高市首相がG7サミットでゼレンスキー氏と個別会談しなかったという報道を巡ってモヤモヤすること

エビアンの水

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 2026年6月15日から17日にかけてフランス・エヴィアンで開催されたG7サミットを巡って様々なことが話題になったが、高市早苗首相がウクライナのゼレンスキー大統領と個別会談を行わなかったことも話題になった。

 起点になったのは、北海道新聞の「高市首相、ゼレンスキー氏と個別会談なし 政府関係者「時間確保難しい」 G7首脳で唯一ゼロ」と題する記事。その記事をもとにして様々なことが言われた。

 しかしこの記事の特に見出しにはミスリーディングなところがある。そのミスリーディングなところに引っ張られていないか?

 そのために高市氏の立場が現実に示されているのと違うように受け取られているのではないか?

ミスリーディングなところ

 ミスリーディングなところとはどこか?

 上に挙げた北海道新聞の記事の見出しでは、高市氏以外のG7首脳はゼレンスキー氏に近づく方向に進んでいるのに、高市氏だけは離れる方向に進んでいるかのような印象を受ける。

 そういう印象は現実に示されていることと違う。現実に示されていることと違う。

ゼレンスキー氏との個別会談

 まず、上に挙げた北海道新聞の記事で問題とされているのは、高市氏が首相就任以後にゼレンスキー氏と個別会談をしていないことである。

 高市氏以外のG7首脳はその地位についた後にゼレンスキー氏と個別会談をしたことがあるということである。

 今度のG7サミットで高市氏以外のG7首脳はゼレンスキー氏と個別会談をしたのではない。その中で高市氏がただ一人ゼレンスキー氏と個別会談をしなかったのではない。

 今度のG7サミットでゼレンスキー氏は多くの国の首脳と個別会談をした。

 議長国フランスのマクロン大統領。

 米国のトランプ大統領。

 ドイツのメルツ首相。

 カナダのカーニー首相。

 英国のスターマー首相。

 そして欧州委員会のフォンデアライエン委員長、欧州理事会のコスタ議長。

 以上のG7メンバーの他に、IMF専務理事。アラブ首長国連邦大統領。ケニア大統領、ブラジル大統領、インド首相と個別会談をしている。

 注意すべきことは、G7首脳の中でイタリアのメローニ首相もゼレンスキー氏と個別会談をした形跡がないことである。

 ゼレンスキー氏は上に引用したように、多くの人との個別会談をXに投稿している。しかしG7首脳の中で高市氏、メローニ氏との個別会談は投稿していない。

 メローニ氏も、ゼレンスキー氏との個別会談をXに投稿していない。それに対して高市氏との個別会談の投稿が多い。

 メローニ氏は首相に就任してからゼレンスキー氏と個別会談をしている。しかし今度のG7サミットでは個別会談をしていないようである。

 上に挙げた北海道新聞の記事の見出しでは、高市氏とその他のG7首脳との対立するところが強調されているが、今度のG7サミットではメローニ氏も高市氏と同じようにゼレンスキー氏と個別会談をしていないのである。

ウクライナとの関係

 上に挙げた北海道新聞の記事によって、今度のG7サミットで高市氏以外のG7首脳はゼレンスキー氏に近づく方向に進んでいるのに、高市氏だけは離れる方向に進んでいるかのように語る人が多い。

 たしかに高市氏はゼレンスキー氏と個別会談をするほどゼレンスキー氏に近づく方向に進まなかったということはできる。しかしそのことはメローニ氏も同じである。

 メローニ氏は今度のG7サミットではゼレンスキー氏と個別会談をしなかったが、これまで一貫してウクライナを支持する立場をとってきた。

 G7サミットの前の高市氏とメローニ氏の会談においてウクライナのことも議題とされていた(英国・イタリア訪問及びG7エビアン・サミット出席についての会見)。そしてメローニ氏は高市氏との会見で「共通の信念」を再確認している。

 二人の間に不一致はなかったというのである。

 そもそも今度のG7サミットでウクライナのことは重要な議題であった。そのためにゼレンスキー氏は招かれた。そして「ウクライナと欧州のための平和と安全の構築」セッションが行われた。その他にもゼレンスキー氏は各国首脳等と個別会談を行った。そして成果文書でもウクライナに対するG7各国の結束した支持が謳われている。

 高市氏はG7のメンバーとしてG7の他の国と同じようにウクライナを支持しているのである。

 「ウクライナと欧州のための平和と安全の構築」セッションにはゼレンスキー氏も出席したが、高市氏は次のように発言したという。(外務省「G7エビアン・サミット 「ウクライナと欧州のための平和と安全の構築」セッション」)

1 高市総理大臣から、ウクライナの将来についてはウクライナの意思が最大限尊重されるよう、ウクライナを支えていくべきであり、その上で、公正かつ永続的な平和実現のため、ロシアに前向きかつ具体的な行動を迅速にとらせるべく、G7の結束・連携を重視している旨述べました。

2 また、高市総理大臣から、力による一方的な現状変更の試みを容認すべきではない旨強調するとともに、露朝軍事協力及び露中間の軍事的連携強化への懸念を述べました。

3 さらに高市総理大臣から、日本として、ウクライナ支援を着実に実施してきた旨述べました。

4 G7首脳は、引き続きウクライナの公正かつ永続的な平和実現のために連携することで一致しました。

 まとめると、

 高市氏はG7サミットで他のG7首脳と同じようにウクライナを支持する立場を明らかにしている。

 ただしゼレンスキー氏と個別会談をするには至らなかった。

 しかしゼレンスキー氏と個別会談を行わなかったことは、ウクライナに反対する方向に進むことではない。個別会談を行うほどゼレンスキー氏に近づかなかったが、だからといって反対の方向に進んだのではない。

 また、G7首脳の中で高市氏だけでなくメローニ氏も個別会談を行っていない。

北海道新聞の記事

 上に挙げた北海道新聞の記事では、高市氏はゼレンスキー氏と個別会談を行ってほしいという記者の関心があって、その関心から現状がみられている。

 そういう観点からみると、たしかに高市氏は首相に就任してからまだゼレンスキー氏と個別会談を行っていない。他のG7首脳は皆すでに個別会談を行っているのに、高市氏はまだ行っていない。

 日本の過去の首相でも、岸田氏も石破氏もゼレンスキー氏と個別会談を行った。それもG7サミットで行った。高市氏もG7サミットで個別会談を行うことが期待されたのに、個別会談は行われなかった。Xのポストではそのことも問題としている。

 北海道新聞の記事の観点からするとそのように否定的にみられることになるわけである。

 しかし高市氏が今度のG7サミットでゼレンスキー氏と個別会談を行わなかったことは、他のG7首脳に比べてゼレンスキー氏から離れる方向に進んだこととは必ずしもいうことができない。

 今度のG7サミットでは、中東、ウクライナ、インド太平洋それぞれが議題になっていた。その中で高市氏は中東とエネルギー問題、インド太平洋と重要鉱物等の問題に力をかけていた。(英国・イタリア訪問及びG7エビアン・サミット出席についての会見

 ウクライナのことにはそれほど力をかけていなかったということができるかもしれない。

 しかしウクライナを支持することと反対の方向に進んだということはできない。

インフルエンサー

 上に挙げた北海道新聞の記事に対する反応を具体的に取り上げてみよう。

 Xのポストに対する引用をみると、高市氏はゼレンスキー氏と個別会談を行わなくてはならなかったのにしなかったとして批判するものが多い。拙劣と批判するもの。親ロ的ではないかと疑うもの。親ロ派からそれでいいというものもある。

 北海道新聞の角度ある記事によって引っ張られたものと見えるが、そうではないか?

 有名なJSF氏もロシアに対する忖度を推察している。

 東京工芸大学准教授

 このインフルエンサーは「擁護しようもない倫理的・外交的な欠陥」とまで言っている。

 いずれも上に挙げた北海道新聞の記事に引っ張られているように見える。

国光外務副大臣

 G7サミットの後、6月18日15時、国光外務副大臣はルトヴィノフ駐日ウクライナ大使による表敬を受けている。そこで国光副大臣は『「ウクライナと共にある」という我が国の姿勢は揺るがない旨強調した上で、ウクライナの公正かつ永続的な平和の一日も早い実現に向け引き続き連携していきたい旨述べ』たという。(外務省「ルトヴィノフ駐日ウクライナ大使による国光外務副大臣表敬」)

 国光副大臣は21日にポーランドへ出張。ウクライナのことについて議論することになっていた。(外務省「国光外務副大臣のポーランド及びクロアチア訪問」)

 23日にはウクライナに入国。外務大臣を表敬している。(外務省「国光外務副大臣のシビハ・ウクライナ外務大臣表敬」)

国光副大臣から、力による一方的な現状変更の試みを容認すべきではないという原則的な考え方の重要性を強調し、また、「ウクライナと共にある」という我が国の姿勢及び連帯の気持ちは揺るぎない旨を述べました
また、国光副大臣から今後もG7及び国際社会と連携してウクライナ支援と対露制裁に取り組んでいく旨述べました。

 このことについてSanshiro氏は次のように語っている。

 高市氏がG7サミットでゼレンスキー氏と個別会談を行わなかったので、駐日ウクライナ大使が不安になって国光副大臣を訪問。それを受けて国光副大臣がウクライナを訪問することになったのであろうか?

 6月19日の発表「国光外務副大臣のポーランド及びクロアチア訪問」では、国光副大臣は21日にポーランド・ワルシャワに行って、24日にポーランド・グタンスクに行ってそこで「ポーランド政府とウクライナ政府が共催する「ウクライナ復興会議」及びウクライナ支援の主要ドナーの活動調整を行う「ウクライナ・ドナー・プラットフォーム閣僚級会合」等に出席し、ウクライナ復興における民間企業の参画促進、復興支援の在り方についての議論に参加するほか、各国から出席している政府要人等との会談を行う予定」であった。そして26日にクロアチアに行って、27日にクロアチアを発って日本に帰ることになっていた。

 現実には23日にポーランドを発ってウクライナに入国している。

 予定が変えられたようである。

 それから国光副大臣はウクライナ訪問について多くのXポストを投稿して、ウクライナ支援の立場を強調している。

 北海道新聞の記事を引用。

 北海道新聞の記事に煽られて高市政権を非難する人にこたえているようにも見える。

 しかし今回のことでモヤモヤすることは、北海道新聞がミスリーディングな記事を公開したこと、その記事を受けて多くの人がミスリードされたことである。皆さん正確な認識などどうでもいいのか?

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