カテゴリー: ロマンティック・コメディー

  • 映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」 ヒッピー文化を扱った恋愛喜劇

    映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」 ヒッピー文化を扱った恋愛喜劇

     映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」(原題は “BOB & CAROL & TED & ALICE” )は1969年に公開された映画。

     それまで建前を重んじていた夫婦が、本音を重んずる思想を取り入れたことによって起こる珍事を描く。


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     音楽はクインシー・ジョーンズ。


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    映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」のあらすじ

     ドキュメンタリー・フィルム作家のボブ(ロバート・カルプ)は妻のキャロル(ナタリー・ウッド)とともにある週末、山奥の施設の取材に行った。

     そこでは、暴力は禁止され、互いに自分の気持ちを正直に相手に伝えることを尊重することが教えられていた。

     ボブとキャロルはその教えに感動して、家に帰った。

     夫婦の片方が浮気をしても、そのことを正直に言って、相手もそのことを理解するようになった。

     その夫婦と親しいテッド(エドマンド・グールド)とアリス(ダイアン・キャノン)の夫婦はそういう教えを受け入れた人ではなかった。

     ところがボブとキャロルが新たな思想をもって接してくる…。

    山奥の施設

     はじめに夫婦が訪れる山奥の施設は、1960年代に流行したエサレン研究所(Esalen Institute)をもとにしているようである。

     都会から離れた施設で、それまでの都会生活とは異なる生活様式を知るということは、同じ時代のピーター・フォンダ主演作品と共通している。

    「白昼の幻想」

     「白昼の幻想」(”The Trip”、1967年)でピーター・フォンダの演ずる主人公が「白昼の幻想」をみるところ。

     薬が出て来ることも「ボブ&キャロル&テッド&アリス」と似ている。


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    「イージー・ライダー」

     「イージー・ライダー」(”Easy Rider”、1969年)では、都会から離れたところにつくられていた共同体が描かれている。

     薬だけでなく、男女が裸でいること(いつもではない)も「ボブ&キャロル&テッド&アリス」と似ている。


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    新たな思想とそれまでの思想

     登場人物が、自分の気持ちを正直に相手に伝えることを重んずる思想を実行しているところは、映画としてみていて面白い。

     その新たな思想と、それまでの思想との対立が生ずる。

     ボブとキャロルがその新たな思想を受け入れても、まわりの人は受け入れておらず、笑ったり、反発したりする。

     その新たな思想を受け入れた人の中でも、反対の感情が生ずることがある。

     観客の中でも、その新たな思想とそれまでの思想との対立はある。

    映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」のDVD

     映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」はDVD化されている。


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  • 映画「街角 桃色の店」

    映画「街角 桃色の店」

     映画「街角 桃色の店」(原題は “The Shop Around the Corner” )は1940年に公開された映画。

     アメリカの映画の歴史の中でロマンティック・コメディーの代表的な作品のひとつ。

     後に同じ話をもとにした映画が作られた。―1949年に「グッド・オールド・サマータイム」、1998年に「ユー・ガット・メール」。いずれもヒットした。


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    映画「街角 桃色の店」のあらすじ

     ハンガリーの話。

     クラリック(ジェームズ・スチュアート)の勤める雑貨店に、ある日、若い女性クララ(マーガレット・サラヴァン)が職を求めてやってきた。

     クララもその店で働くことになったが、クラリックとは仲が良くならない。

     ところでクラリックは女性と文通していて、その女性との結婚を考えていた。

     そしてついにその文通相手とカフェで会うことになった。

    映画「街角 桃色の店」のみどころ

    ストーリー

     映画「街角 桃色の店」では、それぞれの人物の思いのすれ違いがうまく描かれている。

     すれ違いは恋愛喜劇で重要なところ。

     文通という設定がすれ違いを生んでいる。

     文通して意気投合しているがまだ相手の顔を見たことがない、ということによってすれ違いができるわけである。

    細部

     映画「街角 桃色の店」では、個々のセリフに気が使われていて、面白いところが多い。

     若いジェームズ・スチュアートの演技もいいが、その相手のマーガレット・サラヴァンの演技もいい。

     マーガレット・サラヴァンは映画より舞台に多く出ていた人。

    政治的な面

     映画「街角 桃色の店」では、主人公はその働く店の中での政治的な関係が重要な意味をもっている。

     店主との関係、親しくしている店員、対立している店員との関係…。

    リメイク

     映画「街角 桃色の店」はミクロス・ラズロ(Miklós László)の戯曲「香水店」(1937年初演)をもとにして作られた。

     ミクロス・ラズロはハンガリー出身で、1938年に米国に渡った人。

     「香水店」―「街角 桃色の店」の話は、その後に繰り返し映画化された。

     まず1949年の「グッド・オールド・サマータイム」。ジュディ・ガーランド主演で、ミュージカルになっている。


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     1998年の「ユー・ガット・メール」。ノーラ・エフロン監督・脚本で、メグ・ライアンとトム・ハンクスの共演。


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     その間の1963年にブロードウェイで “She Loves Me” というミュージカルが作られて、これまた成功している。

     それぞれの作り手、演者がよくて、時代に合っていたのであろうが、もとになった「香水店」という戯曲にそれだけの力があったのでもあろう。

     映画「街角 桃色の店」と、その後の映画によって、ミクロス・ラズロの戯曲は、アメリカのロマンティック・コメディーの歴史の中で重要なものとなっているわけである。

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  • 映画「いちごブロンド」 ジェームズ・キャグニーのロマンティック・コメディー

    映画「いちごブロンド」 ジェームズ・キャグニーのロマンティック・コメディー

     「いちごブロンド」(原題は “The Strawberry Blonde” )は、1941年に公開された映画。

     ギャング映画のスター、ジェームズ・キャグニーのロマンティック・コメディーの傑作。

     「いちごブロンド」=「ストロベリー・ブロンド」とは、赤みがかったブロンドの髪のこと。

     劇中の女性が「いちごブロンド」とよばれていて、そういう歌もある。


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    映画「いちごブロンド」の話

     1890年代の話。

     ある日曜日、歯科医ビフ(ジェームズ・キャグニー)のところに市会議員のヒューゴ(ジャック・カースン)が虫歯の治療をもとめる電話をかけてきた。

     ビフは、この10年の間にヒューゴから色々としてやられていた。

     10年前、ビフは、多くの人に「いちごブロンド」と呼ばれて称賛されていたヴァージニア(リタ・ヘイワ―ス)という美女が好きであった。

     ところがヴァージニアはヒューゴにとられて、ビフには、ヴァージニアが連れてきたエイミー(オリヴィア・デ・ハビラント)があてがわれた。

     それからビフは色々とヒューゴに踏みつけにされた。

     今、ヒューゴは歯科医がビフだと知らずに虫歯の治療をもとめてきた。

     ビフはどうするか?

    映画「いちごブロンド」の雰囲気

     映画「いちごブロンド」は、主人公がパートナーに踏みつけにされ、好きな女性を奪われるという話である。

     悲惨な話ということもできる。

     しかし映画は明るく楽しいものになっている。

     落ち込むところもあるが、暗くなりすぎない。

     細部が色々と面白い。

     しみじみするところもある。

    映画「いちごブロンド」の演者

     映画「いちごブロンド」の明るさ、楽しさは演者によるところが大きい。

    ジェームズ・キャグニー

     まず主役のビフを演ずるジェームズ・キャグニー。

     ジェームズ・キャグニーはギャング映画のスターであるが、この映画ではそのコミカルなところがよく出ている。

     冷酷非道に人を殺す役を多く演じている人が、この映画ではいつも喧嘩に負ける男を演じていることも面白いが、そういうキャラクターが合っていることも面白い。

     ヴァージニアとデートの約束をして、うれしくて側転して、ごみ箱に入ってしまうところなど面白い。

     この映画の主人公は、自分の信念を持っていて、正義感が強いが、不器用であって、いつも器用な人に踏み台にされる人物であるが、そういうキャラクターがジェームズ・キャグニーと絶妙に合っている。

    女優

     女優も豪華。

     主人公の理想の女性、「いちごブロンド」の表面のきれいなところも、裏側の利己的なところも、リタ・ヘイワ―スに合っている。

     「いちごブロンド」のあまりものとして主人公にあてがわれる女性をオリビア・デ・ハビラントがやっている。

     オリビア・デ・ハビラントは、エロール・フリンの相手役でお姫様役等を多くやって人気のあった女優で、「風と共に去りぬ」ではメラニーをやっている。

     そういう女優がこの映画ではあまりものの女性をやっているわけである。

     オリビア・デ・ハビラントは2020年に104歳で亡くなった。生まれたのは1916年、東京。

    https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-53546021

    敵役

     主人公の敵役をやっているジャック・カースンも、合っていると思う。

     ジャック・カースンには、コミカルなところ(「毒薬と老嬢」など)とジャイアンのようなところ(「スタア誕生」など)があるが、その両面を兼ね備えていることがこの映画のヒューゴという人物に合っている。

    その他

     陽気な父親をやっているアラン・ヘールも映画を明るくしている。

    映画「いちごブロンド」の音楽

     映画「いちごブロンド」では、はじめから次々と歌が流れる。

     歌詞に「いちごブロンド」という言葉が入っている “Band Played On” は、そのことでも、また劇中での使われ方でも、心に残る。

     映画が終わったところでまた “Band Played On” の歌詞が画面に出て、音楽が流れる。

     それに “Bill Bailey” 、”Meet Me in St. Louis, Louis” が続く。(後者を主題歌としたミュージカル映画「若草の頃」が公開されたのは1944年)

     その他にも心に残る歌が多い。

     ただし多くのミュージカル映画と違って、主役ががっつり歌うことはない。

     ジェームズ・キャグニーとリタ・ヘイワ―スが踊るところもある。しかし特にふたりの踊りを見せようとしていない。

     ジェームズ・キャグニーは次の年(1942年)の「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」でダンスを見せている。

     リタ・ヘイワ―スは1941年、42年にフレッド・アステアの相手役をやっていて、1944年にはジーン・ケリーの相手役をやっている。

     「いちごブロンド」の話では、ふたりがダンスのうまいところを見せる必要はないかもしれない。

    「或る日曜日の午後」

     「いちごブロンド」は、1933年のブロードウェイの舞台劇「或る日曜日の午後」をもとにして作られている。

     「いちごブロンド」の前に、1933年に同じく「或る日曜日の午後」をもとにした映画「或る日曜日の午後」が作られていた。

     1933年の「或る日曜日の午後」と1941年の「いちごブロンド」の比較↓

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