって結末がきまったということである。

     しかし「中間の第3期」においてすでに作者は「真中と東城で/ハッピーエンドを迎える」のと違う結末を考えていた。そしてその結果として、「中間の第3期」が終わった時には、読者の人気は東城より西野に傾いていたと思われる。

     西野の人気は、「中間の第2期」、「中間の第3期」に西野が持ち上げられたことによると思われる。

     ただし「中間の第2期」において、作者が結末を決めていたかどうかはわからない。

  • 「いちご100%」という作品との出会い

    「いちご100%」という作品との出会い

     「いちご100%」は、2002年から2005年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載されていた「ラブコメ」漫画である。

     「いちご100%」が連載されていたころ、私は「週刊少年ジャンプ」から、というよりマンガから離れていたので、その存在すら知らなかった。

     数年前にたまたま「ラブコメ」というものに関心をもった。その時にはじめて、この作品の存在を知った。しかし、しばらく読む機会がなかった。

     2018年9月に、たまたま全巻を手に入れる機会があって、2、3日で読み通した。

    玉石混交

     この作品は「玉石混交」だと私は思う。非常にすぐれたところもある。しかし非常に悪いところもある。

     たとえば「エロ」が多すぎる。

     少年漫画の「ラブコメ」には「エロ」があってもいいと思う。しかしこの作品では必要のない「エロ」が多すぎると思うのである。

     はじめから「いちごパンツ」が出てきて、主人公はその「いちごパンツ」の女の子を追い求めるという話になる。私には、「いちごパンツ」が必要とは思えない。「いちごパンツ」がない方がいいと思う。

     たとえば、主人公が学校の屋上に来てみると、美少女が一人さびしげにたたずんでいた、とか。あるいは、主人公が屋上に行く途中で美少女とすれちがって、屋上に来てみるとノートが落ちていた、とか。

     そうした方が、作品の印象もよくなるし、読者も話についていきやすくなる、と私は思う。

     「いちご100%」のタイトル表↓

    終わり方

     「いちご100%」という作品は、その終わり方のために、私の心に刻まれた作品となった。

     それまでのところで、色々とどうかと思うところはあった。しかしそのくらいで終わっていたならば、それなりにいい作品として認めることができた。

     ところが、そのくらいで終わらずに、大きな傷をのこして終わった。

     私は「いちご100%」を読む前に、作品の結末に賛否両論があると聞いていたので、どういうことかと思いながら読んでいったが、その結末の衝撃は予想を超えた。

     主人公真中が最後に東城でなく西野を選んだことにはおどろいたが、それよりその選び方におどろいた。

     私は東城派でも西野派でもない。

     キャラクターの設定、それまでの話を考えると、主人公真中は東城と結ばれた方がいいとは思う。東城は、真中でなくてはならないが、西野は、そうではない。西野が真中から去って、真中と東城が結ばれれば、皆しあわせになることができる。

     しかし、真中が西野と結ばれる話でもいいと思う。読者を納得させることができればそれでいいと思う。

     実際には、読者を納得させる話にならなかった。無理な誤解によって結末が決まってしまった。(JC16巻第142話から)

     それではいけないという流れで、それから最後まで突っ走っていった。

     主人公が二人の女性についてどちらを選ぶべきか考えて、そのうちの一人を選ぶ、ということが当然あると私は思っていた。しかし実際には、そういうことはなかった。

     「ドラゴンボール」でたとえると、フリーザ(西野)が世界(真中)を征服しようとするのに対して悟空(東城)がどう戦うかと思っていると、キュイ(向井)に苦戦している間に、フリーザが世界を征服してしまった、という感じである。

     悟空が負けたことより、悟空が戦わずに終わったことが残念であった。

     終盤の流れについては下の記事で詳しく考えてみた↓

    考察

     「いちご100%」の終わり方に衝撃を受けて、インターネット上の他の人の考えをあさってみると、その終わり方でいいという人が少なからずいて、さらに衝撃を受けた。

     近年の「ハーレムラブコメ」論議では、「いちご100%」の終わり方が理想的であったかのように言う人を複数見た。

     「いちご100%」の終わり方は理想的であったのか?

     「いちご100%」の結末は読者の人気によってきまったといわれているが、そうであったのか?